HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第45回目は後編ラインの第4弾、かせきさいだぁの後編です!
第25回の前編では、さいだぁぶるーす、苦悩の人、TONEPAYS GUITAR、ディグダグプーカ、じゃっ夏なんで、ルージュの伝言などを掘りました。かせきさんのネタ帳は和モノの宝庫で、まだまだ残っています。今回は7曲(6セクション)を回収します。
前編は第25回 かせきさいだぁ 編です。
かせきさいだぁの曲を元ネタと比較してみましょう
かせきさいだぁ / 冬へと走りだそう + 冬へと走りだそう・再び
まずは季節感のある1曲と、その続編をまとめて。「・再び」の単独音源は見つからなかったため、かせき側の埋め込みは原曲版のみにします。
かせきさいだぁ - 冬へと走りだそう
佐野元春 - ハッピー・マン
原曲版の元ネタは、佐野元春の「ハッピー・マン」。
日本のロックの金字塔からのサンプリング。かせきさんの和モノ掘りの深さがよく分かる選出です。
佐野元春 - ハッピー・マン
Leon Russell - Bluebird
そして「・再び」の元ネタは、Leon Russellの「Bluebird」。
同じ「冬へと走りだそう」でも、続編ではアメリカのスワンプ・ロックの重鎮に切り替えてくる。この振れ幅がかせきさんらしいところです。
Leon Russell - Bluebird
かせきさいだぁ / 相合傘
かせきさいだぁ - 相合傘
鈴木茂 - ウッド・ペッカー
元ネタは、鈴木茂の「ウッド・ペッカー」(ネタ帳の表記は「ウッドペイカー」)。
はっぴいえんどのギタリストのソロ作から。前編の「苦悩の人」ではっぴいえんど「風をあつめて」も出てきましたが、鈴木茂のソロまで掘っているのはさすがです。
鈴木茂 - ウッド・ペッカー
かせきさいだぁ / HAPPY END
かせきさいだぁ - HAPPY END
Tracy Chapman - All That You Have Is Your Soul
元ネタは、Tracy Chapmanの「All That You Have Is Your Soul」。
「Fast Car」で知られるシンガーソングライターの、魂の歌。タイトルに「HAPPY END」と付ける側の洒落も効いています。
Tracy Chapman - All That You Have Is Your Soul
かせきさいだぁ / 星間飛行
かせきさいだぁ - 星間飛行
Cornelius - THE SUN IS MY ENEMY
元ネタは、Corneliusの「THE SUN IS MY ENEMY(太陽は僕の敵)」。
フリッパーズ・ギター解散直後の小山田圭吾の初期ソロ。同世代の日本の才能同士の接続です。
Cornelius - The Sun is My Enemy
かせきさいだぁ / 急げハリー!
かせきさいだぁ - 急げハリー!
細野晴臣 - CHOO CHOO ガタゴト
元ネタは、細野晴臣の「CHOO CHOO ガタゴト」。
トロピカル三部作期の細野さんの、汽車の歌。「急げハリー!」の疾走感の源はここでした。
細野晴臣 - CHOO CHOO ガタゴト
かせきさいだぁ / 宇宙の法則
最後はクリップもある1曲を。
かせきさいだぁ - 宇宙の法則
Sly & The Family Stone - Smilin'
元ネタは、Sly & The Family Stoneの「Smilin'」。(You Caught Me) Smilin'として知られる曲です。
ファンクの始祖のほのぼのした名曲が、「宇宙の法則」という大げさなタイトルの下敷きになっている落差が、かせきさん流のユーモアだと思います。
Sly & The Family Stone - (You Caught Me) Smilin'
最後に
かせきさいだぁ後編の元ネタは、佐野元春、Leon Russell、鈴木茂、Tracy Chapman、Cornelius、細野晴臣、Sly & The Family Stoneという布陣でした。
日本のロック/ポップスの系譜(佐野元春、鈴木茂、細野晴臣、Cornelius)と、アメリカの名匠たち。かせきさんのネタ帳は、そのまま日本のポップス史の裏側みたいな読み物になります。
残りはTVとボクとSF小説(Henry Mancini)などわずか。前編・後編で、かせきさんの掘りはほぼ全貌が見えてきました。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!