HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第56回目は後編ラインの第15弾、この連載の第15回で扱ったスチャダラパーの後編です!
ネタ帳の登録は138件とアーティスト中最多。前編では5曲しか紹介できなかったので、後編では最大の代表曲を含む7曲を掘ります。
前編は第15回 スチャダラパー 編です。Bose、ANI、SHINCOの3人組、1988年結成・1990年デビューです。
スチャダラパーの曲を元ネタと比較してみましょう
スチャダラパー / サマージャム'96
スチャダラパー側の単曲音源は見つからなかったため、元ネタのみ埋め込みます。前編で扱った「サマージャム'95」とは別曲・別ネタです。
Bobby Hutcherson - Montara
元ネタは、Bobby Hutchersonの「Montara」。
ヴィブラフォンの名手によるラテン・ジャズの名曲。夏の続編には、夏のジャズがよく似合います。
Bobby Hutcherson - Montara
スチャダラパー / 今夜はブギー・バック
小沢健二との共演版でも知られる、スチャダラパー最大のヒット曲。
スチャダラパー - 今夜はブギー・バック
Skull Snaps - It's A New Day
元ネタは、Skull Snapsの「It's A New Day」。
ドラムブレイクの古典中の古典。このビートの上で、日本のポップ史に残る一夜が生まれました。
Skull Snaps - It's A New Day
スチャダラパー / 彼方からの手紙
※この曲は元ネタ登録が10件ある複合ネタ曲です。今回はその代表として1つを紹介します。
スチャダラパー - 彼方からの手紙
George Benson - Breezin'
元ネタの1つは、George Bensonの「Breezin'」。
スムース・ジャズの金字塔。「手紙」の漂うような浮遊感は、この風通しの良さから来ています。
George Benson - Breezin'
スチャダラパー / スチャダラパーのテーマ
スチャダラパー - スチャダラパーのテーマ PT.2
井上尭之バンド - 太陽にほえろ!のテーマ
元ネタは、井上尭之バンドの「太陽にほえろ!のテーマ」。
国民的刑事ドラマのテーマを、自分たちのテーマ曲の下敷きに。1989年のコンテストで特別賞を受けた彼らの出自とも響き合う選出です。
井上尭之バンド - 太陽にほえろ!のテーマ
スチャダラパー / アリゲーター '96
スチャダラパー側はテキストのみで紹介します。
A Tribe Called Quest - Scenario
元ネタは、A Tribe Called Questの「Scenario」。
Busta Rhymesの出世作でもあるUSヒップホップの大アンセムを直接引用。スチャダラパーのUS直系の血筋が分かる1組です。
A Tribe Called Quest - Scenario
スチャダラパー / La★八番
スチャダラパー - La★八番
Sister Nancy - Bam Bam
元ネタは、Sister Nancyの「Bam Bam」。
ダンスホールの永遠の古典。「八番(おはこ)」というタイトルに、十八番ネタの王様を持ってくる遊び心です。
Sister Nancy - Bam Bam
スチャダラパー / プロロローグ
スチャダラパー側はテキストのみで紹介します。
France Gall - Toi que je veux
元ネタは、France Gallの「Toi que je veux」。
60年代フレンチ・ポップのきらめき。プロローグ(序章)にこの華やかさ、という選曲でした。
France Gall - Toi que je veux
最後に
スチャダラパー後編の元ネタは、Bobby Hutcherson、Skull Snaps、George Benson、井上尭之バンド、A Tribe Called Quest、Sister Nancy、France Gallという布陣でした。
ジャズ、ファンク、和モノ、USヒップホップ、ダンスホール、フレンチ・ポップ。138件の登録はまだまだ掘れますが、「ブギー・バック」のSkull Snapsという最大の一組を押さえられたのが今回の収穫です。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!