KICK THE CAN CREW(キック・ザ・カン・クルー)は、KREVA(MC&ヴォーカル)、MCU(MC)、LITTLE(MC)からなる日本のヒップホップグループ。1997年に結成され、2001年にメジャーデビュー。「マルシェ」「クリスマス・イブRap」「アンバランス」といったヒット曲と、2002年のNHK紅白歌合戦出場によって、ヒップホップを日本のメジャーシーンとお茶の間に定着させた立役者である。人気絶頂の2004年に活動を休止したが、2017年に本格再始動を果たし、以降も精力的に活動を続けている。
基本データ
| アーティスト名 | KICK THE CAN CREW(キック・ザ・カン・クルー) |
|---|---|
| 通称・別名 | キック/キャラ立ち3本マイク |
| メンバー | KREVA(MC&ヴォーカル/トラックメイカー)、MCU(MC)、LITTLE(MC/リーダー) |
| 結成 | 1997年 |
| メジャーデビュー | 2001年5月23日、シングル「スーパーオリジナル」 |
| 活動期間 | 1997年〜2004年、2014年〜2016年(フェス等での一時復活)、2017年〜 |
| 拠点 | 東京都 |
| 所属・レーベル | ラストラム・ミュージックエンタテインメント(1997年〜1999年)、BURGER INN RECORDS(2000年〜2001年、インディーズ/LP)、ワーナーミュージック・ジャパン(2001年〜2004年)、ビクターエンタテインメント/SPEEDSTAR RECORDS(2017年〜) |
| 公式サイト | KICK THE CAN CREW 公式サイト |
グループ名は、3人が初めて共演した曲「カンケリ」(=缶蹴り)に由来する。RHYMESTERらが在籍するヒップホップコミュニティ「FUNKY GRAMMAR UNIT」や「神輿ロッカーズ」の一員でもある。
メンバー
KREVA(クレバ)
MC&ヴォーカル/トラックメイカー。本名・畠山貴志(1976年6月18日生まれ、青森県生まれ・東京都江戸川区育ち)。グループのほぼ全楽曲のトラックメイクを手がけ、メロディアスなフックで楽曲の顔を作る。ソロMCとしてB-BOY PARKのMCバトルで1999年から2001年まで史上初の3連覇を達成。2004年の活動休止後はソロで日本武道館公演や主催フェス「908 FESTIVAL」を成功させ、日本を代表するラッパーの一人となった。詳しくはKREVAの名鑑記事を参照。
MCU(エムシーユー)
MC。1973年8月1日生まれ、東京都豊島区巣鴨出身。グループ最年長で、愛称は「雄志くん」。RADICAL FREAKS、東京U家族での活動を経て結成に参加した。下町情緒とユーモアを交えたリリックが持ち味で、筋金入りのゲーム愛でも知られ、俳優としても映画・ドラマに出演。LITTLEとのユニット「UL」でも活動している。
LITTLE(リトル)
MC/リーダー。本名・小島健司(1976年5月7日生まれ、東京都八王子市出身)。身長156cmという小柄な体躯が名前の由来で、自称「東京一小さなMC」。緻密で高速なラップを武器にグループを牽引し、地元・八王子の観光PR特命大使も務める。ソロ活動のほか、MCUとのユニット「UL」、アスタラビスタでも活動。2022年には本名を冠した地元イベント「コジマケンジマツリ」を開催した。
来歴
KICK THE CAN CREWは、BY PHAR THE DOPESTのKREVA、RADICAL FREAKSのMCU、そしてDJ SHUHOとソロ活動をしていたLITTLEという、それぞれ別々に活動していた3人が出会って生まれた。きっかけは、コンピレーション『THE BEST OF JAPANESE HIPHOP vol.7』に収録された初共演曲「カンケリ」。意気投合した3人は1997年にグループを結成し、同年8月にシングル「タカオニ」でインディーズデビュー。その後もインディーズでリリースを重ね、2000年にはインディーズアルバム『YOUNG KING』を発表した。この間、KREVAはソロMCとしてB-BOY PARKのMCバトルで3連覇(1999年〜2001年)を達成し、シーンでの評価を不動のものにしていた。
2001年5月23日、シングル「スーパーオリジナル」でメジャーデビュー。同年11月には、山下達郎の名曲をサンプリングした「クリスマス・イブRap」が週間オリコン5位を記録するヒットとなる。2002年1月の「マルシェ」が週間9位、2月発売の1stアルバム『VITALIZER』が週間3位と快進撃を続け、同年末には「マルシェ」で第53回NHK紅白歌合戦に初出場。日本のヒップホップが国民的な音楽番組に届いた瞬間だった。2003年には2ndアルバム『magic number』が最高2位・ダブルプラチナを記録し、ベストアルバム『BEST ALBUM 2001-2003』は週間1位を獲得。全国ホールツアーからアリーナツアーまでを成功させた。
しかし2004年1月の3rdアルバム『GOOD MUSIC』を経て、同年3月に活動休止を発表。台湾親善大使への任命や「The Source Awards」への日本人初のノミネートなど海外でも注目を集める中、6月20日の日比谷野外音楽堂でのライブ「LIVE 旅人〜STEP IN THE DAY〜」をもって活動を休止した。以後は各メンバーがソロ活動を本格化させ、KREVAはソロアーティストとして大きな成功を収めていく。
休止後も3人の絆が途切れることはなかった。2008年以降、ROCK IN JAPAN FESTIVALでKREVAのステージにLITTLEとMCUが集う「一夜限りの復活」が恒例化。2011年にはMCUとLITTLEが、KREVAのプロデュースによるユニット「UL」を結成した。2014年8月にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014にKICK THE CAN CREWとして約10年ぶりに出演し、908 FESTIVALなどでの共演も増えていった。
そして2017年6月18日、デビュー20周年を機に本格的な再始動を発表。新曲「千%」を公開し、8月30日には14年ぶりとなる4thアルバム『KICK!』をリリース。9月7日には日本武道館で「復活祭」を開催し、全国ツアーも成功させた。2018年には岡村靖幸とのコラボレーション「住所 feat. 岡村靖幸」を発表し、再び日本武道館でワンマンライブを行っている。2022年には5thアルバム『THE CAN』を発売。2023年にはNHK『みんなのうた』で放送された「カメとピューマとフラミンゴ」が話題となった。2026年11月25日には、「クリスマス・イブRap」発売25周年を記念したリマスター音源(アナログ盤/復刻新装版CD)の発売が予定されている。
年表
| 1997年 | KREVA、MCU、LITTLEの3MCで結成。シングル「タカオニ」でインディーズデビュー |
|---|---|
| 2000年 | インディーズアルバム『YOUNG KING』をリリース |
| 2001年 | シングル「スーパーオリジナル」でメジャーデビュー。「クリスマス・イブRap」が週間オリコン5位 |
| 2002年 | 「マルシェ」が週間9位、1stアルバム『VITALIZER』が週間3位。第53回NHK紅白歌合戦に初出場 |
| 2003年 | 2ndアルバム『magic number』が最高2位。『BEST ALBUM 2001-2003』が週間1位 |
| 2004年 | 3rdアルバム『GOOD MUSIC』を発売。6月20日の日比谷野外音楽堂公演をもって活動休止 |
| 2008年 | ROCK IN JAPAN FESTIVALで一夜限りの復活。以降、フェスでの再集結を重ねる |
| 2011年 | MCUとLITTLEがユニット「UL」を結成 |
| 2014年 | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014にKICK THE CAN CREWとして約10年ぶりに出演 |
| 2017年 | 本格再始動を発表。14年ぶりのアルバム『KICK!』を発売し、日本武道館で「復活祭」を開催 |
| 2018年 | 「住所 feat. 岡村靖幸」を発表。日本武道館ワンマン「現地集合」を開催 |
| 2022年 | 5thアルバム『THE CAN』を発売 |
| 2023年 | NHK『みんなのうた』放送曲「カメとピューマとフラミンゴ」を配信リリース |
| 2026年 | 11月25日に「クリスマス・イブRap」25周年記念リマスター盤の発売を予定 |
音楽性
愛称「キャラ立ち3本マイク」が示す通り、KICK THE CAN CREWの核は、声質もフロウもまったく異なる3人のMCによるマイクリレーにある。LITTLEの緻密で高速なラップ、KREVAの歌えるメロディとフック、MCUのユーモアと下町情緒あふれる言葉選び。三者三様の個性が1曲の中で次々に入れ替わる構成は、聴く者を飽きさせないエンターテインメントとして設計されている。
トラックメイクはKREVAがほぼ全曲を担当。ヒップホップの作法を押さえながらも、サビの歌唱パートやポップなメロディを大胆に取り入れた楽曲は、音楽番組や紅白歌合戦といった「お茶の間」のメディアとヒップホップをつないだ。山下達郎「クリスマス・イブ」をサンプリングした「クリスマス・イブRap」や、岡村靖幸との共作「住所」のように、J-POPの文脈との接続を恐れない姿勢も一貫している。一方で、その土台にはB-BOY PARK3連覇に象徴されるバトルMCとしての実力と、FUNKY GRAMMAR UNIT/神輿ロッカーズというコミュニティで培われたシーンへの根付きがあり、「売れるためのポップ化」とは一線を画す説得力を持ち続けてきた。
ディスコグラフィ
※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。
| リリース日 | タイトル | 種別 |
|---|---|---|
| 1997年8月21日 | タカオニ | インディーズシングル |
| 2000年7月5日 | young animal e.p. | インディーズシングル |
| 2000年8月18日 | GOOD TIME! | インディーズシングル |
| 2000年9月13日 | YOUNG KING | インディーズアルバム |
| 2001年2月21日 | 今日から明日 | インディーズシングル |
| 2001年5月23日 | スーパーオリジナル | メジャー1stシングル |
| 2001年7月11日 | イツナロウバ | 2ndシングル |
| 2001年9月27日 | カンケリ01/LIFELINE | 3rdシングル |
| 2001年10月17日 | Greatest Hits | インディーズベスト |
| 2001年11月7日 | クリスマス・イブRap | 4thシングル |
| 2002年1月23日 | マルシェ | 5thシングル |
| 2002年2月14日 | VITALIZER | 1stアルバム |
| 2002年3月13日 | ONEWAY | 6thシングル |
| 2002年5月22日 | sayonara sayonara | 7thシングル |
| 2002年8月28日 | アンバランス | 8thシングル |
| 2002年11月7日 | 地球ブルース〜337〜/DJDJ [for RADIO] | 9thシングル |
| 2002年12月11日 | TORIIIIIICO! feat. CASSETTE VISION | 10thシングル |
| 2003年1月1日 | magic number | 2ndアルバム |
| 2003年8月6日 | 性コンティニュー | 11thシングル |
| 2003年9月10日 | GOOD MUSIC | 12thシングル |
| 2003年10月16日 | パンク寸前のFUNK | 13thシングル |
| 2003年11月12日 | ナビ/揺れ | 14thシングル |
| 2003年11月19日 | BEST ALBUM 2001-2003 | ベストアルバム |
| 2003年12月10日 | 脳内VACATION | 15thシングル |
| 2004年1月1日 | GOOD MUSIC | 3rdアルバム |
| 2017年7月14日 | 千% | 配信シングル |
| 2017年8月30日 | KICK! | 4thアルバム |
| 2018年8月29日 | 住所 feat. 岡村靖幸 | 16thシングル |
| 2022年2月2日 | Boots | 配信シングル |
| 2022年3月30日 | THE CAN | 5thアルバム |
| 2023年5月24日 | カメとピューマとフラミンゴ | 配信シングル |
なお、インディーズ期およびワーナーミュージック・ジャパン時代の作品(『VITALIZER』『magic number』『GOOD MUSIC』『BEST ALBUM 2001-2003』ほか)の多くは、Apple Musicでは配信されていない(2026年11月2日確認)。
代表曲
マルシェ
2002年1月の5thシングル。週間オリコン9位を記録し、同年の第53回NHK紅白歌合戦で歌唱された、KICK THE CAN CREW最大の代表曲。軽快なトラックと3人のマイクリレーが幅広い層に届き、日本語ラップの大衆化を決定づけた一曲である。公式MVのYouTube公開は確認できていない。
イツナロウバ
2001年7月の2ndシングル。「いつになろうが」の言葉遊びを軸にした、グループ初期の代表曲。ROCK IN JAPAN FESTIVALでの一夜限りの復活でも繰り返し披露され、再集結の象徴として歌われ続けてきた。
クリスマス・イブRap
2001年11月の4thシングル。山下達郎「クリスマス・イブ」をサンプリングしたクリスマスソングで、週間オリコン5位のヒットを記録。季節の定番として長く愛され、2026年には発売25周年記念のリマスター盤が発売予定となっている。
アンバランス
2002年8月の8thシングル。アルバム『magic number』にも収録された、ポップで疾走感のある一曲。ライブの定番として愛され、休止後の再集結ステージでも披露されてきた。公式MVのYouTube公開は確認できていない。
千%
2017年7月、再始動の狼煙として配信されたシングルで、アルバム『KICK!』に収録。「千%」=全力というメッセージと、変わらない3人のマイクリレーが、14年の空白を感じさせない復活を印象づけた。
住所 feat. 岡村靖幸
2018年8月のシングル。岡村靖幸との初コラボレーションで、約15年ぶりのCDシングルとなった。異なる時代のポップスを体現する両者の化学反応が話題を呼び、『THE CAN』にはExtended Ver.も収録されている。
Boots
2022年2月の配信シングル。アルバム『THE CAN』の先行曲で、再始動後の成熟を感じさせるバラードナンバー。MVは配信開始と同時にプレミア公開された。
THE CAN (KICK THE CAN)
2022年のアルバム『THE CAN』のタイトル曲。スケール感のあるトラックに乗せて、結成25年を迎えた3人の「現在形」を叩きつけるアンセム。公式サイトのトップでもMVが紹介されている。
その他の活動
MCUとLITTLEは、KREVAのプロデュースによるユニット「UL」としても活動し、2014年にデビューアルバム『ULTRAPS』をリリースしている。また3人は、RHYMESTERらと共にヒップホップコミュニティ「FUNKY GRAMMAR UNIT」や、ライブバンド編成のプロジェクト「神輿ロッカーズ」の一員としても活動してきた。グループの活動と並行して、各メンバーはソロ作品や客演、プロデュースなど個別の活動も続けている。
今後のライブ
2026年12月のKICK THE CAN CREWとしての出演は、確認日(2026年11月2日)時点で公式発表されていない。なお近況として、2026年11月25日に「クリスマス・イブRap」発売25周年記念のリマスター音源(アナログ盤/復刻新装版CD)が発売予定である。
関連する出演として、KREVAが2026年12月5日(土)に広島グリーンアリーナで開催される「HIROSHIMA CONTI-NeW Fes 2026」にソロで出演する:公演情報を見る
出典・確認日
- SPEEDSTAR RECORDS KICK THE CAN CREW プロフィール(ビクターエンタテインメント)
- KICK THE CAN CREW 公式サイト
- ORICON NEWS/ORICONアーティストページ(KICK THE CAN CREW)
- 音楽ナタリー(KICK THE CAN CREW 関連記事)
- Warner Music Japan 公式YouTubeチャンネル/Victor Entertainment 公式YouTubeチャンネル
- Apple Music(KICK THE CAN CREW 各作品ページ)
- Wikipedia「KICK THE CAN CREW」(補助資料)
確認日:2026年11月2日
