KANDYTOWN(キャンディータウン)は、東京・世田谷を拠点に活動したヒップホップ・クルー。前身クルーのBANKROLLとYaBastaが合流して2012年に結成され、総勢16名と称される大所帯で、ラッパー、DJ、トラックメイカー、映像作家、アートディレクターまでを内に抱えた。2016年にWarner Music Japanからメジャーデビュー。ソウルやR&Bのサンプリングを基調にしたメロウなサウンドと、ファッションブランドとのタイアップでも知られた。2022年10月に「終演」を発表し、2023年3月8日の日本武道館公演「LAST LIVE」をもって11年間の活動に幕を下ろした。
基本データ
| アーティスト名 | KANDYTOWN |
|---|---|
| メンバー | IO、Ryohu、KEIJU、Gottz、MUD、BSC、DIAN、Holly Q、Dony Joint、Neetz、DJ MASATO、DJ Weelow、DJ Minnesotah(13人)。故・YUSHI |
| 結成 | 2012年(前身クルーBANKROLLとYaBastaが合流) |
| 活動期間 | 2012年〜2023年3月(「終演」) |
| 出身地/拠点 | 東京都世田谷区 |
| メジャーデビュー | 2016年11月2日、アルバム『KANDYTOWN』 |
| 所属・レーベル | KANDYTOWN LIFE/Warner Music Japan |
| 公式サイト | KANDYTOWN | Warner Music Japan |
メンバー
終演時点のメンバーは以下の13人。いずれも世田谷で育った幼馴染を中心とする面々で、音楽だけでなく映像やアート、ファッションの分野でもそれぞれが活動している。
- IO(MC/映像・アートディレクション):BANKROLLのメンバー。映像制作チームTAXi FILMSに所属し、クルーのアートディレクションも担う。ソロではDef Jam Recordingsからアルバム『Player's Ballad.』(2019年)を発表。
- Ryohu(MC/トラックメイカー):BANKROLLのメンバー。ズットズレテルズ、Aun beatzでも活動し、ソロでは1stアルバム『DEBUT』(2020年)を発表。
- KEIJU(MC):YaBastaのメンバー。旧名義はYOUNG JUJU。2017年にソロでメジャーデビューし、現名義に改名した(KEIJUの名鑑記事も参照)。
- Gottz(MC):YaBastaのメンバー。ソロアルバム『SOUTHPARK』(2018年)のほか、MUDとのユニットGottz & MUDでも活動。
- MUD(MC):東京都町田市出身。高校時代にBANKROLLの面々と交流を深め、KANDYTOWNに参加。ソロアルバム『MAKE U DIRTY』(2017年)を発表。
- BSC(MC):BANKROLLのメンバー。BIG SANTA CLASSIC、BABY SANTA CLAUS、屍三太郎など多くの名義を持つ。ソロアルバム『JAPINO』(2019年)を発表。
- DIAN(MC):YaBastaのメンバー。
- Holly Q(MC):YaBastaのメンバー。俳優・上杉柊平としても活動している。
- Dony Joint(MC):BANKROLLのメンバー。アパレル/ジュエリーブランドGOOD ¥ELLAのプロデュース・デザインも手がける。
- Neetz(MC/トラックメイカー/エンジニア):レコーディングエンジニアでもあり、KANDYTOWN作品の多くのプロデュースとレコーディングを担った。
- DJ MASATO(MC/DJ):BANKROLLのメンバー。Minnesotahとともに渋谷のクラブContactでパーティ「Mari」を主催。
- DJ Weelow(DJ):YaBastaのメンバー。クルーのライブでバックDJを務める。
- DJ Minnesotah(DJ):作品中でスクラッチも担当。MASATOとともにパーティ「Mari」を主催。
結成当初からの中心メンバーだったYUSHI(MC/トラックメイカー)は、2015年2月14日に事故により23歳で逝去した。以後もメンバーとして扱われ続け、楽曲の中のフックや、終演公演での映像演出などを通して、クルーの中に存在し続けた。旧メンバーとして、MCのKIKUMARUと、トラックメイカーのMIKI(2019年脱退)がいる。2人は2023年の日本武道館公演にも参加し、「総勢16名」というクルーの総数を形作った。
来歴
KANDYTOWNの母体は2つのクルーである。2005年に結成されたBANKROLLと、2010年に結成された年下組のYaBastaが、2012年に合流してKANDYTOWNとなった。メンバー同士の付き合いは中学・高校時代、さらには幼少期にまでさかのぼる。2014年11月にフリー・ミックステープ『KOLD TAPE』を発表し、2015年1月には1stストリートアルバム『BLAKK MOTEL』を500枚限定でリリースした。
2015年2月14日、中心メンバーのYUSHIが事故で逝去する。クルーはリーダーを置かない形で活動を続け、同年9月にはトラックメイカーのNoshとのコラボアルバム『Kruise'』を発表した。2016年3月にはReebok CLASSICとのコラボ楽曲「GET LIGHT」のミュージックビデオが公開され、ファッションシーンからも注目を集める存在になっていく。
2016年11月2日、Warner Music Japanからメジャー1stフルアルバム『KANDYTOWN』をリリース。オリコン週間アルバムランキングで最高35位を記録し、初のワンマンツアーも開催した。2017年にはTimberlandのタイアップ曲「Few Colors」、2018年には「1TIME4EVER」を配信。2019年2月にはEP『LOCAL SERVICE』を発表し、10月には2ndフルアルバム『ADVISORY』をリリースした。2020年にはNIKEのAIR MAX 2090にインスパイアされた「PROGRESS」を発表。2021年にはEP『LOCAL SERVICE 2』と、その2作をまとめた2CD『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』、シングル「METHOD」をリリースした。なお『LOCAL SERVICE』『LOCAL SERVICE 2』、そして2022年の「Blue Verse」はいずれも、YUSHIの命日である2月14日にリリースされている。
終わりへの意識は早くからあった。メンバーの証言によれば、『ADVISORY』をリリースして少し経った頃の大阪公演で「KANDYTOWNとしての活動の終わらせ方」を話し合い、「次のアルバムをラスト・アルバムにしよう」という気持ちが共有されていたという。2022年9月にリードシングル「Curtain Call」を配信し、10月13日に2023年3月をもっての「終演」を発表。11月30日に3rdフルアルバム『LAST ALBUM』をリリースし、オリコン最高13位を記録した。
2023年3月8日、東京・日本武道館で単独公演「LAST LIVE」を開催。チケットは発売から約10時間で完売し、ステージレイアウトを変更して追加販売された分も即完売した。360度を客席に囲まれた床全面LEDのステージで、1万2千人の観客を前にパフォーマンス。旧メンバーのKIKUMARUとMIKIも参加し、最後の曲はYUSHIに捧げられた。この公演をもってKANDYTOWNは「終演」を迎えた。彼らが解散や活動休止ではなく「終演」という言葉を選んだ理由は、フジテレビのドキュメンタリー番組『KANDYTOWN LIFE<Wナイト>』でも掘り下げられている。終演公演の模様は、2024年2月14日にBlu-ray『LAST LIVE at NIPPON BUDOKAN』として発売された。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2005年 | 前身クルーBANKROLLが結成(2010年にはYaBastaも結成) |
| 2012年 | BANKROLLとYaBastaが合流し、KANDYTOWN結成 |
| 2014年 | フリー・ミックステープ『KOLD TAPE』を発表 |
| 2015年 | ストリートアルバム『BLAKK MOTEL』、コラボアルバム『Kruise'』を限定リリース。2月14日にYUSHIが逝去 |
| 2016年 | 「GET LIGHT」のMV公開。アルバム『KANDYTOWN』でメジャーデビュー |
| 2017年 | Timberlandタイアップ曲「Few Colors」を配信 |
| 2019年 | EP『LOCAL SERVICE』、2ndアルバム『ADVISORY』をリリース。MIKIが脱退 |
| 2020年 | NIKEにインスパイアされた「PROGRESS」をリリース |
| 2021年 | EP『LOCAL SERVICE 2』『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』、シングル「METHOD」をリリース |
| 2022年 | 「Blue Verse」「Curtain Call」を配信。10月に「終演」を発表し、『LAST ALBUM』をリリース |
| 2023年 | 3月8日、日本武道館公演「LAST LIVE」をもって「終演」 |
| 2024年 | Blu-ray『LAST LIVE at NIPPON BUDOKAN』発売 |
音楽性
KANDYTOWNの楽曲は、ソウルやR&Bからのサンプリングを基礎にしたメロウなトラックの上に、大所帯のMCがマイクを回していくマイクリレーの形式が基本形だ。曲ごとに異なる組み合わせのメンバーが参加し、クルーの日常や地元・世田谷への思いを歌うリリックが、都会的で洗練されたサウンドと同居している。
もうひとつの特徴は、クリエイティブの自己完結性にある。ミュージックビデオはIOやYOUNG JUJU(KEIJU)が所属する映像チームTAXi FILMS、のちの作品ではdutchこと山田健人が手がけ、アートディレクションもIOが担うなど、音楽の外側の表現までクルーの内側で作り上げてきた。Reebok、Timberland、NIKE、Carhartt WIPといったファッションブランドとのタイアップも多く、音楽とファッションの両面から支持を集めた点も、このクルーの特異な存在感を作っていた。
ディスコグラフィ
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
| リリース日 | タイトル | 種別 |
|---|---|---|
| 2014年11月30日 | KOLD TAPE | ミックステープ(フリーダウンロード。Apple Musicでの配信なし) |
| 2015年1月25日 | BLAKK MOTEL | ストリートアルバム(500枚限定。Apple Musicでの配信なし) |
| 2015年9月30日 | Kruise' | Noshとのコラボアルバム(500枚限定。Apple Musicでの配信なし) |
| 2016年11月2日 | KANDYTOWN | メジャー1stアルバム |
| 2017年8月30日 | KANDYTOWN LIFE Presents "Land of 1000 Classics" (Mixed by MASATO and Minnesotah) | DJミックス |
| 2017年9月29日 | Few Colors | 配信シングル |
| 2018年2月14日 | 1TIME4EVER | 配信シングル |
| 2019年2月14日 | LOCAL SERVICE | EP |
| 2019年9月6日 | HND | 配信シングル(『ADVISORY』先行配信) |
| 2019年10月23日 | ADVISORY | 2ndアルバム |
| 2019年11月15日 | ADVISORY (Remixies) | EP |
| 2020年3月26日 | PROGRESS | 配信シングル |
| 2021年2月14日 | LOCAL SERVICE 2 | EP |
| 2021年4月21日 | LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION | 2CD(2000枚限定生産。パッケージとしてのApple Music配信なし) |
| 2021年6月25日 | METHOD | 配信シングル |
| 2022年2月14日 | Blue Verse | 配信シングル |
| 2022年9月23日 | Curtain Call (feat. KEIJU, Ryohu & IO) | 配信シングル |
| 2022年11月30日 | LAST ALBUM | 3rdアルバム(最終作) |
| 2024年2月14日 | LAST LIVE at NIPPON BUDOKAN | 映像作品(Blu-ray) |
代表曲
R.T.N
メジャー1stアルバム『KANDYTOWN』のリード曲。YUSHIによるフックを持つ、クルーを象徴する一曲で、ミュージックビデオはMTVの「HOT SEAT」やMUSIC ON! TVのレコメンドに選出された。終演公演でもクライマックスを飾った。
Get Light
2016年にReebok CLASSICとのコラボレーションで制作された楽曲。YOUNG JUJU(KEIJU)、MUD、DIAN、IOが参加し、Neetzがプロデュース。浅草を舞台にしたミュージックビデオとともに、クルーの名をファッションシーンにも広げた。
Few Colors
2017年発表の配信シングルで、Timberlandの2017年秋冬タイアップソング。メンバー全員が同じブーツを着用して出演するミュージックビデオは、TAXi FILMSが手がけた。
Till I Die
EP『LOCAL SERVICE』のリード曲。Ryohu、MASATO、BSCの3人がラップで参加し、Neetzがプロデュースした、クルーの結束を歌う一曲。
Last Week
2ndアルバム『ADVISORY』の収録曲。IO、Gottz、MUDが参加し、トラップ寄りのビートでアップデートされたKANDYTOWNの姿を示した。アルバムに先駆けてミュージックビデオが公開された。
Until The End Of Time
『ADVISORY』の最後を飾る楽曲で、Dony Joint、Holly Q、IOが参加。ミュージックビデオには仲間と過ごす普段の姿やレコーディング、ライブなど、2019年の彼らの軌跡が収められている。
One More Dance
EP『LOCAL SERVICE 2』の収録曲で、IO、Gottz、Holly Qが参加したダンサブルな一曲。コロナ禍のステイホーム期間に公開された楽曲を再レコーディングしたもので、ライブでも人気の高いナンバー。公式のミュージックビデオはないため、Apple Musicへのリンクで紹介する。
Apple Musicで聴く(「One More Dance」)
Curtain Call
最後のアルバム『LAST ALBUM』のリードシングル。KEIJU、Ryohu、IOの3人が参加し、自ら幕を引こうとする心境を歌った、終演へのアンセム。ミュージックビデオはdutchこと山田健人が監督し、日本武道館公演もこの曲で幕を開けた。
今後のライブ
KANDYTOWNは2023年3月8日の日本武道館公演「LAST LIVE」をもって「終演」しており、KANDYTOWNとしての今後のライブ予定はない。PLAY MAGAZINEのライブ情報にも、2026年12月のKANDYTOWNの公演は登録されていない。
終演後もメンバーはそれぞれソロやユニットで活動を続けており、2023年9月のフェス「THE HOPE 2023」では、IOのソロステージにメンバーが集結して「R.T.N」を披露する場面もあった。ただし、KANDYTOWN名義での再始動や再演公演の公式発表は、現時点では行われていない。
出典・確認日
- Warner Music Japan 公式アーティストページ/ディスコグラフィ(KANDYTOWN)
- ORICON NEWS/ORICONプロフィール(KANDYTOWN、KEIJU)
- Rolling Stone Japan(「LAST LIVE」オフィシャルレポート/『LAST ALBUM』インタビュー)
- Spincoaster(「LAST LIVE」オフィシャルレポート)
- ele-king(インタビュー/リリース情報)
- P-VINE(BSC、YOUNG JUJU プロフィール)
- Apple Music(各作品ページ)
- Wikipedia「KANDYTOWN」(補助資料)
確認日:2026年11月2日
