秋に聴きたい日本語ラップ10選

命が育まれ柔らかな日差しに向けて全身を伸ばした春。しっかりと育った若葉が全盛期を迎え、活力に溢れた活動的な夏。

夏の暑い季節が過ぎてほんの少し落ち着き、冬への備えにまた立ち上がる秋。

そんな秋にじっくりと、ラップを聴きたくなったりしませんか。

今日は「秋に聞きたい日本語ラップ10選」をご紹介します。

耳ヲ貸スベキ/RHYMESTER

1曲目はRHYMESTERの「耳ヲ貸スベキ」です。楽曲全体としてスローでしっとりとした、弦楽器中心のトラックで聴かせてくれるこの曲。ラップも聞きやすく、秋の夜長にぴったりです。静かな夜に聞こえてくるスズムシなどの声に耳を傾けながら「耳ヲ貸スベキ」とともにタバコやお酒で一服、と洒落込むのもいいですね。

日本語ラップに火がつき始める前の1996年にリリースされたこの曲は、「日本語ラップ」そのものに耳を貸せ、というシーン自体をけん引していくようなダイナミックさ、そのシーンは俺たちが作っていく、といいうRHYMESTERの自負を感じさせます。

当時既にこういったアレンジでラップを聴かせる彼らの楽曲制作やラップ力の質の高さを感じさせる一曲です。

口に出して (Prod. ZOT on the WAVE)/Aiwich

続いては、Aiwichの「口に出して(2021年)」。曲のタイトルやMV、メインとなるラップの部分だけを切り出せば、女性としてのセクシーさをラップとして上手く組み立てたこの曲も、捉え方を変えれば「実りの秋」とも捉えられなくないのです。

愛でも恋でも仕事でも、相手のあることで心の声を「口に出す」ことは大切なことです。

そんな見方をすると、お互いの心の声を「口に出して」、二人や組織の関係に「実り」が訪れる秋を彩るにふさわしい曲、という見方もできる訳です。
もちろん、ラップの通りに素直に受け取っても聴きごたえは十分ですが、いずれにしても、今最も勢いのあるフィメールラッパーAiwich、要チェックです。

ひとりじゃないのよ/KREVA

三曲目は、KREVAの「ひとりじゃないのよ」(2004年)。春や夏といった活動的な時期に、勢いも含めてスタートしたこと、挑戦したこと、始まった恋…。

色々なことが起こる世の中で、すべてが順風満帆という訳にはいきませんね。しかし、どんなことがあっても忘れてほしくないこと、冬を控えた秋だからこそ知っておいてほしいこと、それは、人間は「ひとりじゃないのよ」ということです。

寂しいときも、くじけそうなときも、上手くいっているときも、そうでないときも、我々は一人ではないのです。それは両親かもしれませんし、兄弟や従妹かもしれません。

そして、学校や職場、バイト先、クラブチームや地元の仲間かもしれません。静かな秋の夜に、大切な家族や仲間たちを思いながら思いっきり「ひとりじゃないのよ」に浸って、優しく包まれてみましょう。

陽はまたのぼりくりかえす/Dragon Ash

次はDragon Ashから一曲。秋の高い空には、爽やかなアコースティックギターとメロディアスなラップがよく似合いますね。

ミクスチャーロックから派生して、一時は強烈にHIP HOPに傾倒した彼らの初期HIP HOPの代表曲でもある1998年リリースのこの曲。揺るがないメッセージを軽やかなフロウと韻に乗せたラップ、シンガーがラップするだけあって安定感と浸透力のある声、ロックバンドらしくメロウなノリと厚みで聴かせるサビがステキです。

「四の五の言わずに、生きることを精一杯続けていこう」と思った秋晴れの日には、ぜひこの曲を聞いてみてはいかがでしょう。

Dragon Ashを聴くと、大切なのは誰かどう言うかではなく自分がどう感じるかだ、という気持ちになるのは私だけでしょうか。

小道を行けば/LIBRO

続いては、LIBROの「小道を行けば」(2021年)。センチメンタルな曲や心の内側を抉るラップを謳わせたら避けては通れないのがLIBORO。冒頭から

初秋を感じさせるようなラップで、聴く人の心を一気に季節の変わり目である晩夏から初秋の空にトリップさせるようなマインドセット力は秀逸です。

夏の暑さが和らいでカラッと過ごしやすい季節は、深いことは考えずにぼんやりしてもいいよね、という気持ちにさせてくれます。

MVでも出てきますが、夕方から一杯飲んで、秋の風を感じながらまったり過ごす夜。

季節の流れだけでなく、ただ、回りに広がる知らない誰かの生きる伊吹を感じながら、「ああ、みんな一生懸命生きてるな。俺も前に進もう」なんて黄昏てみるのも、たまにはいいものですよ。

STAND HARD feat.SIMON, NORIKIYO, AKLO & Y's/SALU

秋だからってしんみりばかりはしてられない、そんな方には、SALUの「STAND HARD」をおすすめします。

「ガキの頃と何も変わってねぇ、上目指して勝気に行くぜ」、そんな気持ちを静かに湧き上がらせてくれるこの曲は2018年リリースで、SALUの代名詞といってもいいですね。

メロディアスでポピュラーな曲だけでなく、こういったハードな本格派のラップやトラックも奏でるSALU。それをSALUっぽいフロウに乗せてしっかり個性も出しつつ、SIMON、NORIKIYO、AKLOといった屈強なスパイスを施したこの曲は、なんとなく「玄人好みの一曲」かもしれませんね。

Period./漢 a.k.a. GAMI feat. RYKEY

じっくり考えるにはいい時期である過ごしやすい秋。自分とじっくり向き合いたい、自分のことをふり返って次の春に向かって行きたい、という感情もありますよね。

そんなときには漢 a.k.a GAMIの「Period.」(2020年)。生きていると色々なことがあります、色々な失敗、色々な後悔、色々な出会い、色々な助すけ、色々な葛藤、答えの出ないことも山ほどです。「それでも生きていくために、とにかく進んでいくしかない」という漢 a.k.a GAMIの想いが込められたこの曲とともに区切りをつけて、一歩ずつ前に進んでいくのもアリでしょう。

個人的には、この曲を聴きつつ「覚悟を持って自分を貫いていく」、そんな物言わぬ強い人間を目指して区切りの秋にしたいものです。

サイン/般若

次は、般若から「サイン」(2018年)。こちらは完全に楽曲全体のイメージから、「初秋で日中の暑さも残る9月ごろ、暑いけれど湿度が低くて爽快な風」という印象を受けた一曲です。

般若の男らしく熱いメッセージやリリックを、爽やかなトラックに乗せて、切なくもスカッとまとめたこの曲は、そんな秋のBGMにはぴったりだと思います。

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、普通の秋。どんなシーンでも、切なくて爽快な気持ちになれるこの曲があれば、もうバッチリではないでしょうか。

MVにも子供たちが登場しますが、お子さんのいらっしゃる方がお子さんと一緒に過ごす時間に聴く一曲としてもアリですよ。

かえろう feat. 韻シストBAND/韻踏合組合

秋は、なぜか人恋しくなります。そんなとき、帰りたくなる「家や家族」が欲しくなったりして、帰り道にふと考えてしまったり…、なんて人はいませんか(あれ、僕だけですか?)。

続いてはちょっと変わり種で、家族ができたら聴きたい黄昏の一曲として韻踏合組合 の「かえろう」(2020年)。

「マラドーナ」や「一網打尽」のイメージが強い韻踏合組合の曲だというところが面白いですよね。

帰りたくなるような家族や家がある毎日、きっと幸せでしょうね。そんな日常のシーンを想像しながら、この秋は自分の将来設計についてしんみりと考えてみてもいいのではないでしょうか。

Walk This Way feat.AKLO/ZORN

最後はZORNの名曲「Walk This Way」(2018年)です。毎日を着実に、肩ひじ張らずに、あるがままに、想うがままに、自分の力で生きていく。

そんなZORNの人生や日常から生まれたこの曲ですが、聴けば聴くほど心に染み込んでくるのです。

まるで、晩秋に落ちた葉の養分が大地に染み込み命を育むように、心に沁み込んだラップが生きる力になる、不思議な力を持った曲ですよね。

ラッパー、コーキング職人、二児の父と、多くのものを肩に乗せ自分らしく強く生きてきたZORNにしか吐き出すことのできない「エメマン」「動物ビスケット」「キットカット」「シーチキン」などの言葉をしっかりとラップに落とし込むセンスも抜群ですね。

宛もなく散歩に出て、この曲を聴きながら秋に浸って人生を見つめてみたいと思います。

まとめ

いかがでしたか? 秋に聞きたいラップ10選をご紹介しました。

秋という季節柄、ちょっと切ない雰囲気を纏った曲が多かったかもしれません。

食欲の秋、あなたはどの曲を心の栄養にしますか?

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