【日本語ラップ】KREVA(クレバ)のおすすめ曲6選

改めてKREVAとは

「KREVA(クレバ)とは」、その問いに端的に答えるならば「日本で最も有名なラッパーの一人」でしょう。

KREVAは、1976年6月18日生まれ、東京都江戸川区出身、最終学歴は慶応大学卒業、B-BOY PARKのフリースタイル三連覇、KICK THE KAN CREWとしてメジャーデビュー、紅白歌合戦出場、ソロラッパー初の武道館、と書けばキリがありませんが、言うなれば、国民的ラッパーですね。

メジャーすぎて、興味を持てない方やアンチ的な視点で見てしまう方も多いかもしれません。

しかし、当時盛り上がり始めていた日本語ラップシーンを一気に全国区に押し上げ、完全に市民権を持たせたという功績は計り知れないものがあります。

盛り上がってきたとはいえ、ハードでダークな印象や「何を言っているかよくわからない」「俺様全開でちょっとニガテ」という印象のあったHIP HOPやラップを誰にでも聞き取れる、誰にでも聴ける標準型に作り上げたのはKREVAだと言っても過言ではないでしょう。

しかし、ラップの技術や実力が標準型か、と言えばそれは大きな間違いです。

読み解けなかった古文書を解読するには高度で専門的な知識や技術が必要なのと同じこと。

KREVAのラップやライムが高い次元にあったが故に、最もシンプルでわかりやすい部分だけを抽出できたのでしょう。

実際、KREVAは常に「如何にシンプルに、如何にそぎ落とすか」をテーマにしていると何度も語っており、呂布カルマやR指定、DJ松永、KEN THE 390、ZORN、RHYMESTERの宇多丸など、KREVAのラップ力を高く評価する発言をしているラッパーやDJも数多く存在します。

そして、KREVAの最も大きな特徴は、きれいに韻を踏みながらそれと同時に人の心を暖かく、切なく、軽やかにする「詞」を書き上げてしまう作詞能力と楽曲のトラックをほぼ一人で作り上げてしまう作曲力・編曲力ではないかと思います。

後者に至っては、長瀬智也氏が主演して人気を博したドラマ「I.W.G.P」のBGM制作への参画するほか、自身もDJとして楽曲制作や様々なイベントに出演するなどの実績にも裏付けられています。

ビーフにも気が付かず「MACCHOはカッコいい」と言いながら自分のDJイベントでOZROZAURUSの楽曲を使用したりする、いいものを見極めるセンスも見逃せません。

MACCHOとは、最近になって「Player’s Player」で共演し、互いに認め合っていることも確認され、大きな話題にもなっていました。

そんなKREVAのおすすめの曲、早速見ていきましょう。

KREVA おすすめの曲6選

音色

一曲目はKREVAのソロ、メジャーデビュー第一弾となった「音色」です。

軽やかに韻を踏みながら、人々の心を掴んでしまう作詞能力がいきなり発揮されたこの曲は、カラオケで歌っても外しにくいラップとしてもお馴染みで、メロディセンスと編曲力、リリックの世界観などが秀逸すぎる一曲だったのではないでしょうか。

歌ものに批判的なヘッズもいたかもしれませんが、万人に受け入れられるラップ、万人が再現できるラップ、万人が心温まるラップ、作詞としての上手さも光るラップ。

何拍子もそろった「音色」はおすすめです。

ファンキーグラマラス

続いては「ファンキーグラマラス」。

RHYMESTERのマミーDとコラボした一曲は、クールでドープ、それでいて聴きやすいトラックと、軽やかなのに硬めに韻を踏みこんでリスナーをグイグイ上げていく切れ味抜群のラップはKREVAにしかできないのではないか、と思わせるほどです。

マミーDとのコラボということで、RHYMESTERのライブでの空気感をきっちり落とし込んでいる印象もあるこの曲は、KREVAの器用さを実感できる一曲でもあります。

マミーDとは「中盤戦」でもコラボしていますが、二人が得意とするキレキレのスピード感たっぷりのラップは絶妙ですね。

ストロングスタイル

「あれしたい これしたい 俺次第」、のっけからパンチラインさく裂のこの曲。

キャッチ―でセンチメンタルのような絵画のような楽曲だけでなく、クールでハードなHIP HOPトラックも、イケイケ感全開のリリックも、要所に聴かせた堅い韻もできるKREVA。

実は、洋楽邦楽問わず、ヒットチャートや様々なジャンルの音楽を聴き込んでいて、自らの引き出しを増やす努力もしているそう。

そういったKREVAのインプットあってこその自負であり、その自負が故の「ストロングスタイル」なのでしょう。

頂点に到達してもなお「やることやってるMC」、この辺りはMACCHOに通じるものがある、と思ってしまうのは私だけでしょうか。

くればいいのにfeat.草野マサムネ from SPITZ

タイトルに自らの名前が入っているこの曲は、一瞬洒落かと思わせておいて、離れて過ごす恋人の本質的な心情や人間としての弱さ、甘え、願いが込められた名曲だと思います。

この曲の世界観に、草野マサムネ氏の切ないハイトーンヴォーカルがシンクロして「歌」として成立していますね。

自らの手でトラックやメロディも手がけるKREVAならではの、ラッパーというよりはアーティストとしての視点で楽曲を構成するクリエイティビティが生み出した時代に残る一曲だったと思います。

HIP HOPとしてもPOPソングとしても、かなりの完成度を誇るこの曲も名曲のひとつです。

イッサイガッサイ

次は「イッサイガッサイ」をチョイスしました。

「夏が終わる」、こんな言い方で人が季節の終わりに後ろ髪を引かれるのは夏だけです。

夏の終わりになぜか名残惜しく、寂しくなる。何かはわからないけれどやり残した気がする、そして切なくなる。暮れゆく夏への想いをこんなにもシンプルで臨場感あふれるラップにできるのはKREVAのクリエイターとしての深みや高みを感じざるを得ません。

一見、夏の恋を描いたかに見えて、夏自体に恋をしているかのような世界観、ラップ、トラック、MVがトータルで一本の映画のような壮大さを見せつけた一曲、流石です。

Expert

最後は現時点でソロとして最新の「Expert」。

KREVAの真骨頂であるメロディアスなラップと壮大な世界観ぎっしりと詰まったこの曲は、KREVAがここまでそうしてきたように、とにかく、自分の感じる「いいと思った方向」に進め、という前向きソングです。

年齢を重ねても、大きな成功を収めても、その逆でも、人間は進むことでしか輝かない、というKREVAのメッセージ、しかといただきました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ラップやリリック、トラックという部分だけでなく、楽曲全体をコンポーズしてより最適で最高なものを作り上げる能力が圧倒的なKREVAに感服、といった感じですね。

よりハードでコアなものを求める者、よりシンプルで高い浸透力をもったものを求める者、HIP HOPの捉え方や表現の仕方は人それぞれ。

KREVAは、かつてあるインタビューで、「HIP HOPで武道館を満員にするくらいしないと」と語っていました。

そのときのKREVAは、コアなアンダーグラウンドに照準を合わせたのではなく、より多くのジャンルや相手がいるメジャーシーンを相手に、そういった楽曲に押し流されないポピュラリティーや芯をHIP HOPに取り入れることでシーンの拡大を見据えていたのだと思いました。

アンダーグランドで頂点を極めるのと同じように、メジャーシーンでラップとしてもハイクオリティなまま楽曲を浸透させることは茨の道であったでしょう。

野球の強打者でも本塁打、打率、打点など様々です。その中でそれぞれの道に名選手がいるように、HIP HOPがそういったラインに到達した時代に生まれ、三冠王を狙って走ってきたKREVA。明らかに「HIP HOPの名球会」の超重要人物の一人ではないでしょうか。

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