HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第57回目は後編ラインの第16弾、第16回で扱ったECDの後編です!
2018年に亡くなった、日本の社会派ラップの先駆け。ネタ帳の登録は50件で、前編で扱えたのは一部だけでした。後編では7曲を掘ります。
前編は第16回 ECD 編です。
ECDの曲を元ネタと比較してみましょう
ECD / ALL FREE
※元ネタ登録が4件あるコラージュ曲です。代表として1つを紹介します。
ECD - ALL FREE
James Brown - The Payback
元ネタの代表は、James Brownの「The Payback」。
JBの最も重いファンク。コラージュの土台にこの重さを持ってくるのがECDです。
James Brown - The Payback
ECD / TOKYO TOKYO(通称ダンプカー)
ECD - TOKYO TOKYO (通称ダンプカー)
Keith Jarrett - Death and the Flower
元ネタは、Keith Jarrettの「Death and the Flower」。
ジャズ・ピアニストの幽玄な演奏が、「東京」を歌う曲の下敷きに。もう一つの登録ネタは「ゴジラ対ヘドラ」のサントラという振れ幅もECDらしいです。
Keith Jarrett - Death and the Flower
ECD / BORN TO BE ECD
ECD - BORN TO BE ECD
Manzel - Midnight Theme
元ネタは、Manzelの「Midnight Theme」。
ブレイクビーツの古典として数え切れないほど使われてきた大ネタ。自己紹介曲にこれを選ぶ王道感です。
Manzel - Midnight Theme
ECD / いっそ感電死
ECD側の単曲音源は見つからなかったため、元ネタのみ埋め込みます。
Buzzcocks - Why Can't I Touch It?
元ネタは、UKパンクのBuzzcocksの「Why Can't I Touch It?」。
ヒップホップの外側、パンクからの引用。「感電死」というタイトルに、この焦燥感は確かに合っています。
Buzzcocks - Why Can't I Touch It?
ECD / YOUR LAND
こちらもECD側はテキストのみで紹介します。
フィンガー5 - 恋の研究
元ネタは、フィンガー5の「恋の研究」。
70年代の和モノ歌謡。「YOUR LAND(あなたの土地)」という曲に、日本の歌謡曲を持ってくる意外性です。
フィンガー5 - 恋の研究
ECD / SUMMER MADNESS (Illicit Tsuboi Remix)
ECD - SUMMER MADNESS (Illicit Tsuboi Remix)
Minnie Riperton - Lovin' You
元ネタの代表は、Minnie Ripertonの「Lovin' You」。
あのホイッスルボイスのラブソングを、ECDの夏に。Patrice Rushenも登録されている複合ネタです。
Minnie Riperton - Lovin' You
ECD / リプライズ
ECD側はテキストのみで紹介します。この曲の面白さは元ネタの組み合わせにあります。
Mike Curb Congregation - Burning Bridges
元ネタは2つ。1つはMike Curb Congregationの「Burning Bridges」、もう1つはラロ・シフリンの「戦略大作戦メインテーマ」。
実はこの2つ、どちらも映画「戦略大作戦」(Kelly's Heroes)由来の音楽なんです。同じ映画から二重に引くという、凝った作りのリプライズでした。
Mike Curb Congregation - Burning Bridges
最後に
ECD後編の元ネタは、James Brown、Keith Jarrett、Manzel、Buzzcocks、フィンガー5、Minnie Riperton、Mike Curb Congregationという布陣でした。
ファンクとジャズの王道に、パンクと和モノ歌謡と映画音楽。社会派と呼ばれるECDの言葉の強さは、この雑食のディグに支えられていたんだと思います。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!