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JAPANESE HIP-HOP
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特集・考察

日本語ラップの元ネタを探せ! 第31回 四街道ネイチャー 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第31回目は四街道ネイチャーの元ネタを探っていきましょう!

今回はぐっと時代を遡って、日本語ラップ黎明期のユニットです。四街道ネイチャーはKZA、マイクアキラ、DJ KENTの2MC+1DJ。グループ名はNaughty By Natureにちなんだ命名で、由来はメンバーの出身地である千葉県四街道市です(ちなみにメンバー全員が四街道出身というわけではありません)。

スチャダラパーを中心とするリトル・バード・ネイション(LB)の一員として、1995年にデビューし、1998年のアルバム『V・I・C・トゥモロー』を最後に活動を停止。短い活動期間ながら、黎明期の空気を色濃く残すグループです。今回はネタ帳の16行から7曲を紹介します!


四街道ネイチャーの曲を元ネタと比較してみましょう

四街道ネイチャー / あの集合地

まずはデビューミニアルバム『四街道NATURE』(1995)の1曲目から。

四街道ネイチャー - あの集合地

Hubert Laws - Trying To Get The Feeling Again

元ネタは、フルート奏者Hubert Laws(ヒューバート・ロウズ)の「Trying To Get The Feeling Again」です。

メロウなジャズ・フルートが、黎明期の日本語ラップの土台になっている。1995年の時点でこの選ネタだったというのが、まず驚きですね。

Hubert Laws - Trying To Get The Feeling Again


四街道ネイチャー / 一年中

続いては、アルバム『V・I・C・トゥモロー』の顔となる代表曲を。

四街道ネイチャー - 一年中

Dorothy Ashby - By The Time I Get To Phoenix

主軸の元ネタは、ジャズ・ハープ奏者Dorothy Ashby(ドロシー・アシュビー)の「By The Time I Get To Phoenix」です。

実はこの曲、ネタ帳にはほかにLarry Young's Fuelとスチャダラパーの登録もあって、1曲に3つのネタが重なっているんです。ハープの名演に日本の先輩の声まで重ねる、掘りの密度の濃い1曲ですね。ちなみにDorothy Ashbyは、第21回のMURO編でも名前が出てきたハープ奏者です。

Dorothy Ashby - By The Time I Get To Phoenix


四街道ネイチャー / 惨事 (Live at 四街道文化センター)

今回いちばん象徴的なのがこちら。タイトルどおり、地元・四街道の文化センターでのライブ版です。

四街道ネイチャー - 惨事 (Live at 四街道文化センター)

Incredible Bongo Band - Apache

元ネタは、Incredible Bongo Bandの「Apache」。ヒップホップ史上もっとも重要なブレイクのひとつとして知られる、あの曲です。

ヒップホップの原点の大ネタを、地元のホールで鳴らす。グループ名の由来である四街道で「Apache」を使うという構図に、黎明期の矜持を感じます。

Incredible Bongo Band - Apache


四街道ネイチャー / あした、あさって

デビューEPからもう1曲、ゆるいタイトルが印象的な曲を。

四街道ネイチャー - あした、あさって

Mtume - Love Lock

元ネタは、Mtumeの「Love Lock」。80年代のファンク/ブギーです。

力の抜けたタイトルと、タイトなブギー。この取り合わせの妙が、黎明期の日本語ラップの空気感をよく伝えています。

Mtume - Love Lock


四街道ネイチャー / ELECTRIC YOUTH 1923

ここでヒップホップの原典ネタを(四街道側の音源は今回はテキストのみで紹介します)。

Afrika Bambaataa & Soulsonic Force - Looking for the Perfect Beat

元ネタは、Afrika Bambaataa & Soulsonic Forceの「Looking for the Perfect Beat」。エレクトロ・ファンクの金字塔です。

グループ名自体がNaughty By Natureへのオマージュという出自のグループが、ヒップホップの創始者の代表曲を掘る。「原典を掘る」という姿勢が黎明期らしい1曲ですね。

Afrika Bambaataa & Soulsonic Force - Looking for the Perfect Beat


四街道ネイチャー / 四街道RANGER

グループ名を冠した代表曲は、MC JOE、タイプライター、AKEEM THE DREAMも参加した賑やかな1曲です。

四街道ネイチャー - 四街道RANGER

Johnny Almond - Solar Level

元ネタは、イギリスのサックス奏者Johnny Almondの「Solar Level」。ジャズファンクの渋い選ネタです。

「戦隊もの」のノリのタイトルに、英国ジャズファンク。このアンバランスさが四街道ネイチャーの面白さだと思います。

Johnny Almond - Solar Level


四街道ネイチャー / WEAK END

最後はディスコネタで締めます(ネタ帳の表記は「Week End」、アルバム表記は「WEAK END」です)。

四街道ネイチャー - WEAK END

Queen Samantha - Take a Chance

主軸の元ネタは、ディスコグループQueen Samanthaの「Take a Chance」です。

この曲もネタ帳には3つの元ネタが登録されていて、ほかにT.S. MonkとAfrika Bambaataaの名前があります。1曲の中にファンクとエレクトロとディスコを詰め込む、黎明期らしい欲張りな作りですね。

Queen Samantha - Take a Chance


最後に

今回の四街道ネイチャーの元ネタは、Hubert Laws、Dorothy Ashby、Incredible Bongo Band、Mtume、Afrika Bambaataa、Johnny Almond、Queen Samanthaという布陣でした。

「Apache」に「Looking for the Perfect Beat」と、ヒップホップの大ネタを直球で掘る黎明期らしい回になりました。活動期間は1995年から1998年のわずか数年ですが、その掘り方の密度は後の時代にも引けを取りません。KZAとDJ KENTはこの後、FORCE OF NATUREとしてインストゥルメンタルユニットを始めることになります。

ネタ帳には「惨事」のスタジオ版(Funky Constellation)なども残っているので、黎明期編としてまた掘り下げたいところです。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!

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