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特集・考察

日本語ラップの元ネタを探せ! 第33回 RIP SLYME 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第33回目はRIP SLYMEの元ネタを探っていきましょう!

RIP SLYMEはRYO-Z、ILMARI、PES、SUの4MCとDJ FUMIYAからなるグループ。名前の由来は初期メンバー3人の頭文字に「スライム」の綴りを変えたものを組み合わせたものだそう。

1994年の結成から、2001年に「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。トラックメイクの中心はDJ FUMIYAで、掘りの幅はブラジル音楽からロック、ミュージカルまでとにかく雑食です。

2018年の活動休止を経て、2025年にはPESとSUが戻り、期間限定で5人体制が復活したことも記憶に新しいところ。今回は名義14行(11曲)から、聴き比べの面白いものを紹介します!


RIP SLYMEの曲を元ネタと比較してみましょう

RIP SLYME / 楽園ベイベー

まずは説明不要の夏の名曲から。2002年のシングルです。

RIP SLYME - 楽園ベイベー

Milton Nascimento - Bridges (Travessia)

元ネタは、ブラジルの巨匠Milton Nascimento(ミルトン・ナシメント)の「Bridges (Travessia)」です。

日本の夏の定番曲の源流がブラジル音楽だったとは。浮遊感のある原曲の空気が、そのまま楽園の景色に変換されていますね。

Milton Nascimento - Bridges (Travessia)


RIP SLYME / 熱帯夜

夏曲をもう1曲。2003年のシングルです。

RIP SLYME - 熱帯夜

Clara Nunes - Sabiá

元ネタは、ブラジルの歌姫Clara Nunes(クララ・ヌネス)の「Sabiá」。「楽園ベイベー」に続いて、こちらもブラジルです。

夏の曲にはブラジルの風。RIP SLYMEの「ブラジル趣味」がはっきり見える2曲セットだと思います。

Clara Nunes - Sabiá


RIP SLYME / FUNKASTIC

『TOKYO CLASSIC』からは、1曲に2つの元ネタが登録された曲を。

RIP SLYME - FUNKASTIC

Lalo Schifrin - Enter the Dragon

元ネタのひとつは、Lalo Schifrin(ラロ・シフリン)の「Enter the Dragon」。映画『燃えよドラゴン』のテーマとして知られる、あの派手なテーマ曲です。

もう1件、B. Dastardlyの「Music Pleeze」という登録もあります。映画音楽の王道ネタと組み合わせる、FUNKASTICの名にふさわしい雑食ぶりですね。

Lalo Schifrin - Enter the Dragon (Main Title)


RIP SLYME / POPCORN NANCY

『CIRCUS』からは、今回の意外性枠です。

RIP SLYME - POPCORN NANCY

NIRVANA - The Man Who Sold The World、About A Girl

元ネタはなんとNIRVANA。しかも2曲分登録されています。1曲目は「The Man Who Sold The World」。これはNIRVANAが『MTVアンプラグド』でカバーした版で、原曲はDavid Bowieという二重構造です。

NIRVANA - The Man Who Sold The World (MTV Unplugged)

2曲目は「About A Girl」。ヒップホップグループのアルバムにNIRVANAが2曲分。この引き出しの広さがRIP SLYMEの真骨頂だと思います。

NIRVANA - About A Girl (MTV Unplugged)


RIP SLYME / (I Could Have)Danced All Night

『五次元』からは、タイトルごと元ネタという分かりやすい1曲を。

RIP SLYME - (I Could Have) Danced All Night

My Fair Lady - I Could Have Danced All Night

元ネタは、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の劇中歌「I Could Have Danced All Night」。第32回KREVA編のモーツァルト(「国民的行事」)に続く、クラシック/舞台系の意外性枠です。

なお、この曲にはもう1件、別の登録もありますが、そちらは確度が低いため今回は主ネタのこちらで紹介します。

Julie Andrews - I Could Have Danced All Night


RIP SLYME / 白日、真昼に見た夢 (MUMMY-D Remix)

ここで時代を遡って、1996年のインディーズデビューシングルの両面をまとめて紹介します。

まずは表題曲「白日」から。

RIP SLYME - 白日

Earl Klugh - Long Ago & Faraway

元ネタは、ギタリストEarl Klugh(アール・クルー)の「Long Ago & Faraway」。メジャー前の原点に、すでにこの落ち着いた掘り方があったんですね。

Earl Klugh - Long Ago (And Far Away)

続いてカップリングの「真昼に見た夢 (MUMMY-D Remix)」。リミックスを手がけたMUMMY-Dは、第3回で扱ったRHYMESTERのメンバーです。

RIP SLYME - 真昼に見た夢 (MUMMY-D Remix)

Aretha Franklin - Day Dreamin'

元ネタは、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)の「Day Dreamin'」。「真昼に見た夢」というタイトルと「Day Dreamin'」の対応もきれいですね。

Aretha Franklin - Day Dreaming


RIP SLYME / 黄昏サラウンド

最後は、連載でも珍しいタイプの「元ネタ」を。『EPOCH』収録のシングル曲です。

RIP SLYME - 黄昏サラウンド

Jungle Brothers - My Jimmy Weighs A Ton

元ネタは、Jungle Brothersの「My Jimmy Weighs A Ton」。ただし正直に書くと、これは音源のサンプリングではなく、RYO-Zのバースの入りのフロウ(入り方)の引用としてネタ帳に登録されているものです。

サンプリングは音だけじゃない。フローの引用もまたリスペクトの形。この連載の締めにふさわしい変化球だと思います。

Jungle Brothers - My Jimmy Weighs A Ton


最後に

今回のRIP SLYMEの元ネタは、Milton Nascimento、Clara Nunes、Lalo Schifrin、NIRVANA、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』、Earl Klugh、Aretha Franklin、Jungle Brothersという布陣でした。

ブラジル、映画音楽、ロック、ミュージカル、ソウル、そしてフロウの引用まで。まさに雑食という言葉がぴったりの回になりました。

ちなみに、RIP SLYMEは「元ネタにされる側」でもあります。加藤ミリヤの「So gooood」はRIP SLYMEの「One」をサンプリングした曲としてネタ帳に登録されているんです。掘る側であり、掘られる側でもある。長く愛されてきたグループならではですね。

ネタ帳には雑念エンタテインメント(Blood, Sweat & Tears)なども残っているので、RIP SLYME編の後編もいずれ。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!

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