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特集・考察

日本語ラップの元ネタを探せ! 第30回 SEEDA 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第30回目はSEEDAの元ネタを探っていきましょう!

SEEDAは東京都練馬区出身、3歳から小学5年までロンドンで育った帰国子女のラッパーです。1999年にSHIDA名義でデビューし、2003年にSCARSへ加入。そして2006年、Bach Logicの総合プロデュースで発表した『花と雨』が大きな評価を得て、2020年には自伝的映画にもなりました。

2009年には引退を発表して同年に復帰を宣言、2025年には13年ぶりのアルバム『親子星』を出すなど、その歩み自体がドラマのような人。今回はネタ帳のSEEDA名義16行から7曲を紹介します!


SEEDAの曲を元ネタと比較してみましょう

SEEDA / TOKYO

まずは『花と雨』の顔とも言える、この曲から。

SEEDA - TOKYO

Jeff Beck - Diamond Dust

元ネタは、ギターの帝王Jeff Beck(ジェフ・ベック)の「Diamond Dust」です。フュージョン期のベックの浮遊感のあるギターが、東京を歌う曲の土台になっている。

ロックのギタリストの音が日本語ラップの「TOKYO」になる。聴き比べの落差が大きい組み合わせですね。

Jeff Beck - Diamond Dust


SEEDA / Adrenalin

続いては、同じく『花と雨』の冒頭を飾る曲を。

SEEDA - Adrenalin

Atomic Rooster - Save Me

元ネタは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンドAtomic Roosterの「Save Me」です。

名盤の幕開けに、英国プログレ。ソウルやファンクではなくロックから掘るあたりに、『花と雨』というアルバムの懐の深さを感じます。

Atomic Rooster - Save Me


SEEDA / Daydreaming

『花と雨』からもう1曲、メロウな側面を。

SEEDA - Daydreaming

Pat Metheny Group - San Lorenzo

元ネタは、Pat Metheny Group(パット・メセニー・グループ)の「San Lorenzo」。ジャズ・フュージョンの大物の、爽やかで風の抜けるような曲です。

この清涼感がSEEDAのフロウとどう響き合うか。『花と雨』の元ネタは、ロック、フュージョンと、ジャンルの幅が本当に広いんですよね。

Pat Metheny Group - San Lorenzo


SEEDA / Technic feat. KREVA

ここで共演ものの1曲を。KREVAを迎えた、タイトルどおり「技術」を謳う曲です。

SEEDA - Technic feat. KREVA

Dee Dee Bridgewater - Love Won't Let Me Go

元ネタは、ジャズ・ボーカルの名歌手Dee Dee Bridgewater(ディー・ディー・ブリッジウォーター)の「Love Won't Let Me Go」です。

技巧派同士のマイクリレーの土台が、ジャズ歌手の歌声。タイトルと中身の両方で「上手さ」を競うような組み合わせだと思います。

Dee Dee Bridgewater - Love Won't Let Me Go


SEEDA / MIC STORY feat. ILL BOSSTINO, DJ WATARAI

続いては参加陣が豪華な1曲。THA BLUE HERBのILL-BOSSTINOと、DJ WATARAIを迎えています。

SEEDA - MIC STORY feat. ILL-BOSSTINO

Dave Grusin - Friends And Strangers

元ネタは、フュージョンの鍵盤奏者Dave Grusin(デイヴ・グルーシン)の「Friends And Strangers」です。

「マイクの物語」を語る曲の土台に、洗練されたフュージョン。第23回のK DUB SHINE編にもDave Grusinの名前は出てきましたが、あちらは帰属の裏付けが取れず見送った経緯があります。今回はネタ帳の登録どおり、堂々と紹介できる組み合わせです。

Dave Grusin - Friends And Strangers


SEEDA / 自由の詩 feat. A-thug

SCARSのリーダー、A-THUGを迎えた1曲は、元ネタの色もひと味違います。

SEEDA - 自由の詩 feat. A-THUG

Joey Gilmore - Somebody Done Took My Baby And Gone

元ネタは、ブルースマンのJoey Gilmoreの「Somebody Done Took My Baby And Gone」。元ネタがブルースというのは、この連載でも珍しい部類です。

「自由の詩」というタイトルと、ブルースの土臭さ。この距離感が、SEEDAとSCARSの世界の奥行きを感じさせます。

Joey Gilmore - Somebody Done Took My Baby And Gone


SEEDA / SUNSHINE

最後は王道ファンクで明るく締めます(SEEDA側の音源は今回はテキストのみで紹介します)。

Lakeside - Real Love

元ネタは、ファンクバンドLakeside(レイクサイド)の「Real Love」です。

タイトルどおりの陽性のサウンド。『花と雨』のロックやフュージョンとはまた違う、SEEDAの王道ヒップホップな顔が見える組み合わせですね。

Lakeside - Real Love


最後に

今回のSEEDAの元ネタは、Jeff Beck、Atomic Rooster、Pat Metheny Group、Dee Dee Bridgewater、Dave Grusin、Joey Gilmore、Lakesideという布陣でした。

ソウル/ファンクを軸にしながら、ロック、フュージョン、ブルースまで。『花と雨』という名盤の裏側には、ジャンルを横断する掘り方があったんだなと改めて分かります。

ネタ帳には、元ネタのタイトルがほぼ同じ「Brandy」同士(The O'JaysとLooking Glass)という面白い同名異曲のペアや、SCARS名義の行も残っているので、SEEDA編の後編もいずれやりたいところです。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!

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