岡山のバトルシーンで10代の頃から名前を知られ、UMB本戦に2度岡山代表として立ったMCが、デビューから11年を経てようやくフルアルバムを放った。HIBIKIは、バトルの実績と音源キャリアの間に大きな時間差がある、地方マイナー層でも稀な経歴の持ち主である。2024年末の1stアルバム『Unforgiven』は20曲入り。高校生RAP選手権の決勝に立った少年が、20代後半になって自分の音源で勝負し直すまでの記録として読める一枚だ。私がこのアルバムを初めて通して聴いたとき、バトルで培った言葉の切れ味よりも、20曲を自分の名前で背負う覚悟のほうに耳を持っていかれた。
基本データ
| 名義 | HIBIKI(配信名義:Hibiki Yorish) |
|---|---|
| 読み | ヒビキ |
| 拠点 | 岡山県 |
| 生年 | 1995年(本人の公式プロフィール表記による) |
| 所属 | ANDLOW(岡山のクルー) |
| 活動 | MCバトル:2013年〜/音源:2024年に本格化 |
来歴
2013年3月、第3回高校生RAP選手権で準優勝。決勝ではHIYADAMに敗れたが、10代で全国規模の大会の決勝に進んだ実績は、その後のキャリアの入口として今も彼の名前を支えている。同年は戦極MCBATTLE第7章でベスト16、第4回高校生RAP選手権にも出場した。
2017年にはUMB本戦に岡山代表として出場し、2回戦でその年の優勝者DOTAMAと当たった。2023年12月、6年ぶりに再び岡山代表としてUMB本戦の舞台に戻り、1回戦でK.K FLOWに敗退している。復帰戦は0-7という一方的なスコアで、公式動画にはその完敗までが刻まれている。それでも私は、この「負けが残っている」こと自体がHIBIKIの記録の誠実さだと思う。勝った記録だけを並べるMCは多いが、地方予選を勝ち抜き続ける地力がなければ、6年の間隔を空けて同じ舞台には立てない。
音源面では、所属クルーANDLOW(HIBIKI、JOE、照)のMVが2021〜2022年頃から公式チャンネルに公開され、2024年10月頃に先行曲「Greatfull Dead」のMVを発表。同年12月8日にシングル「Hakai to Saisei」、12月25日に1stアルバム『Unforgiven』(20曲、NO LOOK PRODUCTION)を配信した。バトル初出場から実に11年越しのフルアルバムである。2025年にはKEYF made「Blue Magic」、aoi & KAZ-SHIT『旅詩』収録「秘めた泉」に客演し、地元周辺との接続を広げている。
年表
| 2013年 | 第3回高校生RAP選手権 準優勝/戦極MCBATTLE第7章 ベスト16 |
|---|---|
| 2017年 | UMB本戦に岡山代表として出場(2回戦敗退) |
| 2018年 | 戦極MCBATTLE第18章 ベスト32 |
| 2023年 | UMB本戦に岡山代表として再出場(1回戦敗退) |
| 2024年 | シングル「Hakai to Saisei」/1stアルバム『Unforgiven』 |
| 2025年 | KEYF made、aoi & KAZ-SHITの作品に客演 |
バトル戦績
| 大会 | 成績 | 備考 |
|---|---|---|
| 第3回高校生RAP選手権(2013) | 準優勝 | 決勝でHIYADAMに敗退 |
| 戦極MCBATTLE 第7章(2013) | ベスト16 | ERONEに敗退 |
| 第4回高校生RAP選手権(2013) | 2回戦敗退 | かしわに敗退 |
| UMB 本戦(2017) | 2回戦敗退 | 岡山代表。優勝者DOTAMAに敗退 |
| 戦極MCBATTLE 第18章(2018) | ベスト32 | SAMに敗退 |
| UMB 本戦(2023) | 1回戦敗退 | 岡山代表。K.K FLOWに敗退。優勝はGOTIT |
※UMB岡山予選の公式な結果記録は確認できていないため、本戦出場は「岡山代表として出場」と表記している。また、テレビ朝日系『フリースタイルダンジョン』5th seasonへのチャレンジャー出演がバトルデータベースに記録されているが、番組公式での話数レベルの確認は取れていない。
音楽性
キャリアの前半がバトル、後半が音源という二段構えが、HIBIKIの音楽性の前提にある。『Unforgiven』はANDRE、kin gsman、C.O.M.P.、SCOTT、MES、DJ HRSら多数の客演を迎えた20曲の構成で、地元クルーANDLOWの周辺と接続しながら、自分の名前で大きな作品を組む意志が表れている。日本語題と英語題が混在する曲名の並びも、バトル出身者らしい言葉への感覚の表れに読める。音源単体での評価はまだ緒に就いたところだが、「Greatfull Dead」は個人キュレーターの月間ベスト選出を受けた実績があり、バトル経歴と無関係に曲で拾われた点は小さくない。
ディスコグラフィ
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
| 発売日 | タイトル | 形態 |
|---|---|---|
| 2024-12-25 | Unforgiven | アルバム(20曲) |
| 2024-12-08 | Hakai to Saisei | シングル |
| 2025-04-20 | Blue Magic (feat. JOE, telu & HIBIKI YORISH)(KEYF made) | 客演シングル |
| 2025-05-25 | MY LOVER(KEYF made) | 客演アルバム |
| 2025-10-15 | 旅詩(aoi & KAZ-SHIT)収録「秘めた泉 (feat. HIBIKI YORISH)」 | 客演 |
代表曲
- 「Greatfull Dead」— 『Unforgiven』収録。アルバムに先行してMVが公開され、音源単体でキュレーターの月間ベストに選ばれた曲。夜の街を背にラップするMVの佇まいが、バトル時代とは違うHIBIKIの現在地を示している。
- 「破壊と再生」— 2024年12月の先行シングル(配信表記「Hakai to Saisei」)。破壊と再生という言葉の選び方に、11年かけて音源にたどり着いた彼のキャリアそのものが重なって聴こえる。
- 「BLUE MAGIC (feat. JOE, 照 & HIBIKI YORISH)」— KEYF madeのシングルへの客演。ANDLOWの面々と連なる形での参加で、地元クルーの結束がそのまま曲になっている。
出典・確認日
jp-hphp(MCプロフィール・大会記録)、TuneCore Japan(本人アーティストページ)、Apple Music、ANDLOW公式YouTubeチャンネル。2026年11月8日確認。
