HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを説明しましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。あくまで曲の一部分を引用するだけなので、基本的な歌詞やメロディーラインをそのままなぞるカバーやアレンジとは別物である。
-サンプリング wikipediaより引用
とまとめられています。わかりやすいですね!
要するに"音や歌詞の一部分を使うことによって、既存の曲から新しい音楽を作る"ってことですね。
よくパクリだ!と騒がれたりするので境界線が非常に難しい問題でもあるのですが、HIPHOPのカルチャーですから元の作品に対しての"リスペクト"を込めた上でのものだと思います。
まぁ、カッコ悪かったらわざわざそれを取り入れようなんて思わないですよね笑
今ではHIPHOP以外でも取り入れられるようになったサンプリングですが、その起源はもともとは"DJ Kool Herc"による二枚のレコードを使ったブレイクタイムの無限ループによってお客さんを盛り上げたのが最初と言われています。
"お客さんのために"という精神から始まっているようですね!
この記事ではいろんなアーティストの曲の元ネタとなったサンプリング元の曲を探っていきます。
それを知ることによってこの曲のこういうところを編集してトラックを作っているのか!というところで勉強になったりすると思います。
アーティストや曲について深く知ってよりHIPHOPカルチャーを理解していきましょう!
ってことで、第6回目はSALUの元ネタを探っていきましょう!
SALUの曲を元ネタと比較してみましょう
RAP GAME
この曲は2019年の3月6日(SALUの日)にゲリラリリースされた、SALUの決意表明ともいえる曲です。
SALUがラジオで聴いたKick The Can Crew(キックザカンクルー)の影響でキャリアをスタートさせたこと、RAPへの感謝などがう綴られています。
このMVには特徴があり、下記のアーティスト12組がカメオ出演しています。フィーチャリングではなく、映像出演のみというのがなかなか贅沢な使い方ですよね。
Awich/B1SKET/ELIONE/JAGGLA/JP THE WAVYJP/Kvi baba/NormcoreBoyz/RYKEY/SKY-HI/ SWAY/孫 GONG/唾奇
そしてSALUが着用しているアイテムにも注目です。SALUがプロデュースしているアパレルブランドの『ACVI』をMV内で着用しているんですね。マルチに活躍するSALUはすごいですね。
RAP GAME
この曲のサンプリング元ネタは、アメリカはNY出身の女性シンガーBrenda Russellから、1988年のTop10ヒット作、「Piano In The Dark」です。この楽曲は、別れへの予感と、彼への想いが切なく歌い上げられています。
80年代といえば、「Quiet Storm」(クワイエットストーム)などのソフト&メロウな曲調のものが流行っており、この曲もオシャレなメロディーラインにハスキーなボーカルが乗って非常にエモさを感じる曲となっています。
知る人ぞ知るみたいなネタですが、実はこの曲「Brooklyn Dreams」というR&Bグループのシンガー、Joe Espositoがバックボーカルを担当しています。
そして、この曲の面白いところは、じつはPVが2パターンあるところ
PV1
ストーリー調に仕上げられたPVです。ブルーフィルムが雰囲気ありますよね。
PV2
こちらはさきほどのものと雰囲気は似ていますが、白黒で撮影されたPVです。こちらもエモさがありますね。
Brenda Russell / Piano In The Dark
この曲はサンプリングの元ネタでは結構鉄板的なものとなっており、Flo Ridaなんかも使っていますね。
Flo Rida - I Cry
SALU / Walk This Way
2曲目は、2017年5月24日に発売されたアルバム「INDIGO」のリード曲、ピアノのリフと力強い意思を表明するリリックが特徴的な曲、「WALK THIS WAY」。
全編ニューヨークで撮影されたこの曲は、Yudai Maruyamaが監督を務め、過去のSALUのMVを彷彿とさせるシーンが織り交ぜられているのが特徴的。そして思わず「やり方うまいな~」と思わされたのは、MV途中でQRコードが出現し、アルバムの全曲視聴やNYでの撮り下ろし写真が公開されたページがあること。(現在は、アクセスできなくなっています。)
個人的には、前作で表現した「ポップさ」は、SALU自身が「ポップの方向に進みたい」わけでなはなく、あくまでも「HIPHOPの枠の中で、どこまでポップを表現できるか」に挑戦していると言わんばかりのアルバム構成になっているのではないかと思います。
その辺りは、このアルバムが「Walk This Way」から始まることもそうですし、漢 a.k.a. GAMIやD.Oをはじめ、終始ラッパーとのフィーチャリングのみで統一していたり、プロデューサーとして「BACHLOGIC」を再起用したりしていることからもうかがえます。
SALU / WALK THIS WAY
この曲の元ネタは、一曲目と同じく、NY出身の女性シンガーBrenda Russellから、79年にリリースしたデビュー・アルバム『Brenda Russell』に収録された曲、「A little Bit of Love」。
都会的で洗練された雰囲気を感じさせながらも、ピアノの軽快なメロディからは親しみやすさも感じられる不思議な印象の曲です。そしてBrenda Russellの伸びやかなヴォーカルに耳を奪われ、気付けば虜になってしまう名曲です。
この曲もサンプリングネタとしては鉄板となっており、数えればキリがないほど使われています。
Brenda Russell- A little Bit of Love
SALU/タイムカプセル
SALUの3枚目のアルバム「Good Morning」より『タイムカプセル』です。
この曲は、スチャダラパーのSHINCOがプロデュースしている曲で、おそらくご存じの方も多いのではないでしょうか?
アルバム「Good Morning」は、前作までの体制と変わってSALU自身によるトータル・プロデュースとなっており、さまざまなゲスト・アーティスト、ミュージシャン、プロデューサー達が参加しています。
SALU本人が「今までやらなかったことの中で、やってみたかったことの一つ目。」と語っていることからも、気合の入ったアルバムであることは間違いないでしょう。
SALU/タイムカプセル
この曲の元ネタは、「The Originals」より、1977年発表の『Down to Love Town』に収録された「Sunrise」という曲です。
「The Originals」は、60年代からMotown(モータウン)というデトロイトの音楽レーベルを支えた、メロウな曲からディスコヒットまで幅広く歌える実力派のグループです。
なんとこの曲、実はScarface feat.Jay-Z / Guess Who's Backでもサンプリングネタとして使われています。Guess Who's Backといえば、Rakimのを思い浮かべる人も多いと思いますが、この曲もすばらしいですよ!
The Originals/Sunrise
SALU / 夜になくす
この曲は、先ほども紹介したアルバム『INDIGO』に収録されている曲です。「ゆるふわギャング」がボーカル/ラップとしてだけでなく、作詞でも参加しています。
ゆるふわギャングといえば、トラップを軸としたビートに乗せるのがうまいアーティストですが、今回はハウス調のトラックなので、とても新鮮な感じがします。
タイトルにもなっている「夜になくす」という言葉が出す雰囲気。夜遊びしている時の「なんでもできそうな感じ」、「楽しい時間」、でも儚く終わってしまう虚無感のようなものを感じさせる素晴らしい曲だなと思います。真夜中とか、散歩しながら聴きたくなりますよね。
SALU / 夜になくす
この曲の元ネタは多分大体みんな知ってる(聴いたことある)と思います。アメリカのサイケデリック、ポップバンド「MGMT」より3rd シングル「Kids」。
MGMTは、ニューヨーク州ブルックリン出身のAndrew Van Wyngarden(アンドリュー・ヴァンウィンガーデン)と、Benjamin Nicholas Hunter Goldwasser(ベン・ゴールドワッサー)を中心としたバンド。バンド名の由来は以前やっていた「The Management」のManagementの略称だとか。
この曲自体、MVをみるとなかなか面白い。ぜひ見たことない人は先入観なしで見て欲しいです。個人的には、この曲をサンプリング元で選んだのは何か理由があるのではないか?と思っています。
MGMT / Kids
最後に
今回はSALUの元ネタを探っていきました!いかがでしたでしょうか?
SALUといえば、HIPHOPヘッズではない幅広い層から支持されるアーティストだと思います。
LDHへの電撃移籍に驚いたヘッズも多かったのではないでしょうか?
自分の可能性を追求し続けるSALUの動向を、これからもチェックして行きたいと思います!
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!