作品を出し、イベントを開き、レーベルを作る。広島のPSYCHO BLOWは、1990年代末から2000年代の広島ヒップホップの「基盤」そのものを担ったグループである。実の兄弟である雷人とILL SKILLの2MCに、2002年からDJ SETTIが加わった3人体制。主催イベント「HIPHOP」は10年続き、2008年には自主レーベルKIMERA RECORDSを設立して1stアルバム『THE LUST ALBUM』を放った。本人名義の配信は今も存在せず、聴くにはCDやアナログ、残された映像に当たるしかない。その届きにくさが、かえって彼らの記録の重みを増している。
基本データ
| 名義 | PSYCHO BLOW |
|---|---|
| 読み | サイコブロウ |
| 拠点 | 広島県広島市 |
| メンバー | 雷人(らいじん、MC)/ILL SKILL(MC、雷人の実弟)/DJ SETTI(DJ、2002年加入) |
| 結成 | 1998年 |
| レーベル | KIMERA RECORDS(2008年設立) |
来歴
雷人は1994年から広島のヒップホップシーンで活動し、1998年に実弟ILL SKILLとPSYCHO BLOWを結成した。兄の熱いステージングと弟のクールな佇まいの対比は「FIRE & ICE」と呼ばれ、彼らの見どころとして同時代の資料に繰り返し記されている。2000年には主催イベント「HIPHOP」を開始。国内外のゲストを招く広島の代表的なイベントとして、2010年の最終回まで10年間続いた。2002年にDJ SETTIが正式加入して3人体制となり、2005年には黒羽、DOUGH BOYと4MC1DJユニットLOCARHYTHM TELLAも結成している。
2007年、アナログシングル「広島鯉城賛歌」をリリース。広島城の別称「鯉城」を冠した地元賛歌はグループの象徴となり、「鯉城」の二文字はその後も制作チーム名や作品の品番にまで刻まれ続けた。2008年9月20日、1stアルバム『THE LUST ALBUM』(全11曲)を発売し、同時に自主レーベルKIMERA RECORDSを設立。ORICONは彼らを「広島のHIP HOP代表」と紹介した。2010年には2-EIGHTのアルバム『出馬』に客演し、同作はKIMERA RECORDSから発売されている。
私がPSYCHO BLOWの記録を辿って強く感じるのは、彼らの活動が「自分たちが売れること」よりも「地元に場を残すこと」に向いていた点だ。イベントの最終回を前に雷人は、若いMCへステージ経験を渡してきた経緯を自身のブログに記している。現在の広島シーンを語る地域ガイドが、彼らを代表格の筆頭に置いて「基盤」と評するのも頷ける。
年表
| 1994年 | 雷人が広島で活動開始 |
|---|---|
| 1998年 | 雷人とILL SKILLがPSYCHO BLOWを結成 |
| 2000年 | 主催イベント「HIPHOP」開始(2010年まで10年間継続) |
| 2002年 | DJ SETTIが正式加入 |
| 2005年 | LOCARHYTHM TELLA結成 |
| 2007年 | アナログシングル「広島鯉城賛歌」 |
| 2008年 | 『THE LUST ALBUM』発売/KIMERA RECORDS設立 |
| 2010年 | 主催イベント「HIPHOP」最終回/2-EIGHT『出馬』に客演 |
音楽性
メッセージ性の強いリリックと太いビートが武器で、同時代のプロフィールは雷人の熱量とILL SKILLの冷静さの対比を繰り返し取り上げた。ライブ本数で勝負するタイプのアクトで、ROCKやREGGAEのイベントにも数多く出演し、ジャンルを越えた支持を得ていた。広島城の別称「鯉城」をシングル名、制作チーム「鯉城 HIT MAKERS」、『THE LUST ALBUM』の品番「RIJO-1」にまで通したように、地名を作品の背骨にする姿勢が一貫している。
ディスコグラフィ
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
| 発売日 | タイトル | 形態 |
|---|---|---|
| 2007年 | 広島鯉城賛歌 | アナログシングル(配信なし) |
| 2008-09-20 | THE LUST ALBUM | CDアルバム(11曲、品番RIJO-1、配信なし) |
| 2010-06-30 | 出馬(2-EIGHT)収録「NO HIP HOP NO LIFE Remix」 | 客演 |
| 2008-03-05(配信) | 呵責(BustaBuddy)収録「絆 (feat. PSYCHO BLOW & BUSTA FAMILIA)」 | 客演 |
※PSYCHO BLOW本人名義の作品は、2026年11月現在Apple Music等の配信サービスでは提供されていない。
代表曲
- 「III THE HARD WAY」— 『THE LUST ALBUM』収録。TAKEに捧げるバラードとして、本人チャンネルに映像(m.m.v)が残されている。配信のない彼らの音源に触れる、数少ない公式の入口だ。
- 「NO HIP HOP NO LIFE Remix」— 2-EIGHT『出馬』収録の客演曲で、配信で聴けるPSYCHO BLOWの参加曲。自分たちのレーベルKIMERA RECORDSからの発売という点でも、彼らの立ち位置を象徴している。
- 「絆 (feat. PSYCHO BLOW & BUSTA FAMILIA)」— 北海道のBustaBuddyのアルバム『呵責』収録。地域を越えて客演し合う関係性が、当時の地方シーン同士の接続を物語る。
関連リンク
出典・確認日
ORICON NEWS(アーティストプロフィール・商品ページ)、Rap Atlas広島・中国編(HIPHOPCs)、Apple Music(客演作品)、本人YouTubeチャンネル「psychoblow」。2026年11月8日確認。
