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特集・考察

日本語ラップの元ネタを探せ! 第36回 MICROPHONE PAGER 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第36回目はMICROPHONE PAGERの元ネタを探っていきましょう!

MICROPHONE PAGERは、MUROとTWIGYによる2MCユニット。1992年に5人で結成され、メンバーの離脱を経て2人体制になりました。名前の由来は「マイクを使ってペイジャー(ポケベル)のようにメッセージを伝える」こと。

当時お笑いのイメージが強かった日本語ラップの"改正"を掲げたのがこのグループで、合言葉は「改正開始」。1993年には米Tommy Boyのコンピレーション『Planet Rap』に日本のグループとして初めて参加した、歴史の転換点にいた存在です。

MUROの「King Of Diggin'」と呼ばれる掘りの深さが、ネタ帳にもそのまま表れている構成。今回はグループ名義14行から7曲を紹介します。なお「Street Life」の元ネタは第21回MURO編で扱ったので、そちらもぜひ。


MICROPHONE PAGERの曲を元ネタと比較してみましょう

MICROPHONE PAGER / 改正開始

まずはグループの看板曲、「改正」宣言そのものから。

MICROPHONE PAGER - 改正開始

Eddie Kendricks - If You Let Me

元ネタは、Eddie Kendricks(エディ・ケンドリックス)の「If You Let Me」。元The Temptationsの中心人物のソロ作です。

「改正開始(Phillies Mix)」は1993年の米コンピ『Planet Rap』に収録され、日本のグループとして初の米ヒップホップ・コンピ参加になりました。宣言の曲の下敷きに、モータウンの血統。この選び方からして本気度が伝わります。

Eddie Kendricks - If You Let Me


MICROPHONE PAGER / 病む街

1stアルバム『DON'T TURN OFF YOUR LIGHT』(1995)の冒頭曲を。

MICROPHONE PAGER - 病む街

Shamek Farrah - First Impressions

元ネタは、Shamek Farrahの「First Impressions」。ストラタ・イースト系のスピリチュアル・ジャズです。

実はこの「病む街」、第19回ZEEBRA編で扱った「Jackin' 4 Beats」にサンプリングされている曲でもあるんです。掘る側の曲が、別の誰かの元ネタになる。ネタの連鎖が見える好例ですね。

Shamek Farrah - First Impressions


MICROPHONE PAGER / Rapperz Are Danger

1994年のシングルにして1st収録の代表曲。元ネタが2件登録されています。

MICROPHONE PAGER - Rapperz Are Danger

The Headhunters - God Made Me Funky

1つ目は、The Headhuntersの「God Made Me Funky」。Herbie Hancockと組んだバンドの代表曲で、サンプリング大ネタとしても有名です。

The Headhunters - God Made Me Funky

Donny Hathaway - Little Ghetto Boy

2つ目は、Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)の「Little Ghetto Boy」。ソウルの至宝の名曲です。

ファンクの大ネタとソウルの名曲が1曲に同居する密度の高さ。これが90年代半ばの日本の音だと思うと、改めて驚かされます。

Donny Hathaway - Little Ghetto Boy


MICROPHONE PAGER / MICROPHONE PAGER

グループ名と同名の曲にも、元ネタが2件登録されています。

MICROPHONE PAGER - Microphone Pager

James Brown - Coldblooded

1つ目は、James Brownの「Coldblooded」。第35回NITRO編「LIVE '99」(DABO verse)でも登場した大ネタで、連載内でも二度目の登壇です。

James Brown - Coldblooded

Mandrill - Fencewalk

2つ目は、Mandrillの「Fencewalk」。ラテン・ファンクの名門です。同名曲にJBとMandrill。名刺代わりの1曲にふさわしい布陣ですね。

Mandrill - Fencewalk


MICROPHONE PAGER / XXX-LARGE

ここで、第21回MURO編で少し触れたネタを正面から扱います。MP側の単曲音源が見つからなかったため、今回は元ネタ中心の紹介で失礼します。

Dorothy Ashby - Drink

元ネタは、ジャズハープのDorothy Ashby(ドロシー・アシュビー)の「Drink」。

第21回では、MUROの「第三段落 97ページ」とこの「XXX-LARGE」が同じ「Drink」を共有する、という形で登場しました。同じネタがソロとユニットを横断する。MUROの掘りの一貫性が分かる話だと思います。

Dorothy Ashby - Drink


MICROPHONE PAGER / 七転八倒

MICROPHONE PAGER - 七転八倒

McCoy Tyner - Impressions

元ネタは、McCoy Tyner(マッコイ・タイナー)の「Impressions」。この曲はJohn Coltraneの代表曲として知られますが、ネタ帳の登録は盟友Tynerの版です。

原曲の人ではなく盟友の版を選ぶ。この「ひとひねり」が掘りの深さだと思います。

McCoy Tyner - Impressions


MICROPHONE PAGER / 東京地下道

最後は、1stアルバム収録で今も根強い人気の曲を。

MICROPHONE PAGER - 東京地下道

Ronnie Laws - Never Be The Same

元ネタは、Ronnie Laws(ロニー・ロウズ)の「Never Be The Same」。フュージョン/ソウルジャズの気持ちいい1曲です。

ジャズ寄りの布陣が続いた今回の締めに、この滑らかさがよく合いますね。

Ronnie Laws - Never Be The Same


最後に

今回のMICROPHONE PAGERの元ネタは、Eddie Kendricks、Shamek Farrah、The Headhunters、Donny Hathaway、James Brown、Mandrill、Dorothy Ashby、McCoy Tyner、Ronnie Lawsという布陣でした。

ジャズ、ファンク、ソウルの王道を深く掘る。「King Of Diggin'」の底力と、日本語ラップの"改正"の本気度が伝わる回になったと思います。

ネタ帳にはTwo Night(Patrice Rushen)や感謝(Kool & the Gang)なども残っているので、後編もいずれ。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!

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