SILENT KILLA JOINTとは?
SILENT KILLA JOINT(サイレント キラ ジョイント)は、兵庫県淡路島出身で1994年7月18日生まれのラッパーです。
中学時代から素行の悪さは折り紙付きで、悪のサラブレッドだった彼。
その素行の悪さは、2016年7月に傷害監禁事件を引き起こし翌2017年から2年9か月間の服役も経験した筋金入り。
しかも刑務所の中でロヒブノールという薬の中毒になってしまうという強烈な男でした。
この薬は不眠症に対する処方薬として手に入るのですが、薬を砕いて鼻から吸引することでキマってしまうとのこと。
このぶっ飛んだセンスと思考から繰り出されるダークでドープな世界観が魅力のSILENT KILLA JOINT。
ラップの技術も一流でフリースタイルやMCバトルでの強さも際立っています。
また、YouTuberとしての顔も持ち、自らの逮捕のことや刑務所での生活などの話題も繰り出す、リアルなダーティヒーローなのです。
簡単な紹介だけで曲を聴いてみたくなりますよね。
ここは四の五の言わず、おすすめの曲紹介に進んで行きましょうか。
SILENT KILLA JOINT おすすめの曲6選
BlAqDeViL
経歴から考えてピアノのトラックを使用することはかなり意外なのですが、「BlAqDeViL」をご紹介します。
怪しくて不敵なピアノがこの世のものとは思えない世界観を醸し出していますが、「このラップは黒く芯を貫通」と自らも語るように真っ黒な内容のリリックがそそります。
「俺の域まで来れるのか、やれるもんならやってみろ」という圧倒的な自負が怪しく聞く者の耳や心を奪っていきますね。
流れるような怪しさ満点のフロウやサビには、かなりの中毒性があるのです。
さりげなく「One for the money. Two for the show.」 とKREVAのパンチラインをサンプリングする余裕も見せたSILENT KILLA JOINT、なかなかやります。
ONION / 音ノ葉REMIX feat.Kakky,Rude α,MCRey,Willy Wonka(TAKA)
ダークでドープな世界観を見せたかと思うと、クルーを集めて思いのほかシンプルな王道のHIP HOPもできるSILENT KILLA JOINT。
ラップと楽曲のセンスは抜群のようですね。
ここでも流れるようなフロウは健在で、堅めの韻も使って見せる懐の深さを披露。
MCバトルでの強さの秘密はこういったセンスと引き出しの多さなのかもしれませんね。
いずれにしても、癖になるサビやフロウを作る才能は一軍のトップクラスです。
Get wet wiz love
一瞬、舐達麻を思わせるような美しいビートを奏でる「Get wet wiz love」。
美しいトラックに、悲しい過去も載せて軽やかにしっとりと聴かせるこの曲は、ある意味では彼の自伝です。
両親の離婚や度重なる引っ越し、友達との別れなど心の中に悲しみを隠しているSILENT KILLA JOINTもまた人の子なのだと感じる一曲。
人間の心の行き場や安息の地、安定した人生とは何かなど哲学的な心境にまで連れて行ってしまう世界観は芸術的な側面すら感じますね。
この悲しみがいつか晴れる日まで、そんなシンプルな感情がループするこの曲もまた、彼の中毒性抜群のソングライトセンスによるものなのです。
SALUやANARCHY、BAD HOP、ZORNなど多くのアーティストが感じてきたものと同じものがSILENT KILLA JOINTの中にあり、それをHIP HOPアーティストとして形にできる才能=GIFTED。
それが、悲しみという代償を支払って得るものだとしたら何とも言えない悲しさに襲われます。
Lens Prod.GeminisAzul
SILENT KILLA JOINTなりの自分語りとでもいうのでしょうか。
この曲には彼の中の、はっきりした感情からもやっとしたものまでが詰め込まれたような気がしてなりません。
崩れた人生や人格や感情、「元には戻れない」といながら戻ることが正しいのかも、戻るべきものなのかもはっきりしない。
しかし、「ただ生きていくだけ、止まりはしない」というSILENT KILLA JOINTの声が聞こえてきそうです。
この抽象的な概念を燃えて朽ちていく炎になぞらえているセンスに、冒頭で紹介した経歴のことなどよくわからなくなるほど、アーテイストとしての底の深さを感じます。
もしかすると「すべて燃えて朽ちればいい」というダークなメッセージなのか、それは神のみぞ知るです。
Think Feel Pt.2
SILENT KILLA JOINTという生身の人間の強さも弱さも何もかも、この曲に入っているような一曲ですね。
「人は見かけより100倍黒い・・・見えない振りって本当に凄い」、そんな世界の中で生きていくしかない、やってられないけどそんなもんさ、そう語りかけてくるかのようです。
様々な経験の中で人間の本性を知ってしまったSILENT KILLA JOINT。
そのすべてを受け止めて受け入れて、その世の中で生きていくだけだという答えを持ったSILENT KILLA JOINTは、ある意味では達観した世界に到達したのかもしれません。
そしてその様子を、客観視できる冷静さも彼の魅力のひとつなのでしょう。
Sick Time(Prod by dhrma)
最後はこの曲。
「色々あって腹も立って、後悔もあって生きている、生かされている、周りのみんなに心からの感謝を」というハートにグッとくる一曲です。
受け身ではなく、能動的に明日に向かっているSILENT KILLA JOINTがそこに居るのですね。
一人の人間としての最終到達点はこれだ、と悟ったかのようなラップが非常に印象に残ります。
だからと言って、人格者である訳でもなくダークさも残してあるがまま、ありのままの自分でいるところがSILENT KILLA JOINTの個性かもしれません。
まとめ
SILENT KILLA JOINTのおすすめの曲をご紹介しました。
どの曲にもSILENT KILLA JOINTの人間らしさがあり、常に今を生きていることが強く感じられました。
確かに過去の彼は悪行三昧の過去だったのかもしれませんが、その経験を得て導き出した答えや言葉には妙な重さと説得力があるのです。
2024年に30歳となるSILENT KILLA JOINT、この先、彼がどのような楽曲やラップを見せてくれるのかとても興味が湧いてきました。