HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第49回目は後編ラインの第8弾、Dragon Ashの後編です!
第20回の前編では、Grateful Days、I LOVE HIP HOP、DEEP IMPACT、陽はまたのぼりくりかえすなどを掘りました。Dragon Ashの初期は「ヒップホップ期」と呼ばれるほどサンプリングの塊で、後編も濃いです。今回は7曲です。
前編は第20回 Dragon Ash 編です。
Dragon Ashの曲を元ネタと比較してみましょう
Dragon Ash / Canvas
Dragon Ash - Canvas
The Smashing Pumpkins - Tonight, Tonight
元ネタは、The Smashing Pumpkinsの「Tonight, Tonight」。
前編のGrateful Days(元ネタは「Today」)に続いて、スマパン2連発。Kjのオルタナ熱がサンプリングにも表れています。
The Smashing Pumpkins - Tonight, Tonight
Dragon Ash / Communication
Dragon Ash側はライブ映像で紹介します。この曲、ネタ帳の登録が4件もある複合ネタです。
Dragon Ash - Communication (LIVE)
The Turtles - I'm Chief Kamanawanalea
登録のひとつが、The Turtlesの「I'm Chief Kamanawanalea (We're the Royal Macadamia Nuts)」。
The Turtles - I'm Chief Kamanawanalea
Grandmaster Flash & The Furious Five - Flash To The Beat
もうひとつが、Grandmaster Flash & The Furious Fiveの「Flash To The Beat」(帳の表記は「Flash it to the Beat」)。
Grandmaster Flash & The Furious Five - Flash To The Beat
この他にDJ Babuのバトルブレイク2件(「Scratch Sentence One」「Romeo And Juliet Break」)も登録されています。ターンテーブリスト的な素材の寄せ集め感が、この曲の正体です。
Dragon Ash / Humanity
Dragon Ash - Humanity
Man Parrish - Boogie Down (Bronx)
元ネタは、Man Parrishの「Boogie Down (Bronx)」。
エレクトロ・ファンクの古典中の古典。Dragon Ashのヒップホップ期の教科書的な選出です。
Man Parrish - Boogie Down (Bronx)
Dragon Ash / let yourself go, let myself go
Dragon Ash - let yourself go, let myself go
Art Of Noise - Beat Box
元ネタは、Art Of Noiseの「Beat Box」。
Trevor Horn一派の実験集団の代表作。サンプリングそのものを音楽にしたグループの曲をサンプリングするという、メタな構造も面白いところです。
Art Of Noise - Beat Box
Dragon Ash / 21st Century Riot
Dragon Ash - 21st Century Riot
Eddie Bo - Hook And Sling
元ネタは、ニューオーリンズのEddie Boの「Hook And Sling」。
21世紀の暴動の号砲は、60年代ニューオーリンズ・ファンクでした。
Eddie Bo - Hook And Sling
Dragon Ash / Viva la revolution
Dragon Ash - Viva la revolution
Tin Star - Viva
元ネタは、Tin Starの「Viva」。
タイトル同士がそのまま呼応する組み合わせ。革命の歌の源流です。
Tin Star - Viva
Dragon Ash / Life goes on
Dragon Ash - Life goes on
Fun Factory - I Wanna B With U
元ネタは、ドイツのユーロダンス・グループFun Factoryの「I Wanna B With U」。
ソウルでもロックでもなく、90年代ユーロダンス。Dragon Ashのネタの振れ幅の広さを象徴する1曲で締めます。
Fun Factory - I Wanna B With U
最後に
Dragon Ash後編の元ネタは、The Smashing Pumpkins、The Turtles、Grandmaster Flash & The Furious Five、Man Parrish、Art Of Noise、Eddie Bo、Tin Star、Fun Factoryという布陣でした。
前編と合わせると、Dragon Ashの「ヒップホップ期」のサンプリングの教科書がほぼ揃います。ロックバンドとして知られる彼らの足元に、こんなに分厚いヒップホップの土台があったことの再確認でした。
残りはAttention(DJ Shadow)、Amploud(Kid Rock)などわずかです。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!