ラッパーの職務質問の対応が面白いのでまとめてみました!

ルーツとしては「反権力」も根本に据えられているラップ、HIP HOP。

警察、権力者などに対してのラッパーの対応には、何かと注目も集まりますね。

特に警察からの職務質問の際には、とっさにSNSのライブ配信や動画撮影・公開に繋げてしまうなど、ラッパー側からの発信も豊富です。

今回は日本語ラッパーたちの、職務質問への対応を見てみましょう。

舐達麻


ラッパーとしての知名度や人気も高い彼らですが、楽曲内で際どいワードや反権力、反警察、裁判や留置所のシーンをリリック化するなど、悪びれない不良スタイルを貫くある意味では筋が通っている存在ですね。

MVやライブ配信では、「それ何吸ってんですか?」ということも非常に多く、大麻での逮捕歴もある彼らは、完全に警察からターゲットにされているようです。

故にでしょうか、彼らは警察はお嫌いのようで、DELTA9KIDとBADSAIKUSHが「何の権利があってやっているのか、お前は何者だ、舐めてるならお前の情報晒すぞ」という雰囲気で、わざと冷静に絡むような態度が怖さを誘う職質動画がありました。

他の動画では、G-PLANTSが職質に「さわんじゃねー!」とブチ切れたものもありました。なめだるま、「敵に回すのはちょっとこえーな」というのが正直な感想でしょうか(笑)。

RYKEY DADDY DIRTY

東京都八王子市出身で、中学からギャングに所属していたリッキー。16歳で覚せい剤に手を染めたという噂、3度の逮捕歴(薬物違反あり)、2年の服役、15人からの襲撃歴もあるリッキー、警察にマークされているのでしょうか。

日本人とケニア人のハーフという見た目、180cmという大柄な体系から悪目立ちして標的となることもあるのかも。

この動画では福岡での仕事終わりの打ち上げ後に職質にあったようです。やや呂律が怪しいですが、今回は「警察が悪いんじゃない、いい人だし、犯罪防止だからちゃんと対応しようぜ」というメッセージを送りながらのライブ配信となりました。本人なりに正論を語りながらも、「職質ってこういうもんだぜ、タバコの中も見せる」と現場レポも実行。

「それはやめて、薬物は外に持ち歩かない(笑)」などの見せ場も作ったり、ギャラリーに軽く切れたり、見どころ満載の動画となりました。薬物の下りの真意は定かではありません(笑)。

FRANKEN


フリースタイルバトルなどで活躍中のフランケン。ラッパー以外には豊洲市場で魚売りとして、深夜23時~翌11時まで働く、比較的一般的で懸命な彼にも職務質問の手は伸びています。

フランケンの面白いところは、職務質問動画のすべてで「フリースタイルラップ」で即興実況を行っているところです。「マジでそうさ 捜査」を基本にしながら、その時々でアレンジしていく様はさすが。

今回は「俺は何も持ってねーのに こうやってケーサツは俺の時間を奪っていく」とストレートな感情を表現し、警察の方の笑いを引き出していました。しかし、長々と続く職務質問には「このクソケーサツ」ともライミングしていて、少し同情しますね。

他の動画では、家まで3分のところで職質され、仮性包茎であることまでバースにぶち込む勢いを見せます。このときも悪いものは何も出てこず、クリーンな自分を猛アピール。

しかし、信号無視していたことが発覚して、「守ります マジでそうさ チェケラッチョウ パァー!」と締めているのですが、これは笑えます。

魚売りとラッパーを両立させるために体力的にも無理な活動をしているフランケン、ライブ前に酒が回って階段から転落し頭部から大出血、ホッチキスで傷口をとめてライブ、その後身体が動かなくなり緊急搬送、など苦労の多い彼、これからも頑張って欲しいですね。

孫GONG


続いては孫GONG。呂布カルマとのフリースタイルバトルがらみでもひと盛り上がりのあった彼ですが前科3犯、覚せい剤は人生でやめて一番良かった、少年時代は大麻を売って生計を立てていた、嫁には大麻はやめたことにしている、などハードな話しの多い孫GONGもまた、警察から見ればターゲットなのでしょう。

この動画では、私服警官に職務質問されるという注目度の高さ(要注意人物の現れ)を見せつけています。

そして、本当か嘘か「何もないよ、さっきなくなったよ」と、大麻は吸ってしまったし所持してないから罪はないだろ、という意味の挑発的発言も見せています。

他の動画では、買い物中の職質で気分を害したのか「なんでお前の都合きかなあかんねん」「だまれ 知らんわ 関係ないわボケ どつくぞ」とブチ切れ。

その一方で、ファンの前では巡回中の警察を身体全体で誘導するお茶目な一面も見せていました。ラップでもラップ外でも、見せ場の多い孫GONG、要チェックですね。

ダースレイダー

フランスのパリ生まれ、10歳までイギリス在住の帰国子女、東大文Ⅱ合格(後に中退)と、他のラッパーとはやや経歴の違うダースレイダー。頭の良さは筋金入りで、幅広く音楽への造詣がある人間だと、対応も一味違うのでしょうか。

この動画では、冷静かつ温厚に理路整然と対応しています。「声をかける基準はあるんですか?」など、誰もが気になる点を的確に質問したり、終始真摯に対応しているその様子は、人としても理想的で非常に一般的。

警察の側も内心「いつものラッパーとは違うな、こんなやつもいるんだ」と感じていたことでしょう。パンチのある職質対応をするラッパーが多いなかで、この普通さが「やたらいい人」に見えますが、あくまでこれが普通ですから(笑)。

SHO

最後はSHOです。実はアルペンスキーの元日本代表というトップアスリートでもあり、法政大学に在学していたこともあるSHO。その辺りを踏まえて職質動画を見ると面白さも倍増しますね。

「ヤクブーツはやめろ」というメッセージが彼のビジネスチャンスと職質機会を爆上げしたことは事実でしょうね。

本人も300回職質されたと語るSHO、日本一職質されやすい職業ラッパーの中で日本一職質された男、といってもいいでしょう。その結果、「渋谷では顔パス」だそう。そのキャリアの表れか、何事にも動じず職質に応じる彼、余裕すぎて奇行に出てしまうほどです。

「ヤクブーツはやめろ」と言いながら走って逃げたりもします。「走ってにげたら警察も走って追っかけてくる検証結果」と言って逃走するなど、もはやSHOの独壇場(笑)。

職務質問すら、自らの活動のプロモーションに繋げてしまうSHOのビジネスセンスと常識感覚は爆発していますね。

「ヤクブーツはやめろ 他にー金使え 親にー金あげろ」、マジで共感します。

いい日本、作ってください、作りましょう!(笑)。

まとめ

いかがでしたか? 笑えるものから「マジでコワ…」と思うものまで、ラッパーの対応は様々でしたね。

本来のHIP HOPでは「貧しい国家の権力者が、自分たちに有利な状況を作り出して弱者を虐げることで利益や利潤を搾取している」ということへの抵抗が根幹にあります。

そのため、政治家、政党、警察などに対して根本的な敵対姿勢を持っていて、バビロンやバビロンシステムと呼び、批判や抵抗の対象としてきた背景があるのです。それはレゲエでも同じことです。

ただし、貧しい人間が生きるために法を侵したケースも多くありますので、虐げるのではなく取り締まられる事象があることは言わずもがなです。

しかし、国家として成熟した日本では、少し状況が違ってきます。警察の方の話し方や態度、「悪いことしてるんじゃないの?」という決めつけ姿勢、大きな話では誤認逮捕などの問題もありますのでラッパーたちの気持ちもわかりますが、やりすぎると公務執行妨害で罪に問われてしまうこともありますので注意したいところですね。

こういった動画を見て楽しんだついでに、ほんのちょっと、自分自身の対応や人生、倫理観について見直してみるのもいいかもしれません。

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