NORIKIYOとは?
NORIKIYO(ノリキヨ)は、神奈川県相模原市出身で1979年生まれのラッパーです。
MACCHOや漢 a.k.a.GAMI、般若などのレジェンド世代の1つ年下のNORIKIYOは、相模原の相武台という地元でSD JUNKSTAというHIP HOPクルーを結成し活動を展開します。
しかし、そんなNORIKIYOに第一の試練が待っていました。
当時、執行猶予中だったNORIKIYO、友人と出かけたクラブで酒をかけられたことから相手と喧嘩になってしまいます。
喧嘩がエスカレートし相手が怪我をしたことで警察を呼ばれたNORIKIYOですが、執行猶予中であったため揉め事はご法度。
バレたくない一心でクラブから逃走を図ったのです。
しかし、クラブの控室に入れられていたため逃走経路は空気ダクトしかありません。
そこを伝って逃げたのですが、体重でダクトが外れ地上4階の高さから転落。
両足を骨折し一時は「一生車いす」を宣告される重症を負いました。
不屈のリハビリで歩けるようになったNORIKIYOですが、右足の裏半分の感覚が戻ることはなかったといいます。
この怪我の影響で本格的なリリースは2007年、彼が28歳のときでした。
そこからは破竹の勢いで実力と人気を得ていくNORIKIYOですが、そんな彼に二度目の試練が…。
免疫機能が正常に働かないことに起因し体が思うように動かなくなる重症筋無力症という国指定の難病にかかってしまったのです。
医師から処方される薬の反動が大きすぎて体がもたなかったというNRIKIYOがたどり着いたのは、海外では利用実績も多い医療大麻でした。
日本では大麻の医療使用が認められていませんでしたが、かつて自ら栽培していた経験を元に、医療目的で大麻を栽培しはじめます。
営利目的での栽培ではなく自らの医療目的であるため、一切他人に販売していないことを各所で証言したNORIKIYOでしたが逮捕、起訴され3年間の服役を余儀なくされたのでした。
NORIKIYOは、この病気でラップができなくなれば大切な家族を養えなくなるという危機感からなんとか症状を緩和しなければと悩んだ末の医療大麻を選択。
家族を守るためのギリギリの決断を下したNORIKIYOは、相武台の若手ラッパーなどにも自ら声をかけサポートしたり地元をフックアップするフッドとして人望も厚いといいます。
だから、という訳ではありませんが医療大麻の認可や合法化には密かな注目が集まっていると聞きました。
前置きが長くなりましたが、そんなNORIKIYOのおすすめの曲をご紹介します。
NORIKIYO おすすめの曲7選
俺達の唄 feat.MACCHO
まずはMACCHOとのコラボから一曲。
2019年にリリースされたこの曲は、「自分の人生だ、思うようにやったらいいさ」という、迷いの中に生きる人間の存在を肯定してくれるラップが素敵です。
まるで、NORIKIYOと酒を交わして、彼がいい訳を肯定してくれるかのようなこの曲は気を張っている大人にこそ聴いてほしい一曲。
「生まれたこと自体に意味なんてない けどもしも欲しいんならば付けちゃいなよ」という優しいパンチラインは、きっと一生忘れないでしょう。
Hey Money(Remix) feat. ZORN, AKLO & OMSB
次はZORNとAKLOとのコラボでも話題になった「HEY MONERY」。
これは個人的解釈ですが、NORIKIYOがお金に対して「お前は幸せなのか?」と問いかけているように感じます。
お金だって私利私欲の極みや傲慢で高圧的な使われ方を望んでる訳じゃないはず、そんなユニークな視点はNORIKIYOならではなのかもしれません。
韻やフロウ、バースやパンチラインとはまた違う着眼点が生み出すラップ、それもNORIKIYOの魅力です。
君を想う
大麻取締法違反での逮捕。
残していく家族を想い、気に掛けるNORIKIYOのストレートな家族愛が詰まった一曲です。
この曲が収録された2023年発売の「犯行声明」は、NORIKIYOから家族や仲間、リスナーに対する「犯行声明=状況説明」なのではないでしょうか。
ストレート過ぎるメッセージに目頭が熱くなります。
犯行声明
次は「犯行声明」です。
二曲目に紹介したアルバムのタイトル曲、「法律だけがすべてじゃない、苦しんている人間を助けるのが法律や国家だろ。苦しんでる人間をさばくのは違うだろ」という声明。
都合よく作り上げられた法律、誰のなんのためのものなのか。
この永遠とも言えるテーマにメスを入れる、今のNORIKIYOにしかできない一曲だったと思います。
本当に必要なものは何かを考えさせられる楽曲であり、NORIKIYOの身を挺した叫びとなったこの曲。
ファンやヘッズは、NORIKIYOの出所を心待ちにしています。
支払いは満額で feat.BRON-K,OJIBAH
続いては趣を変えて「支払いは満額で」。
ノリとテンションで構成されたアッパーチューンですね。
こういう引き出しもしっかり持っているのがNORIKIYOです、考えることや癒されることばかりじゃなく楽しんで盛り上がってスカッと行きましょう。
2011年のサードアルバムからの一曲ですが、今とは違ったNORIKIYOが楽しめます。
こういうふり幅をさりげなく見せている部分に、アーティストNORIKIYOの奥の深さを感じざるを得ません。
It ain't nothing like Hip Hop
2017年リリースのこの曲、心地よいHIO HOPサウンドが軽やかな「ザ・ヒップホップソング」というビートとリリックがいいですね。
難しいことはいったん置いておいて、好きなもので楽しむという本来音楽が持っている力を最前面に押し出した楽曲、乗りこなしていきましょう。
ラップの内容やトラック、リズムやフロウなど多彩な引き出しは、本当にNORIKIYOの魅力だなと実感しながらタテノリで聴くべき一曲。
ぜひ、デイリーユースで聴いてください。
What Do You Want?
最後はこの曲を選びました。
「want」、同じ言葉でも状況やタイミング、国や時間が異なればその意味は大きく違ってきます。
それもで、そのときどきで「本当に必要なものを大事にしろ」という信念が感じられるこの曲。
そんなメッセージや感情を軽やかに心地よく、そしてしっとりとラップに落とし込むNORIKIYOのセンスが爆発したこの曲は、間違いなく名曲だと思います。
そして、MVはもはやMVの域を超えてショートムービーほどの見応えがある名作といえる出来栄えですし、実際長編映画も作れそうなクオリティです。
NORIKIYOだけでなく、漢 a.k.a.GAMIも好演していますよね。
皆さんは「what do you want?」と言われて一番最初に浮かぶものは何ですか?
この曲を聴きながら長い時を過ごして「what do you want?」がどう変化するのかを追いかけてみるのも”あり”だと思います。
まとめ
NORIKIYOのおすすめの曲、いかがでしょう。
個人的には、どれもNRIKIYOのセンスや才能だけでなく人間性が反映された大作ではないかと思います。
様々な人生経験を経て変化・成長していくNORIKIYOのその時々の心境や成長、感情をストレートに表している曲たち、どれも聴きごたえは十分です。
ここで紹介しきれない曲も含めて、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
そして、ともにNORIKIYOの出所と完全復活を待とうではありませんか。