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特集・考察

日本語ラップの元ネタを探せ! 第32回 KREVA 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第32回目はKREVAの元ネタを探っていきましょう!

KREVAは青森県弘前市生まれ、東京都江戸川区育ちのラッパーです。名前の由来は英単語の "clever"。KICK THE CAN CREWではMCとほぼ全曲のトラックメイクを担い、MCバトル「B-BOY PARK」では史上初の3連覇を達成した、実力派中の実力派。

2004年に「音色」でソロデビューし、2006年の『愛・自分博』は邦楽ヒップホップのソロアーティストとして初のオリコン週間チャート1位を獲得しました。ラップもトラックも自分で作るKREVAの「掘り方」は、自作自演ならではの設計の細かさが見どころ。今回はソロ名義の15行から7曲を紹介します!


KREVAの曲を元ネタと比較してみましょう

KREVA / 音色

まずはメジャーデビューシングルにして、永遠の代表曲から。

KREVA - 音色

Bobby Glenn - Sounds Like A Love Song

元ネタは、Bobby Glennの「Sounds Like A Love Song」です。

「音色」というタイトルに対して、元ネタのタイトルは「ラブソングのような音」。タイトル同士が響き合っているのが分かると、この曲のロマンチックな設計が一段と伝わってきます。

Bobby Glenn - Sounds Like A Love Song


KREVA / 国民的行事

続いては、連載史上でも最大級の意外性枠を。

KREVA - 国民的行事

モーツァルト - アイネ・クライネ・ナハトムジーク

元ネタは、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。説明不要、誰もが知るクラシックの旋律です。

誰もが知る旋律だからこそ、どうビートに落とし込むかのセンスが問われる。「国民的行事」というタイトルと、日本中が知っている旋律の掛け合いも見事だと思います。

モーツァルト - アイネ・クライネ・ナハトムジーク


KREVA / 瞬間speechless

アルバム『心臓』からは、裏付けの強さでも随一の組み合わせを。

KREVA - 瞬間speechless

Rupert Holmes - Speechless

元ネタは、Rupert Holmes(ルパート・ホルムズ)の「Speechless」。タイトル自体に元ネタの曲名が埋め込まれた作りです。

しかも『心臓』の公式クレジットには、作曲者としてRupert Holmesの名前が明記されているんです。この連載でも、これほど堂々と「元ネタ宣言」された例はなかなかありません。

Rupert Holmes - Speechless


KREVA / アグレッシ部

ここからはシングル曲を2曲続けて。まずは2007年のシングルを。

KREVA - アグレッシ部

Syreeta & G.C.Cameron - All Things Happen For A Reason

元ネタは、Syreeta(シリータ)とG.C.Cameronのデュエット「All Things Happen For A Reason」です。Syreetaはスティーヴィー・ワンダーの元妻としても知られるシンガー。

「アグレッシ部」という勢いのあるタイトルに、しっとりしたデュエット曲。この落差の付け方がKREVAらしいと思います。

Syreeta & G.C.Cameron - All Things Happen For A Reason


KREVA / THE SHOW

同じくシングル曲、「ショウの幕開け」にふさわしい1曲を。

KREVA - THE SHOW

Nancy Wilson - You're As Right As Rain

元ネタは、ジャズ/ソウルの名シンガーNancy Wilson(ナンシー・ウィルソン)の「You're As Right As Rain」です。

王道の名歌手の声が、ショウの始まりを告げる。王道ソウルを王道に使う潔さが気持ちいい組み合わせですね。

Nancy Wilson - You're As Right As Rain


KREVA / You are the No.1〈Hey DJ〉 feat. BONNIE PINK

『新人クレバ』から、ヒップホップ古典ネタの1曲を。BONNIE PINKが参加しています。

KREVA - You are the No.1 (Hey DJ) feat. BONNIE PINK

Doug E. Fresh - La-Di-Da-Di

元ネタは、Doug E. Freshの「La-Di-Da-Di」。Slick Rickとの共作として知られる、ヒップホップ史上もっとも引用されてきた曲のひとつです。

「Hey DJ」という呼びかけの曲に、ヒップホップの古典中の古典。元ネタ自体の語りどころが多い、教科書的な組み合わせだと思います。

Doug E. Fresh - La-Di-Da-Di


KREVA / ため息はCO2

最後は、ネタ帳ならではの発見がある1曲を。

KREVA - ため息はCO2

Tyrone Davis - I Got Carried Away

元ネタは、Tyrone Davis(タイローン・デイヴィス)の「I Got Carried Away」です。

実はこの元ネタ、久保田利伸 meets KREVAのコラボ曲「M☆A☆G☆I☆C」でも使われているんです。同じネタをソロとコラボでどう使い分けたか。ネタ帳を横断して初めて見える発見こそ、この連載の醍醐味ですね。

Tyrone Davis - I Got Carried Away


最後に

今回のKREVAの元ネタは、Bobby Glenn、モーツァルト、Rupert Holmes、Syreeta & G.C.Cameron、Nancy Wilson、Doug E. Fresh、Tyrone Davisという布陣でした。

王道ソウルを軸に、クラシックとヒップホップ古典を両端に置く。「国民的行事」のモーツァルトの衝撃は、この連載でも屈指だと思います。

なお、KICK THE CAN CREW名義のネタは第4回で扱っているので、そちらもぜひ。ネタ帳にはスタンド・バイ・ミー(Randy Brown)や、元ネタが日本のバンドICEの「Have a nice day!」なども残っているので、KREVA編の後編もいずれやりたいところです。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!

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