本文へ
JAPANESE HIP-HOP
MUSIC / CULTURE / PEOPLE
⌕
アーティスト名鑑

2-EIGHT(ツーエイト)|『花』と闘病と復帰の記録。山口出身のラッパー/プロデューサー

読み方つーえいと

着うたの時代に「花」で名前を広げ、KIMERA RECORDSから全国流通盤を出し、やがて活動の場を夜のクラブから「昼の世界」へ移した。さらに白血病の発症を自ら公表し、闘病を経て『ただいま!』と題した復帰作を出した。2-EIGHT(ツーエイト)は山口県出身のソロラッパー/プロデューサーで、その経歴は日本の地方インディーの20年をそのまま映している。カウンセラーの資格を持ち、ラップスクールを主宰するという顔まで含めて、「生活と地続きのラッパー」という一点で、彼はマイナー層の中でも際立つ存在だと私は思う。

基本データ

名義 2-EIGHT
読み ツーエイト
形態 ソロ(ラッパー/プロデューサー)
出身・拠点 山口県出身、広島県を拠点に活動
レーベル KIMERA RECORDS(RIJOシリーズ)/EIGHT MATE RECORDS

※本名・生年は公式プロフィール等の一次情報で確認できていないため、本記事では記載しない。

来歴

本人の公式サイト等の発信では、2003年に「花」でデビューし、着うたダウンロードでヒットを記録したとされている。一次資料で確認できる最古の形では、「花」は2007年10月3日発売のシングル「NO HIP HOP NO LIFE」(HTRH-2)に収録されており、2009年1月7日発売のアルバム『背中』(RIJO-2)にも収められた。『背中』は広島のPSYCHO BLOWらと同じKIMERA RECORDSのRIJOシリーズからの一枚で、2010年6月30日には同レーベルから『出馬』(RIJO-4)を発表。客演にはHIDADDYやPSYCHO BLOWら西日本のアンダーグラウンドの面々が並ぶ。

2010年代に入ると、活動の軸足は次第に「昼」へ移っていく。インタビュー等によれば、不登校訪問支援カウンセラーやメンタル心理カウンセラーの資格を持ち、2016年にはマンツーマン形式のラップスクールを開校したという。幼少期にいじめを受けた経験が、ヒップホップを通じて同じ悩みを抱える側へ手を伸ばす動機になっているとされる。2017年9月にはYouTube公式チャンネルを開設し、オリジナル曲やフリースタイルを題材にした動画を毎日投稿するスタイルで発信を続けた。

2018年1月30日、自身の動画で急性リンパ性白血病の発症を公表。更新を休止して治療に専念したのち、2019年8月11日にワンマンライブを行い、同年11月6日に復帰作『ただいま!』(EMR-0001、℗ EIGHT MATE RECORDS)をリリースした。タイトルそのものが生存報告になっている一枚で、最終曲には代表曲のリミックス「HANA(花remix)」が置かれている。

年表

2007年 シングル「NO HIP HOP NO LIFE」(「花」収録)
2009年 アルバム『背中』(KIMERA RECORDS/RIJO-2)
2010年 アルバム『出馬』(KIMERA RECORDS/RIJO-4)
2017年 YouTube公式チャンネル開設、毎日の動画投稿を開始
2018年 急性リンパ性白血病の発症を自身の動画で公表
2019年 ワンマンライブ/復帰作『ただいま!』

音楽性

作品のタイトルを並べるだけで人柄が見える。「いじめられっ子」「ことば」「パートナー」「2-EIGHTの嫁です」「ありがとう」。バトル的な自己誇示より、家族・日常・弱さ・感謝といった生活の言葉に寄っているのが2-EIGHTの歌詞だ。代表曲「花」は着うた世代の記憶に紐づくメロディを持ち、『ただいま!』の「今日がある」「未来へ」「diary」といった曲名は、闘病を経た人間の「生と日常」の記録として並んでいる。説教くささではなく、自身の経験を起点にした等身大のメッセージとして受け止められてきたタイプのアーティストである。

ディスコグラフィ

※本記事のApple Musicリンクはアフィリエイトリンクです。

発売日 タイトル 形態
2007-10-03 NO HIP HOP NO LIFE CDシングル(4曲/配信なし)
2009-01-07 背中 アルバム(11曲)※CD発売日。配信は2008年開始
2010-06-30 出馬 アルバム(14曲)
2019-11-06 ただいま! アルバム(13曲)

代表曲

  • 「花」— 代表曲。着うたの時代に広く届いたとされるメロディと、生活感のある言葉の組み合わせが2-EIGHTの原点。公式チャンネルの歌詞付き動画で聴ける。
  • 「背中」— 『背中』の表題曲。家族の背中を見て育った人間の視点で書かれた、彼の生活密着型リリックの核にある曲。
  • 「NO HIP HOP NO LIFE Remix (feat. PSYCHO BLOW)」— 『出馬』収録。デビューシングルの表題曲を、同じKIMERA RECORDSのPSYCHO BLOWを迎えて組み直した曲で、レーベルの結束がそのまま音になっている。
  • 「今日がある」— 復帰作『ただいま!』収録。闘病を経た人間が「今日」を数える曲で、このアルバムの生存報告としての性格が最も濃く出ている。
  • 「HANA(花remix)」— 『ただいま!』の最終曲。代表曲「花」を復帰作の締めに置く構成自体が、聴き手との接点であり続けたこの曲の位置を示している。

出典・確認日

ORICON(作品データ)、Apple Music、公式YouTubeチャンネル。出身・拠点、カウンセラー資格・ラップスクール等の人物情報はインタビュー等の二次情報に基づく。2026年11月8日確認。

もう少し読む