Shing02(しんぐぜろつー)は、東京都出身のMC/ラッパー。タンザニア、イギリス、日本、アメリカを転々としながら育ち、カリフォルニア大学バークレー校在学中にベイエリアのヒップホップ・シーンで活動を始めた。1998年にシングル「日本性事情」「Pearl Harbor」で日本デビューし、1999年に1stアルバム『緑黄色人種』を発表。故Nujabesとの共作「Luv(sic)」シリーズ全6部作と、テレビアニメ『サムライチャンプルー』のオープニングテーマ「Battlecry」で世界的な知名度を得ており、日本語と英語の両方で作品を書き分けるバイリンガルなMCとして、日本のヒップホップの枠を超えた支持を集め続けている。
基本データ
| アーティスト名 | Shing02(しんぐぜろつー) |
|---|---|
| 本名 | 非公表 |
| 生年月日 | 1975年10月18日 |
| 出身地 | 東京都 |
| 活動期間 | 1998年 – 現在(1998年4月にシングル「日本性事情」でデビュー) |
| ジャンル | ヒップホップ/ラップ(ジャズ・ラップ) |
| 職業 | MC/ラッパー、音楽プロデューサー |
| レーベル | E22/Mary Joy Recordings |
| 公式サイト | Shing02 公式サイト(e22.com) |
東京都に生まれ、幼少期をタンザニアとイギリス、日本で過ごした。千葉県では小学4年から中学2年までを過ごし、15歳でカリフォルニアへ移住。1993年にカリフォルニア大学バークレー校へ進学すると、HieroglyphicsやLiving Legendsといったベイエリアのコミュニティと交流し、デザインの仕事を手がけながらフリースタイルのセッションからラップを始めた。プロデューサー名義のVector Omegaとしても活動し、自身の作品の多くをセルフプロデュースしている。
拠点をアメリカに置きながら日本と行き来する形で活動を続けており、2026年には「Luv(sic) Hexalogy Tour」でOMA、SPIN MASTER A-1とともに海外公演を行っている。日本国内では2022年9月、約2年10か月ぶりの来日公演としてGEZANとのツーマンライブを東京・Contactで行った。
来歴
1997年夏、十代の頃に書き上げた処女作「絵夢詩ノススメ」を携えてMCとして初来日。1998年4月22日にシングル「日本性事情」、同年12月16日に「Pearl Harbor」をリリースした。「Pearl Harbor」は社会的関心を集め、ジャケットが白紙で発売される事態にもなった。1999年には1stアルバム『緑黄色人種』を発表し、物語性の強い楽曲群で日本語ラップの新しい書き手として注目される。
2000年末、プロデューサーNujabesのビートに「Luv(sic)」を書く。本人が「音楽の女神への手紙」と語るこの曲が、後に全6部作のシリーズへと育っていく。2003年にはNujabesのアルバム『Metaphorical Music』に「F.I.L.O」で参加し、Hydeout Productionsのコンピレーション『1st Collection』に「Luv(sic)」「Luv(sic) pt2」が収録された。2004年にはテレビアニメ『サムライチャンプルー』のオープニングテーマ「Battlecry」をNujabesとともに手がけ、作品の世界的なヒットとともに声が国境を越えて知られるようになる。2005年にはNujabes『Modal Soul』に「Luv(sic) pt.3」が収録された。
日本でのソロ活動も並行して進み、2002年にアルバム『400』、2008年には日本語オリジナルアルバムとしては6年ぶりとなる『歪曲』を発表し、リリースツアー「歪曲巡礼」を行った。2006年には坂本龍一の反原発プロジェクトSTOP ROKKASHOに参加。鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」のサウンドトラックも手がけている。
2010年2月26日、Nujabesが交通事故で急逝。生前に録音されていた「Luv(sic) pt.4」「pt.5」は没後に発表され、Nujabesの携帯電話から死後に発見されたビートをもとにShing02が完成させた「Luv(sic) Grand Finale」(pt.6)が、3回忌の2013年2月26日に発表された。2015年12月9日には全6部作にリミックスとインストゥルメンタルを加えたコンピレーション『Luv(sic) Hexalogy』が発売されている。
2010年代以降はコラボレーション・アルバムを軸に活動し、Chimp Beamsとの『ASDR』(2012年)、Kaigenとの『自核』、DJ $HINとの『1200 Ways』(ともに2013年)、Cradle Orchestraとの『Zone of Zen』(2016年)、sauce81との『S8102』(2018年)、SPIN MASTER A-1との『246911』(2019年)、Jack the Ripとの『Triumphant』、Marcus Dとの『Copycats』、YakkleとのEP/シングル群(2020年)などを発表した。2022年にはNetflixアニメ『スプリガン』のエンディングテーマでラップと作詞を担当。2024年にはOMAとのライブアルバム『Luv(Sic) Hexalogy [OMA and Shing02 Live at Liquidroom]』と、Kan Sanoとのシングル「Whatawon」を発表し、2025年にはソロアルバム『抒情詩歌 / JOJŌSHĪKA』と、uyama hirotoとの「Prime Audio」をリリースした。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1975年 | 東京都に生まれる。幼少期をタンザニア、イギリス、日本で過ごす |
| 1990年頃 | 15歳でカリフォルニアへ移住 |
| 1993年 | カリフォルニア大学バークレー校へ進学。ベイエリアのヒップホップ・シーンと関わり始める |
| 1997年 | 処女作「絵夢詩ノススメ」を携え、MCとして初来日 |
| 1998年 | シングル「日本性事情」「Pearl Harbor」でデビュー |
| 1999年 | 1stアルバム『緑黄色人種』発売 |
| 2000年 | 年末にNujabesのビートで「Luv(sic)」を制作 |
| 2002年 | アルバム『400』発売 |
| 2003年 | Nujabes『Metaphorical Music』に「F.I.L.O」で参加。Hydeout Productions『1st Collection』に「Luv(sic)」「Luv(sic) pt2」収録 |
| 2004年 | テレビアニメ『サムライチャンプルー』オープニングテーマ「Battlecry」(Nujabes feat. Shing02) |
| 2005年 | Nujabes『Modal Soul』に「Luv(sic) pt.3」収録 |
| 2006年 | 坂本龍一のSTOP ROKKASHOに参加 |
| 2008年 | アルバム『歪曲』発売。ツアー「歪曲巡礼」を実施 |
| 2010年 | Nujabesが死去(2月26日)。録音済みだった「Luv(sic) pt.4」「pt.5」が没後に発表される |
| 2012年 | Chimp Beamsとの共作アルバム『ASDR』発売 |
| 2013年 | 「Luv(sic) Grand Finale」(pt.6)を発表しシリーズが完結。Kaigenとの『自核』、DJ $HINとの『1200 Ways』発売 |
| 2015年 | コンピレーション『Luv(sic) Hexalogy』(Nujabes & Shing02)発売 |
| 2016年 | Cradle Orchestraとの共作アルバム『Zone of Zen』発売 |
| 2018年 | sauce81との『S8102』発売。uyama hirotoとの「Starbright」を発表 |
| 2019年 | SPIN MASTER A-1との共作アルバム『246911』発売 |
| 2020年 | Jack the Ripとの『Triumphant』、Marcus Dとの『Copycats』、YakkleとのEP/シングルを発表 |
| 2022年 | Netflixアニメ『スプリガン』のエンディングテーマを担当。GEZANとのツーマンライブで約2年10か月ぶりに来日公演 |
| 2024年 | OMAとのライブアルバム『Luv(Sic) Hexalogy [OMA and Shing02 Live at Liquidroom]』発売。Kan Sanoとの「Whatawon」を発表 |
| 2025年 | ソロアルバム『抒情詩歌 / JOJŌSHĪKA』発売。uyama hirotoとの「Prime Audio」を発表 |
| 2026年 | 巨勢典子との「Decades」を発表。「Luv(sic) Hexalogy Tour」で海外公演を継続 |
音楽性
Shing02の最大の特徴は、日本語と英語の両方でそれぞれ独立した作品を書けるバイリンガルな表現にある。本人は、言葉遊びを重ね内省的になる日本語詞と、ストーリーテリングが中心になる英語詞とで書き方を分け、原則としてひとつの曲の中で言語を混ぜないと語っている。育った国々の遍歴そのものが題材となり、多国籍な視点から日本と世界を見つめるリリックを生んできた。
Nujabesとの仕事は、ジャズ・ラップの古典として語り継がれている。ジャズやソウルのサンプルで構築されたNujabesのトラックに、物語性のある英語詞を乗せた「Luv(sic)」シリーズと「Battlecry」は、後のローファイ・ヒップホップの隆盛に先駆ける作品群として、世代と国境を越えて聴かれ続けている。シリーズは当初続編の構想なしに始まり、15年をかけて全6部作へと育った。本人は「急がず、音楽とメッセージを最優先に作ってきた」と振り返っている。
一方、日本語作品では「語り」に近いポエトリーリーディング的な表現が多く見られる。「星の王子様」「イカルス」のようなファンタジー性・物語性の強い楽曲から、「日本性事情」「Pearl Harbor」のような社会への問題提起、憲法を題材にした長編まで、題材の幅は広い。言葉の音と意味を丹念に積み上げる作詞法は、2008年の『歪曲』や2025年の『抒情詩歌 / JOJŌSHĪKA』といったソロ作で一貫している。
ディスコグラフィ
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
| リリース日 | タイトル | 種別 |
|---|---|---|
| 1999年10月22日 | 緑黄色人種 | 1stアルバム |
| 2001年10月29日 | 400 - EP | EP |
| 2002年6月29日 | 憂国/44K - EP | EP |
| 2008年6月18日 | 歪曲 | アルバム |
| 2012年4月25日 | ASDR | コラボレーションアルバム(Shing02 × Chimp Beams) |
| 2013年1月23日 | 自核 (Jikaku) | コラボレーションアルバム(Kaigen & Shing02) |
| 2013年9月4日 | 1200 Ways | コラボレーションアルバム(Shing02 + DJ $HIN) |
| 2016年1月6日 | Zone of Zen | コラボレーションアルバム(Shing02 + Cradle Orchestra) |
| 2016年4月29日 | Lift the Fog Up EP | コラボレーションEP(KK + Shing02) |
| 2018年4月1日 | Starbright | 配信シングル(Shing02 & uyama hiroto) |
| 2018年12月25日 | S8102 | コラボレーションアルバム(sauce81 & Shing02) |
| 2019年2月14日 | Bring Me Home | 配信シングル(Shing02 & Madeleine Brossier) |
| 2019年4月11日 | 246911 | コラボレーションアルバム(SPIN MASTER A-1 & Shing02) |
| 2020年3月18日 | 愛密集 - EP | コラボレーションEP(Shing02 & Yakkle) |
| 2020年4月18日 | 初恋 (F1RST S1GHT) | 配信シングル(Shing02 & Yakkle) |
| 2020年4月25日 | Virtuoso | 配信シングル(BAKU, Shing02 & REATMO) |
| 2020年7月17日 | Copycats | コラボレーションアルバム(Marcus D & Shing02) |
| 2020年10月10日 | Triumphant | コラボレーションアルバム(Shing02 & Jack the Rip) |
| 2020年12月25日 | Oyanakase - EP | コラボレーションEP(Yakkle & Shing02) |
| 2021年6月5日 | Spring Delight | 配信シングル |
| 2021年6月28日 | Triumphant Remixed | リミックスアルバム(Shing02 & Jack the Rip) |
| 2021年8月14日 | Creed | 配信シングル(Shing02 & Jack the Rip) |
| 2022年11月9日 | Player | 配信シングル(BAKU, Daichi Yamamoto & Shing02) |
| 2022年12月23日 | Signify - EP | EP |
| 2022年12月29日 | Champ Magnétique | 配信シングル(Yakkle & Shing02) |
| 2023年1月1日 | FRIENDS & FAMILY - EP | コラボレーションEP(Shing02 & Jack the Rip) |
| 2023年3月19日 | Let It Speak (The Remix) | 配信シングル |
| 2023年4月15日 | SIGNIFY (Singles) - EP | EP |
| 2023年6月9日 | Contact: Shing02 & DJ ICEWATER | DJミックス |
| 2023年8月18日 | Champion Sound - EP | コラボレーションEP(SPIN MASTER A-1 & Shing02) |
| 2024年5月16日 | Luv(Sic) Hexalogy [OMA and Shing02 Live at Liquidroom] | ライブアルバム(OMA & Shing02) |
| 2024年7月19日 | Hotter Than July Interlude (with Shing02) - EP | コラボレーションEP(damnboy! & Shing02) |
| 2024年8月14日 | Whatawon | 配信シングル(Kan Sano & Shing02) |
| 2024年10月23日 | Una Página Más | 配信シングル |
| 2025年6月25日 | Prime Audio | 配信シングル(Shing02 & uyama hiroto) |
| 2025年8月28日 | 抒情詩歌 / JOJŌSHĪKA | アルバム |
| 2025年11月24日 | Prime Audio Remixes - EP | EP |
| 2026年1月1日 | Decades | 配信シングル(Shing02 & 巨勢典子) |
| 2026年2月2日 | Decades (Matsuyama Remix) | 配信シングル |
| 2026年6月1日 | Moustache | 配信EP(リミックス集) |
本表はShing02名義および共同名義の配信作品を収録した。フィジカルのみの作品として、デビューシングル「日本性事情」(1998年)、「Pearl Harbor」(1998年)、CDアルバム『400』(2002年)、初期音源集『絵夢詩ノススメ』(2003年)、『歪曲』のインストゥルメンタル盤『歪曲楽集』(2009年)などがあり、これらはApple Musicでは配信されていない(「Pearl Harbor」はApple Music未収録)。Nujabesとの共作はNujabes名義で発表されており、『Modal Soul』(2005年)、全6部作をまとめた『Luv(sic) Hexalogy』(2015年)などに収録されている。客演のみの作品は本表に含めていない。
代表曲
星の王子様
1stアルバム『緑黄色人種』(1999年)収録。サン=テグジュペリの童話を下敷きにした物語性の強い一曲で、Shing02の日本語作品の出発点を示す代表曲。本人の公式YouTubeチャンネルで1999年当時の映像が公開されている。
F.I.L.O (feat. Shing02)
Nujabesの1stアルバム『Metaphorical Music』(2003年)収録。タイトルは「First In, Last Out」の略で、Nujabesとの共作群の中でも特に人気の高い一曲。公式MVはなく、Apple Musicのリンクで紹介する。
Battlecry
テレビアニメ『サムライチャンプルー』(2004年)のオープニングテーマ。Nujabes feat. Shing02名義で、サウンドトラック『Samurai Champloo Music Record Departure』の冒頭に収録された。海外のアニメファンを通じてShing02の名が世界に広がるきっかけとなった一曲。公式MVはなく、Apple Musicのリンクで紹介する。
Luv(sic) pt.3
Nujabes『Modal Soul』(2005年)収録。「Luv(sic)」シリーズの第3部で、シリーズの中核をなす一曲。公式チャンネルでは音源のみの公開のため、Apple Musicのリンクで紹介する。
湾曲
アルバム『歪曲』(2008年)収録。タイトル曲「歪曲」と対になる楽曲で、アルバム発売当時にミュージックビデオも制作された。YouTubeでの公式MV公開は確認できなかったため、Apple Musicのリンクで紹介する。
Starbright
2018年にuyama hirotoとの共作で発表されたシングル。Nujabesの盟友でもあるuyama hirotoのジャズ色の強いトラックに乗せた、近年のShing02を代表する一曲。公式MVはなく、Apple Musicのリンクで紹介する。
今後のライブ
確認日(2026年11月3日)時点で、2026年12月に予定されるShing02の日本国内公演は、公式情報では確認できていない。2026年は「Luv(sic) Hexalogy Tour」としてシンガポール、クアラルンプールなど海外での公演が行われている。
出典・確認日
- Shing02 公式サイト(e22.com)
- Bandwagon(Shing02インタビュー、2026年)
- Resident Advisor(Shing02 × GEZAN公演記事、2022年)
- Mikiki(『Zone of Zen』レビュー/インタビュー)
- ORICON NEWS(作品データベース)
- Apple Music(各作品ページ、iTunes Lookup APIで確認)
- YouTube(公式チャンネルの動画、oEmbedで確認)
- Wikipedia「Shing02」(補助資料)
確認日:2026年11月3日
