HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第34回目はNORIKIYOの元ネタを探っていきましょう!
NORIKIYOは神奈川県相模原市出身のラッパーで、ヒップホップユニットSD JUNKSTAのリーダー。自作トラックにはK-NEROという名義も使う、ラップもビートもこなすマルチな才能の持ち主です。
2007年の1stアルバム『EXIT』は批評筋から高い評価を受け、2008年の『OUTLET BLUES』はプロデューサーBACHLOGICが全曲を手がけた作品として知られます。そのBACHLOGICとの関係も含め、今回は名義14行から7曲を紹介します!
NORIKIYOの曲を元ネタと比較してみましょう
NORIKIYO / 2FACE feat. BES(オリジナル+BACHLOGIC Remix)
まずは今回最大の聴き比べ枠から。同じ曲のオリジナルとリミックスで、元ネタがまったく違うんです。
NORIKIYO - 2FACE feat. BES
The O'Jays - Cause I Want You Back Again
オリジナルの元ネタは、The O'Jaysの「Cause I Want You Back Again」。フィラデルフィア・ソウルの王道グループです。
The O'Jays - Cause I Want You Back Again
続いてBACHLOGICによるリミックス版をどうぞ。
NORIKIYO - 2FACE feat. BES (BACHLOGIC Remix)
Terry Huff and Special Delivery - When You're Lonely
リミックス版の元ネタは、Terry Huff and Special Deliveryの「When You're Lonely」。同じ歌詞・同じ曲なのに、下敷きが変わると表情がここまで変わる。リミックス文化の面白さが詰まったセットだと思います。
Terry Huff and Special Delivery - When You're Lonely
NORIKIYO / 日記 ~追記あり~
続いては意外性枠。元ネタはアメリカのロックバンドです。
NORIKIYO - 日記 ~追記あり~
Van Halen - Right Now
元ネタは、Van Halen(ヴァン・ヘイレン)の「Right Now」。あのピアノのイントロで知られる名曲です。
「日記」という内省的なタイトルに、ヴァン・ヘイレンのピアノ。ソウル中心のNORIKIYOの布陣の中で、この1曲の引き出しの広さが際立ちますね。
Van Halen - Right Now
NORIKIYO / 何故 feat. MAD KOH
ここからは、孫ネタまでたどれる二重構造の1曲を。
NORIKIYO - 何故 feat. MAD KOH
Portishead - Glory Box
元ネタは、Portisheadの「Glory Box」。そしてこの「Glory Box」自体が、Isaac Hayesの「Ike's Rap II」を使った曲として知られています。つまりNORIKIYOのこの曲は、孫ネタまでつながる三代構造。
実はこの「Glory Box」、第18回KANDYTOWN編でも「LEGACY」の元ネタとして登場しました。同じ源流から、日本の別々の曲が生まれている。ネタ帳の横断ならではの発見ですね。
Portishead - Glory Box
NORIKIYO / 待ちぼうけ 〜Baby Baby〜(feat. PUNPEE)
代表曲枠は、PUNPEEを迎えたこの曲を。
NORIKIYO - 待ちぼうけ 〜Baby Baby〜 (feat. PUNPEE)
S.O.U.L. - To Mend A Broken Heart
元ネタは、S.O.U.L.の「To Mend A Broken Heart」。70年代のファンク/ソウルグループです。
世代の違う才人同士の共演に、70年代のソウルの下敷き。時間軸の重なり方が面白い組み合わせだと思います。
S.O.U.L. - To Mend A Broken Heart
NORIKIYO / アウトレットブルース ~蛇の道をゆく~
2ndアルバム『OUTLET BLUES』と同名タイトルの曲を。
NORIKIYO - アウトレットブルース ~蛇の道をゆく~
Marva Whitney - I'll Work It Out
元ネタは、Marva Whitney(マーヴァ・ホイットニー)の「I'll Work It Out」。ジェームス・ブラウンのファミリーとしても知られる女性シンガーです。
BACHLOGIC全曲プロデュース期のブルースに、ソウルフルな歌声の下敷き。この時代のNORIKIYOの質感がよく出た1曲ですね。
Marva Whitney - I'll Work It Out
NORIKIYO / IN DA HOOD
代表曲のひとつも外せません。
NORIKIYO - IN DA HOOD
Lin Wenzeng - Blanket For Couples
元ネタは、Lin Wenzengの「Blanket For Couples」としてネタ帳に登録されています。音源側の情報が少なく、詳細は帳面の登録の範囲でしか分からないのですが、こういう「掘っても掘っても正体が見えにくいネタ」こそ、発掘のロマンだと思います。今回は音源なしのテキスト紹介で失礼します。
SD JUNKSTA / SAGAMI ORIGINAL
最後はグループ名義の1曲を特別に。SD JUNKSTAはNORIKIYOがリーダーを務める所属グループで、「SAGAMI」は地元・相模のレペゼンです。
Al Green - Love Ritual
NORIKIYO…ではなくSD JUNKSTA側の単曲音源が見つからなかったためテキスト紹介になりますが、元ネタはソウルの大御所Al Green(アル・グリーン)の「Love Ritual」。相模のアンセムの下敷きが、メンフィス・ソウルの王道とは。締めにふさわしい構図ですね。
Al Green - Love Ritual
最後に
今回のNORIKIYOの元ネタは、The O'Jays、Terry Huff and Special Delivery、Van Halen、Portishead、S.O.U.L.、Marva Whitney、Lin Wenzeng、Al Greenという布陣でした。
2FACEの「同じ曲で元ネタ違い」、何故の「孫ネタまでつながる三代構造」。今回もネタ帳ならではの発見が多い回になりました。
ネタ帳にはR.I.P(Isley Brothersの「Between The Sheets」)や23時各駅新宿(Willie Hutch)なども残っているので、NORIKIYO編の後編もいずれ。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!