今や全国区の紅桜は、16歳のときにFAT BOX CREWのライブに衝撃を受けてラッパーを志した。その出発点を作ったクルーを率いていたのが、岡山・津山のYASである。1997年の活動開始から約30年、津山を離れず、レーベルPartyGunPaulを立ち上げ、実店舗まで構えてシーンのインフラを自前で作り続けてきた。アーティストであると同時に「場所そのもの」を作った人物として、YASのキャリアは読む必要がある。
基本データ
| 名義 | YAS |
|---|---|
| 読み | ヤス |
| 拠点 | 岡山県津山市 |
| 活動開始 | 1997年 |
| 所属 | PartyGunPaul(主宰/BOSS・CEO) |
| 前身 | ゼロディフェクト(1997年結成)/FATBOX CREW(1999年結成) |
来歴
1997年、地元・津山のPUG、DJ MIKIと2MC1DJユニット「ゼロディフェクト」を結成し、1stシングル「ピットブルース」を自主制作でリリース。同年からラッパーとしての活動が始まった。1999年にはHIPHOP集団FATBOX CREWを結成し、イベント運営と音源リリースを重ねて「津山のHOODSTAR」としての地位を固めていく。2006年にソロ1stミニアルバム『1819』を発表。タイトルは地元津山の番地に由来し、土地への帰属をデビュー作の名前に刻んだ。
2012年、FATBOXから派生する形で新レーベルPartyGunPaul(PGP)を設立。2014年にはレーベルのオフィス兼フラッグショップ「GUNPAUL」を岡山駅前にオープンし、ソロシングル「十字架」「最重要最低地区」「Over Dose」を放った。2017年6月には『1819』『パズル』『REACH Ⅳ THE STAR - EP』、FAT BOX CREW『LEGEND OF PHAT』の旧作4作が一括でデジタル再発されている。
2022年8月、EP『THE ONE』をリリース。全曲をDJ KAJIが手がけ、iTunes Storeのヒップホップ/ラップ・アルバムチャートで日本12位を記録した。収録曲「Lose Yourself」は紅桜、4PRIDE、DON KABACHI、VOCA Luciano、HKR、YAMATOが集結するレーベル総出演のポッセカットで、個人技の見せ場というより津山クルーの結束の証明として聴ける。2023年以降も「Goryu (feat. Chouji)」、CHOUJI・SNIPEとの共作EP『Bloom』(2026年)、「Amemoyo」「Sunset Dream」と、2026年までリリースが続いている。約30年、地元を離れず現役であり続けること自体が、彼の信用の土台だと私は思う。
年表
| 1997年 | ゼロディフェクト結成/「ピットブルース」自主制作 |
|---|---|
| 1999年 | FATBOX CREW結成 |
| 2006年 | ソロ1stミニアルバム『1819』 |
| 2012年 | レーベルPartyGunPaul設立 |
| 2014年 | フラッグショップ「GUNPAUL」オープン/シングル「十字架」 |
| 2017年 | 旧作4作が一括デジタル再発 |
| 2022年 | EP『THE ONE』(iTunesヒップホップアルバム12位) |
| 2026年 | 共作EP『Bloom』/シングル「Amemoyo」「Sunset Dream」 |
音楽性
中心にあるのは「津山という土地のリアルと、そこで生き続ける者の生き様」だ。地元の番地を冠した『1819』、フッドを歌う「In My Hood」「WELCOME TO DOGGTOWN」、クルーへの賛歌と、レペゼンの色が濃い。流行のサウンドに寄せず、時代に媚びない頑固さが評価軸になってきたタイプで、サウンドの核は『THE ONE』で全曲を手がけたDJ KAJI。メロディのキャッチーさで拡散する音楽ではないが、シーン内部と地域に根ざした支持は厚い。
ディスコグラフィ
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| 発売日 | タイトル | 形態 |
|---|---|---|
| 2006年(原盤) | 1819 | ソロ1stミニアルバム(8曲、2017年デジタル再発) |
| 2017-06-24(配信) | パズル | フルアルバム(15曲。FATBOXの1stフルアルバムとして発表、配信名義はYAS) |
| 2017-06-24(配信) | REACH Ⅳ THE STAR - EP | EP(5曲) |
| 2017-06-24(配信) | LEGEND OF PHAT(FAT BOX CREW) | アルバム(8曲) |
| 2022-08-24 | THE ONE | EP(7曲) |
| 2014-04-25 | 十字架 | シングル |
| 2015-02-18 | 最重要最低地区 | シングル |
| 2015-03-11 | Over Dose | シングル |
| 2023-06-16 | Goryu (feat. Chouji) | シングル |
| 2026-05-10 | Bloom - EP(CHOUJI, YAS & SNIPE) | 共作EP(6曲) |
| 2026-07-07 | Amemoyo (feat. 4PRIDE) | シングル |
| 2026-08-26 | Sunset Dream (feat. HKR & ikiSNIPE) | シングル |
| 2015-04-01 | MMM (feat. HKR, SONIC & YAS)(4PRIDE) | 客演 |
| 2017-12-06 | フルスイング feat. BIG Iz MAFIA, YAS(4Pride) | 客演 |
| 2023-11-27 | Oreranoban (feat. 4PRIDE & YAS)(アジエンスサウンド) | 客演 |
| 2024-05-15 | Hyakurenseikou (feat. 1Low, YAS & MISTA O.K.I)(4PRIDE) | 客演 |
代表曲
- 「In My Hood (feat. GAYA-K)」— 『THE ONE』収録。DJ KAJIのビートに乗せて自分のフッドを歌う、YASのレペゼン精神が最も直截に表れた曲。公式MVで観ると、津山の空気ごと伝わってくる。
- 「The One (feat. VOCA Luciano)」— 『THE ONE』のタイトル曲。レーベルの看板を背負う者の自己規定として聴ける一曲で、頑固なまでのスタイルの貫き方が気持ちいい。
- 「1819」— ソロ1stミニアルバムのタイトル曲。地元の番地を曲名にする発想自体が、彼のレペゼンの原点だ。
- 「Flow In My Life」— 『THE ONE』の幕開けを飾る曲。約25年のキャリアを経てなお生活とラップが地続きであることを示す、現在のYASの入口にふさわしい一曲。
出典・確認日
TuneCore Japan(本人アーティストページ・公式リンクページ)、Apple Music、ORICON(レーベルプロフィール)、PartyGunPaul公式YouTubeチャンネル。2026年11月8日確認。
