わずか5日間で4曲。しかも、きっかけは「勘違い」だったと伝えられている。2012年6月、SIMI LABを脱退したばかりのQNが、地元・相模原の先輩NORIKIYOに名指しのディスを放ち、NORIKIYOが即座にアンサーで応じた。スピード感のあるネット上の応酬は、3年後の思わぬ「再合流」で幕を閉じる。
| 当事者 | QN(当時SIMI LABを脱退した直後) × NORIKIYO(SD JUNKSTA) |
|---|---|
| 勃発 | 2012年6月21日、QN「My Street Knock」 |
| 発端 | NORIKIYOのTwitterでの発言への反応とされる(後に「勘違いだった」とも伝えられる) |
| 応酬 | 4曲(QN 2曲、NORIKIYO 2曲)が5日間で往復した |
| 決着 | 2015年、QN(菊地一谷名義)のアルバムにNORIKIYOが客演し、和解が形になった |
| 型 | 楽曲応酬型(ネット発) |
脱退直後のQNが、次に牙を剥いた相手

QNは、神奈川・相模原を拠点とするヒップホップ集団SIMI LABのMC/プロデューサーだった。2012年、同じSIMI LABのOMSBへのディス曲「OMSbeef」をネットで公開し、6月12日に脱退が発表される。6月15日には3rdソロアルバム『New Country』を発売したばかりだった。
その矢先、QNはNORIKIYOのTwitterでの発言に反応したとされる。ただし後年の解説では、その発言は本来QNに向けたものではなく、QN側の「勘違い」だったようだとも伝えられている。真相は当事者のみぞ知るところだが、この行き違いがビーフの引き金になった。
5日間、4曲の応酬
2012年6月21日、QNは「Dear NORIKIYO」というコメントとともに、ディス曲「My Street Knock」のMP3をネットで公開した。音楽ナタリーは同日、「SIMI LAB脱退のQN、今度はNORIKIYOをDIS」と報じている。同じ相模原を地元とする先輩への批判は痛烈だった。
応酬は速かった。NORIKIYOは翌6月22日(21日深夜)、自身のブログでアンサー曲「残念でちゅね」を公開。その日のうちにQNが「LEVEL4 (Norikiyo Is Over)」で再びディスを放ち、6月25日、NORIKIYOが「お手上げでちゅね」で応えて「QN君がまた返して来ても俺はもう返しません」と打ち止めを宣言した。5日間で4曲が飛び交う、初期のネットビーフらしい速度の応酬だった。
| 日付 | 誰→誰 | 楽曲・媒体 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 2012年6月12日 | ― | SIMI LAB | OMSBへのディス曲「OMSbeef」を経て、QNの脱退が発表される |
| 2012年6月21日 | QN → NORIKIYO | 「My Street Knock」(MP3公開) | 「Dear NORIKIYO」と添えて名指しディス。音楽ナタリーが同日報道 |
| 2012年6月22日 | NORIKIYO → QN | 「残念でちゅね」(ブログ公開) | 翌日に即アンサー |
| 2012年6月22日 | QN → NORIKIYO | 「LEVEL4 (Norikiyo Is Over)」 | 同日中に再ディス |
| 2012年6月25日 | NORIKIYO → QN | 「お手上げでちゅね」 | 「もう返しません」と打ち止めを宣言し、応酬は収束 |
3年後、「まさかの再合流」

その後の和解は、楽曲の形で示された。2015年3月18日、QNは「菊地一谷」へ改名してのアルバム『CONCRETE CLEAN 千秋楽』を発表し、そこにNORIKIYOが客演した(「アチチチ feat. NORIKIYO」)。TOWER RECORDSの音楽メディアMikikiは、この共演を「ビーフのあったNORIKIYOとのまさかの再合流」と評している。2019年にはNORIKIYOのアルバム『平成エクスプレス』にQNが客演し、関係の修復は一度きりの出来事ではなくなった。
菊地一谷「アチチチ feat. NORIKIYO」(収録アルバム『CONCRETE CLEAN 千秋楽』)をApple Musicで聴く
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
このビーフの位置づけ
アルバムの発売直前、グループ脱退の直後というタイミングから、「プロモーションではないか」と疑う声も当時あったと伝えられるが、真相は確認できていない。確かなのは、SNSとMP3公開によってビーフの速度が一変した時代の、象徴的な一件だということだ。そして結末が「客演」という形で示された点でも、日本のビーフ史の中で穏やかな終わり方をした事例として残っている。
音源について
応酬の4曲はいずれもネット公開のMP3やブログでの発表で、公式YouTube動画や公式配信は確認できなかった。そのため本記事では、和解後の共演曲のみApple Musicへのリンクを掲載した。
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出典・確認日
本記事の事実関係は、音楽ナタリーの報道(2012年6月21日)、Wikipedia「菊地一谷」「SIMI LAB」、HIPHOP FLAVAのSIMI LAB解説、Mikiki(TOWER RECORDS)のレビューを中心に、当時の記録を集めたビーフまとめ記事も参照して、2026年11月3日に確認した。発端がQN側の「勘違い」だったという点は、後年の解説に基づく伝聞として記載した。
