争いの舞台は、ブログとラジオとフェスのステージだった。2015年8月、般若が公式サイトの「ラップブログ」で宇多丸(RHYMESTER)へのディス曲を発表すると、宇多丸は翌日のラジオ番組でアカペラのアンサーを返した。1週間後のフェス「SUMMER BOMB」では、K DUB SHINEまで巻き込む三つ巴の展開になる。日本のビーフ史でも屈指の「表で完結した」一件である。
| 当事者 | 般若 × 宇多丸(RHYMESTER)/枝としてK DUB SHINEへ飛び火 |
|---|---|
| 勃発 | 2015年8月7日、般若のラップブログ(BLOG 375) |
| 発端 | 宇多丸の映画評への不満。般若が出演した『Zアイランド』を番組で取り上げなかったことを、避けているように受け止めた(般若側の主張) |
| 応酬 | 宇多丸はラジオでアカペラ・アンサー。般若は感謝と謝罪で応じ、矛先はK DUB SHINEへ移った |
| 決着 | 2015年8月15日「SUMMER BOMB」のステージ上の応酬を最後に沈静化 |
| 型 | 楽曲応酬型(ブログ発、ラジオと舞台へ展開) |
発端は、映画評への不満だった
般若は俳優として、品川ヒロシ監督の映画『Zアイランド』(2015年5月16日公開)に出演した。宇多丸はラッパーであると同時に映画評論でも知られ、ラッパーが多数出演した映画『TOKYO TRIBE』は評価していたが、『Zアイランド』は自身のラジオ番組の映画評コーナーで取り上げなかった。般若は、自分の出演を知りながら避けているのではないかと受け止めた。2015年8月7日、般若は公式サイトで連載していた「ラップブログ」(BLOG 375)に宇多丸へのディス曲を公開し、映画評への不満、RHYMESTERへの批判、翌週に控えたイベント「SUMMER BOMB」への言及までを歌い込んだ。「SUMMER BOMB」は8月15日にZepp DiverCityで開かれるZeebraプロデュースのイベントで、RHYMESTERも般若も出演予定だった。
アンサーは、翌日のラジオから

宇多丸の返答は速く、そして軽妙だった。8月8日放送のTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、宇多丸はアカペラのラップによるアンサーを披露した。内容は、般若の疑念は「勘違いだ」という趣旨で、『Zアイランド』についてはソフト発売(9月17日)の後に番組できちんと批評すると約束した。
8月14日、般若はラップブログ(BLOG 376)で再び歌った。宇多丸に対してはアンサーへの感謝を述べ、容姿への言及については謝罪した。その一方で、この応酬をTwitterで取り上げ続けていたK DUB SHINEへ、新たなディスを放った。ここから舞台は、2人の問題から、翌日のフェスへと移っていく。
| 日付 | 誰→誰 | 楽曲・媒体 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 2015年8月7日 | 般若 → 宇多丸 | ラップブログ(BLOG 375)のディス曲 | 『Zアイランド』を番組で取り上げないことへの不満が発端 |
| 2015年8月8日 | 宇多丸 → 般若 | TBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」 | アカペラのアンサー。「勘違い」とし、後日の正式な批評を約束 |
| 2015年8月14日 | 般若 | ラップブログ(BLOG 376) | 宇多丸へ感謝と謝罪。同時にK DUB SHINEへのディスを新たに発表 |
| 2015年8月15日 | K DUB SHINE → 般若・宇多丸 | 「SUMMER BOMB」ステージ | KGDRで登場し、応酬を「プロレスごっこ」と批判するアンサーを披露 |
| 2015年8月15日 | 般若 → K DUB SHINE | 「SUMMER BOMB」ステージ | 「前略、Kダブシャイン様へ」と題した手紙の朗読で応答し、「ONE LOVE」で締めた |
SUMMER BOMB――ステージの上での決着

8月15日、「SUMMER BOMB」当日。前日には欠席も示唆していたK DUB SHINEはキングギドラ(KGDR)としてステージに現れ、新たに録音したアンサー音源で、般若と宇多丸の応酬を「ゆるいビーフ」「プロレスごっこ」と批判し、本来のビーフとは違うと主張した。
続いて登場した般若は、久石譲「Summer」のメロディに乗せて、K DUB SHINE宛の手紙を読み上げた。『Zアイランド』の舞台挨拶後の打ち上げにK DUB SHINEが参加したときの出来事を、ユーモアたっぷりに振り返る内容で、最後は「ONE LOVE」と締めくくられた。観客の前で、笑いを交えて応酬を閉じる――その後、宇多丸との間にもK DUB SHINEとの間にも、応酬の拡大はなかった。
このビーフの位置づけ
この一件の面白さは、応酬のすべてが公式の場(公式ブログ、ラジオ番組、フェスのステージ)で、短期間に、公開のまま完結したことにある。裏でのSNSの言い合いではなく、当事者がそれぞれの「本拠地」から言葉を返し合い、最後は観客の前で決着した。K DUB SHINEによる「それはビーフではない」という異議の挟み方まで含めて、ビーフとは何かを考えさせる事例として残っている。
音源について
ラップブログの楽曲、ラジオでのアンサー、ステージでの応酬はいずれも公式の単独音源としては配信されておらず、公式YouTube動画も確認できなかったため、本記事には音源リンクを掲載していない。
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出典・確認日
本記事の事実関係は、般若公式サイトのラップブログ(BLOG 375/BLOG 376)、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の放送内容を伝える記録、RENOTEのビーフまとめを中心に、2026年11月3日に確認した。般若が宇多丸の対応をどう受け止めたかについては、般若側の主張として記載した。
