BUDDHA BRAND(ブッダ・ブランド)は、ニューヨークで出会った3人のMCと1人のDJが結成したヒップホップグループ。1996年にシングル「人間発電所」でメジャーデビューし、海外直輸入の本格派サウンドと強烈なマイクリレーで日本語ラップの歴史に大きな足跡を残した「伝説のグループ」として知られる。リーダーでプロデューサーのDEV LARGEが2015年に急逝した後も活動を続け、2019年にはDEV LARGEの未発表音源を用いたアルバム『これがブッダブランド!』で再始動した。
基本データ
| アーティスト名 | BUDDHA BRAND(ブッダ・ブランド) |
|---|---|
| メンバー | DEV LARGE(MC)/CQ(MC)/NIPPS(MC)/DJ MASTERKEY(DJ) |
| 結成 | 1989年(前身グループ「うわさのチャンネル」。1990年にBUDDHA BRANDに改名) |
| 活動期間 | 1990年〜2005年頃、2019年〜 |
| 結成地 | ニューヨーク(米国) |
| 拠点 | 東京都(1995年に帰国) |
| 所属・レーベル | cutting edge(1996年〜)、BAD NEWS RECORDS(2019年〜)ほか |
| 公式サイト | http://www.buddhabrand.tokyo/ |
グループ名は、当初の「NUMB BRAIN BUDDHA BRAND」から短縮されたもの。「NUMB BRAIN」はニューヨークで白人の老婦人が犬を叱る声から、「BUDDHA」はDEV LARGEが現地の団体リーダーから提案された「Fury The Fat Buddha」という名から取られたと、NIPPSがインタビューで語っている。3MCのマイクリレーとDJ MASTERKEYのスクラッチの構成から「無敵の3本マイク」とも呼ばれた。
メンバー
DEV LARGE(デヴラージ)
MC/プロデューサー。グループのリーダーで、全楽曲のプロデュースとトラックメイキングを担当した。本名は今秀明。1969年11月24日、東京都渋谷区代々木に生まれ、小学4年生のときに家族で渡米して中学卒業までニューヨークのクイーンズで育った。2005年にアーティスト名をD.Lに改名した。レーベル「EL DORADO RECORDS」を主宰し、自身の楽曲制作にとどまらず、ジャケットやフライヤーのデザイン、ビデオ制作まで手がけるなど、インディペンデントな活動姿勢でも知られた。2015年5月4日、急逝。45歳だった。
CQ(シーキュー)
MC。東京都大田区蒲田でDJ MASTERKEYと小学校の同級生として育ち、1988年に2人で渡米した。1998年以降はMAKI THE MAGICとillicit tsuboiとのユニット「キエるマキュウ」のメンバーとしても活動している。近年はNIPPSとの2人ユニット「BUDDHA MAFIA」としても活動し、タイのパタヤを拠点としている。愛称は「クリ」。
NIPPS(ニップス)
MC。DEV LARGEと同じくアメリカで育ち、ニューヨークでグループに合流した。BUDDHA BRANDの活動と並行して、TETRAD THE GANG OF FOURやThe Sexorcistのメンバーとしても活動している。CQとのユニット「BUDDHA MAFIA」でも作品を発表しており、近年は北海道・函館に移住した。愛称は「デミ」。
DJ MASTERKEY(ディージェイ・マスターキー)
DJ。東京都大田区蒲田出身。1988年に渡米し、ニューヨークのクラブ「MARS」「TUNNEL」などでDJとして活動した。1997年からは渋谷のクラブHARLEMでパーティ「DADDY'S HOUSE」を主宰し、レーベル兼プロダクション「THE LIFE ENTERTAINMENT」の創設者としても知られる。アパレルブランド「ROCKSMITH」も手がけている。
来歴
1988年、CQとDJ MASTERKEYがニューヨークへ渡った。翌1989年、現地でDEV LARGEとNIPPSに出会い、前身グループ「うわさのチャンネル」を結成。1990年にグループ名をBUDDHA BRANDに改め、本格的に活動を始めた。ニューヨークのライブハウスやクラブに出演しながら腕を磨き、現地で録音した音源が日本の関係者の耳に留まったことが帰国のきっかけとなった。
1995年に帰国し、自主制作のアナログレコード「Funky Methodist / ILLSON」「人間発電所 (ORIGINAL '95 VINYL VERSION)」を発表した。1996年5月、シングル「人間発電所 ~プロローグ~」でエイベックス系のレーベルcutting edgeからメジャーデビュー。同年7月7日には日比谷野外大音楽堂で開催された伝説的イベント「さんピンCAMP」に出演し、BUDDHA BRANDとして、SHAKKAZOMBIEとの合体ユニット「大神」として、さらにDEV LARGE個人でもLAMP EYEの「証言」に参加するなど、大きな存在感を示した。
その後もシングル「黒船」「ブッダの休日」を発表。1997年11月発売のシングル「天運我に有り(撃つ用意)」はトヨタ自動車「ハイラックス ピックアップ」のCMソングに起用され、メンバー自身もCMに出演した。1997年にはDEV LARGEがインディペンデントレーベル「EL DORADO RECORDS」を設立し、1998年にSUIKENの作品で第1弾リリースを行った。
2000年1月、ミニアルバム『DON'T TEST DA MASTER』を発表。同年3月には初のベストアルバム『病める無限のブッダの世界 ~BEST OF THE BEST(金字塔)~』を2枚組で発売し、7月にはフジロックフェスティバルに「BUDDHA BRAND & EL DORADO ALL STARS」として出演した。2003年12月にはベストアルバムの再編集盤2作を同時発売している。
2000年代に入るとBUDDHA BRANDとしての活動は休止状態となり、メンバーはそれぞれソロや客演を中心に活動した。2004年には、D.L(DEV LARGE)がK DUB SHINEへのディス曲「ULTIMATE LOVE SONG」を発表し、互いの応酬が続くビーフに発展したが、2013年にMAKI THE MAGICの追悼イベントで両者が同じステージに立ち、和解している。2005年にはMC3名で「ILLMATIC BUDDHA MC'S」を結成し、DEV LARGEはアーティスト名をD.Lに改名。2006年にはスチャダラパーとのスプリットシングル「TOP OF TOKYO/TT2 オワリのうた」がアニメ『TOKYO TRIBE2』の主題歌に起用された。2011年にはミックスCD『D.L presents: Official Bootleg Mix-CD "ILLDWELLERS"』が発売されている。
2015年5月4日、DEV LARGEが急逝した。所属レーベルのP-VINEが5月6日に訃報を発表し、ZeebraやキングギドラのK DUB SHINEら多くのアーティストが追悼のコメントを寄せた。6月25日には渋谷VISIONで追悼イベント「D.L PRESENTS HUSTLERS CONVENTION NIGHT」が開催された。
2019年5月5日、BUDDHA BRANDの再始動が発表された。6月に7インチシングル「Codeな会話」、8月に「PUNCH(仮)」を発売し、10月30日にアルバム『これがブッダブランド!』を発売。DEV LARGEが遺した未発表のトラックとボーカル音源に、NIPPSとCQが新たにラップを吹き込んだ作品で、「Kushokan」では1995年の自主制作アナログのインストゥルメンタルに新録のラップを乗せている。再始動後もライブ出演などの活動が続いている。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1989年 | ニューヨークで前身グループ「うわさのチャンネル」を結成 |
| 1990年 | グループ名をBUDDHA BRANDに改名 |
| 1995年 | 帰国。自主制作アナログ「Funky Methodist / ILLSON」「人間発電所 (ORIGINAL '95 VINYL VERSION)」を発表 |
| 1996年 | シングル「人間発電所 ~プロローグ~」でメジャーデビュー。イベント「さんピンCAMP」に出演 |
| 1997年 | シングル「ブッダの休日」「天運我に有り(撃つ用意)」を発売(後者はトヨタのCMソング) |
| 2000年 | ミニアルバム『DON'T TEST DA MASTER』とベストアルバム『病める無限のブッダの世界 ~BEST OF THE BEST(金字塔)~』を発売。フジロックフェスティバルに出演 |
| 2003年 | ベストアルバムの再編集盤2作を同時発売 |
| 2005年 | MC3名でILLMATIC BUDDHA MC'Sを結成。DEV LARGEがD.Lに改名 |
| 2006年 | ILLMATIC BUDDHA MC'S × スチャダラパーのスプリットシングル「TOP OF TOKYO/TT2 オワリのうた」を発売 |
| 2011年 | ミックスCD『D.L presents: Official Bootleg Mix-CD "ILLDWELLERS"』を発売 |
| 2015年 | DEV LARGEが急逝(5月4日) |
| 2019年 | 再始動を発表。アルバム『これがブッダブランド!』を発売 |
音楽性
BUDDHA BRANDのサウンドは、プロデューサーのDEV LARGEが作る分厚いビートが土台にある。ファンクやジャズ、ソウルのレコードをサンプリングしたクラシックなブーンバップの質感は、ニューヨークで活動していた彼らならではのもので、1990年代半ばの日本のヒップホップシーンに本場の空気をそのまま持ち込んだ。ミニアルバムの表題曲「DON'T TEST DA MASTER」では、ヘヴィメタルバンドLOUDNESSのギタリスト高崎晃が参加するなど、ジャンルを越えた色気も見せた。
ラップの面では、個性の異なる3人のMCがマイクを回していくマイクリレーが最大の武器だ。英語を織り交ぜたDEV LARGEのフロウ、独特の声とリズムを持つCQとNIPPSの掛け合いは、後の日本語ラップに大きな影響を与えた。また、「ILL」(=最高、ヤバい)というスラングを日本に広めた存在としても知られ、楽曲「ILL伝道者」はその象徴となっている。シリアスなテーマとユーモアを行き来するリリックの幅広さも、長く愛され続ける理由である。
ディスコグラフィ
※BUDDHA BRAND名義の作品は、2026年11月2日時点でApple Musicでの配信が確認できなかったため、本記事にApple Musicへのリンクはありません。
| 発売日 | タイトル | 種別 |
|---|---|---|
| 1996年5月29日 | 人間発電所 ~プロローグ~ | シングル(メジャーデビュー作。2003年12月3日に再発) |
| 1996年12月4日 | 黒船 | シングル |
| 1997年4月23日 | ブッダの休日 | シングル |
| 1997年11月12日 | 天運我に有り(撃つ用意) | シングル(トヨタ「ハイラックス ピックアップ」CMソング。2003年12月3日に再発) |
| 2000年1月26日 | DON'T TEST DA MASTER | ミニアルバム(オリコン最高23位) |
| 2000年3月15日 | 病める無限のブッダの世界 ~BEST OF THE BEST(金字塔)~ | ベストアルバム(2枚組。オリコン最高15位) |
| 2003年12月3日 | DEV LARGE プレゼンツ:病める無限のラップの世界 | ベストアルバム(再編集盤) |
| 2003年12月3日 | DEV LARGE プレゼンツ:病める無限のインストの世界 | ベストアルバム(再編集盤) |
| 2006年11月29日 | TOP OF TOKYO/TT2 オワリのうた(スチャダラパーとのスプリット) | スプリットシングル(ILLMATIC BUDDHA MC'S名義) |
| 2019年10月30日 | これがブッダブランド! | アルバム(オリコン最高21位) |
このほか、1995年には自主制作のアナログレコード「Funky Methodist / ILLSON」と「人間発電所 (ORIGINAL '95 VINYL VERSION)」を、2019年には7インチシングル「Codeな会話」「PUNCH(仮)」「Kushokan」を発表している。2019年のアルバム『これがブッダブランド!』はCDのみのリリースで、ストリーミング配信は行われていない。
代表曲
人間発電所
1995年の自主制作アナログの時点で既に流通し、1996年のメジャーデビューシングルの表題曲となったグループの代表作。重いビートと「人間発電所」という言葉のインパクトは日本語ラップの歴史に残るもので、加藤ミリヤの「夜空」(2004年)でサンプリングされたことでも知られる。
ILL伝道者
シングル「黒船」やベストアルバムに収録された楽曲。「ILL」という言葉をタイトルに掲げ、その意味とカルチャーを日本に伝えた象徴的な1曲。
ブッダの休日
1997年発売のシングル。力の抜けたグルーヴと日常を切り取ったリリックで、グループのユーモアと余裕を感じさせるクラシック。
DON'T TEST DA MASTER
2000年の同名ミニアルバムの表題曲。LOUDNESSの高崎晃のギターが切り込む、ロックとヒップホップが交わる異色のナンバー。
CODEな会話
再始動後の2019年に7インチシングルとして発売された楽曲。DEV LARGEの遺した音源と、NIPPSとCQのマイクリレーが重なる。
Kushokan
2019年のアルバム『これがブッダブランド!』収録曲。1995年の自主制作アナログに収められていたインストゥルメンタルに、当時のDEV LARGEのボーカルとNIPPSとCQの新録ラップを重ねた、再始動を象徴する1曲。
PUNCH(仮)
2019年に7インチシングルで発売された再始動後の楽曲。ミュージックビデオは音楽番組「BLACK FILE」(SPACE SHOWER TV)の公式チャンネルで公開された。
今後のライブ
2026年12月のBUDDHA BRANDとしての公演は、確認日時点で発表されていません。新しい公演が発表され次第、本記事とPLAY MAGAZINEのライブ情報でお知らせします。
出典・確認日
ORICON NEWS(プロフィール/作品情報/DEV LARGEさん死去に関する報道)、音楽ナタリー(連載「音楽偉人伝」D.L a.k.a DEV LARGE特集、連載「さんピンCAMPとその時代」)、BUDDHA BRAND公式サイト、CDJapan(『これがブッダブランド!』商品情報)、Riddim(OVERHEAT)インタビュー、Wikipedia(補助資料)。情報の確認日:2026年11月2日。
