HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。
-サンプリング wikipediaより引用
要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。
「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。
この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。
「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。
ってことで、第48回目は後編ラインの第7弾、日本語ラップの頂点、ZEEBRAの後編です!
第19回の前編では、真っ昼間、Jackin' 4 Beats(日本語ラップ11曲の逆引き)、PLAYER'S DELIGHTなどを掘りました。ネタ帳の登録は30件もあり、後編は初期の渋い時期からディスコ期まで、今回は7曲です。
前編は第19回 ZEEBRA 編です。
ZEEBRAの曲を元ネタと比較してみましょう
ZEEBRA / 視点
ZEEBRA - 視点
Isaac Hayes - Breakthrough
元ネタは、Isaac Hayesの「Breakthrough」(映画「Truck Turner」のサントラから)。
この曲、第35回のNITRO MICROPHONE UNDERGROUND編「LIVE '99」でも元ネタとして登場していました。キングギドラ周辺の感覚の近さが、こういう共有ネタからも見えてきます。
Isaac Hayes - Breakthrough
ZEEBRA / 東京の中央
ZEEBRA - 東京の中央
Mandrill - After The Race
元ネタは、Mandrillの「After The Race」。
「The Rhyme Animal」期のZEEBRA。ラテン・ファンクの雄のグルーヴが、東京の真ん中を歌う曲の下敷きになっています。
Mandrill - After The Race
ZEEBRA / Fly Away
※ZEEBRA側の単曲音源は見つからなかったため、元ネタのみ埋め込みます。
MR.BIG - Take Cover
元ネタは、MR.BIGの「Take Cover」。
ヒップホップの文脈ではまず名前が挙がらないハードロック・バンドからのサンプリング。ZEEBRAの耳の広さが分かります。
MR.BIG - Take Cover
ZEEBRA / ウィークエンド
feat. Miho Brown, Tyler。
ZEEBRA - ウィークエンド
Kool & The Gang - Ladies Night
元ネタは、Kool & The Gangの「Ladies Night」。
週末の夜の歌には、週末の夜の王道ディスコ。間違いのない組み合わせです。
Kool & The Gang - Ladies Night
ZEEBRA / 未来への鍵
feat. AKEEM DA MANAGOO。
ZEEBRA - 未来への鍵 feat. AKEEM DA MANAGOO
Bernard Wright - Music Is The Key
元ネタは、Bernard Wrightの「Music Is The Key」。
「音楽こそが鍵」と歌う元ネタを、「未来への鍵」の下敷きにする。タイトルレベルでの呼応が美しい組み合わせです。
Bernard Wright - Music Is The Key
ZEEBRA / Slow Down
ZEEBRA - Slow Down
Dionne Warwick - We Never Said Goodbye
元ネタは、Dionne Warwickの「We Never Said Goodbye」。
バート・バカラックの申し子の歌声が、ZEEBRAの「Slow Down」の情緒を作っています。
Dionne Warwick - We Never Said Goodbye
ZEEBRA / Shinin' Like A Diamond
feat. SPHERE of INFLUENCE, May J.。公式MVでどうぞ。
ZEEBRA - Shinin' Like A Diamond feat. SPHERE of INFLUENCE & May J.
Change - The Glow Of Love
元ネタは、Changeの「The Glow Of Love」。
若きLuther Vandrossの歌声で知られるディスコの名曲。「ダイヤモンドのように輝く」側のゴージャスさの源はここでした。
Change - The Glow Of Love
最後に
ZEEBRA後編の元ネタは、Isaac Hayes、Mandrill、MR.BIG、Kool & The Gang、Bernard Wright、Dionne Warwick、Changeという布陣でした。
前編と合わせると、初期のハードな時期から、ディスコやロックまで飲み込む時期まで。日本語ラップの「王」の掘りの深さと広さが、前編・後編でようやく輪郭を持ちました。
残りはSave The World(菊池ひみこ)、平和'98(Ahmad Jamal)、The Untouchable(Billie Holiday)など、まだ第3弾が作れます。
ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!