HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!
まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを説明しましょう。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。あくまで曲の一部分を引用するだけなので、基本的な歌詞やメロディーラインをそのままなぞるカバーやアレンジとは別物である。
-サンプリング wikipediaより引用
とまとめられています。わかりやすいですね!
要するに"音や歌詞の一部分を使うことによって、既存の曲から新しい音楽を作る"ってことですね。
よくパクリだ!と騒がれたりするので境界線が非常に難しい問題でもあるのですが、HIPHOPのカルチャーですから元の作品に対しての"リスペクト"を込めた上でのものだと思います。
まぁ、カッコ悪かったらわざわざそれを取り入れようなんて思わないですよね笑
今ではHIPHOP以外でも取り入れられるようになったサンプリングですが、その起源はもともとは"DJ Kool Herc"による二枚のレコードを使ったブレイクタイムの無限ループによってお客さんを盛り上げたのが最初と言われています。
"お客さんのために"という精神から始まっているようですね!
この記事ではいろんなアーティストの曲の元ネタとなったサンプリング元の曲を探っていきます。
それを知ることによってこの曲のこういうところを編集してトラックを作っているのか!というところで勉強になったりすると思います。
アーティストや曲について深く知ってよりHIPHOPカルチャーを理解していきましょう!
ってことで、第3回目はRHYMESTERの元ネタを探っていきましょう!
RHYMESTERの曲を比較してみましょう
愛のなんでなんだ
この曲が収録されているアルバムは1993年に発売された"RHYMESTER"のファースト・アルバムです。
皆さんご存知の通りライムスターは2MC1DJのユニットなのですが、宇多丸とMummy-Dの2MCに初期の頃はメンバーが流動的で、DJ ICEにDJ CHOCOLATE、Dr.Looperなどもメンバーに名を連ねていました。
本人たち曰く「黒歴史なアルバム」ということで、HIPHOPを愛するヘッズたちからの印象はよくない作品でした。
しかし、一方一部のファンやKICK、RIP SLYMEらアーティストからの評価は高く、あのアルバムの曲を演奏してほしい。
また、自分たちのライブで演りたいという声もあったそうです。
確かに今のライムスターって感じではないですよね!そんな曲です。どうぞ!
愛のなんでなんだ
そんなこの曲の元ネタはこちら。70年代を代表するソウル・シンガーの"Donny Hathaway"の一曲です。
この曲が収録されているアルバムは彼の作品で名盤と呼ばれるものに比べて多少地味な印象を受けますが、個人的にはカヴァー中心で良曲が揃ったいい作品だと思います。
この曲も50年代のロカビリー・シンガーであるドーシー・バーネットのカヴァーで、リズムがかっこよく、曲も徐々に盛り上がりを見せるところが非常にかっこいい曲です。
気になった方はぜひ色々聴いてみてほしいですね。
Magnificent Sanctuary Band / Donny Hathaway
ウワサの真相
さて、二曲めです。この曲は2001年発売4枚めのアルバムのタイトル曲ですね。このアルバムが初のメジャー作品となります。
ライムスター曰く、この曲はまずタイトルが発端になっており、「ウワサの真相」という曲作ろうよ!ってところからスタート。
その後いいトラックとの出会いがあり、共演のF.O.Hとの出会いがありという感じで出来上がった曲だそうです。
ライムスターの曲のタイトルのなかに不思議なタイトルのものが多いなという印象ある方多いと思うんですが、まずタイトルありきで曲を作るからなんですね。
ウワサの真相
元ネタはこちら。1967年11月に発売されたCREAMのセカンドアルバムに収録された大ヒット・シングルで、アメリカではゴールド・ディスク獲得、ロックの殿堂入りを果たした超名曲です。
今でも色々なアーティストにカヴァーされるなど、時代を超えて愛される曲からサンプリングされました。
ライムスターのトラックのサンプリングセンスは他のアーティストたちがHIPHOPの直系の先祖に当たるジャンルであるソウルやR&Bから引っ張ってくるのが多いのに対して、ジャンルにとらわれず幅広いところから引っ張ってきてトラックを作るところが一線を画しており、そこが逆にメジャーでも生き残ってられる一つの理由なのかなと思ったりもします。
Sunshine of your love / CREAM
口から出まかせ
順番がバラバラなんですが・・・・・・・笑。こちらRHYMESTERが95年にリリースしたセカンド・アルバム。の代表曲です。
キングギドラとSOUL SCREAMをフィーチャリングして徐々にHIPHOP界でも評価が上がってきていた頃のものですね。
実はこの曲の中で"フリースタイルダンジョン 抜けて参上"とZEEBRAが初めてフリースタイル・ダンジョンの言葉を発しており、その後間髪入れずにキングギドラがフリースタイル・ダンジョンの曲の入ったアルバムを発表そして現在にそれが引き継がれていくというちょっと胸熱な内容も含んだ曲なんですよね〜。
口から出まかせ
元ネタはワシントン D.C.出身の"Diplomats"を元とするソウル・グループ"Skull Snaps"による唯一作のアルバムからこの曲です。
この作品は通称"レア・グルーヴ"と呼ばれるものの一つで、流通数が極端に少ない踊れる、グルーブ感があるものとして認知されています。
まぁ、電子版で音楽が買えるようになったので、アップルミュージックで聞ける作品がレア・グルーヴと呼んでいいのかは疑問ですが、確かにグルーヴ感は最高ですね。
Trespassin' / Skull Snaps
続きましてもう一曲元ネタがあります。
こちらはヴィブラフォン奏者Roy Ayersとトロンボーン奏者Wayne Hendersonの共作による78年のもの。これ一枚でジャズファンク・フュージョンからディスコ・ミュージックまで幅広くカバーする名作なのです。
他にもこちらはCapone-N-Noreaga「Capone Bone」でもサンプリングされた名曲ですね!
Step In To Our Life / Roy Ayers & W.Henderson
紳士同盟
ロマンクルーは、Ali-lick、エムラスタ、Dがジェラスする将絢、DJ TOKNOWからなるHIPHOPグループ。
宇多丸の若手ともやりたいというのが共演のきっかけだったようで、その中でもDJ JINと宇多丸がロマンクルーのライブをみに行って衝撃を受けたことから声をかけ、共演したそうです。
紳士同盟
CANは60年代〜70年代に流行った西ドイツ発のバンドで、その後ロックから派生されるパンクやオルタナティブロック、エレクトロ、ニューウェイブなどの様々なジャンルに影響を与えたと言われています。
リズムがすごくかっこよくてそのままラップをはめても行けそうな感じがしますね。
Vitamin C / CAN
スタンバイチューン
2004年のアルバム「グレイゾーン」といえば割と硬派な曲が目立つアルバムです。
当時の日本の様子だったり、国際情勢だったりをHIPHOPで語るというのがおそらく全体的な一貫性のあるテーマで、かと思えば身近なことも綴られていたりと、全体的にまとまりが上手く取れていて面白い内容という印象。その中の一曲ですね!
スタンバイチューン
こちらの曲の元ネタは”Sadistic Mika Band”から名曲”怪傑シルヴァーチャイルド”ですね。
本当にライムスターはいろんなところからサンプリングしてきますね。センスの塊です。。。。笑
Sadistic Mika Bandは1971年に結成されたバンドで、グラム・ロック・ムーヴメントという当時一世を風靡したカルチャーをいち早く取り入れたとてもセンスのああるバンドでした。
まぁ、一部からの評価は高いようですが、全体的に見るとこのアルバムはヒットしたのか・・・・・というアルバムだったそうですが苦笑
怪傑シルヴァーチャイルド / サディスティック・ミカ・バンド
逃走のファンク
ライムスターのメジャー8枚目のシングル。
見ものなのはMummy-Dの「oio」で踏みまくる気持ちいいぐらいの踏み具合なので、是非聞いてみてほしいですね!
逃走のファンク
そして元ネタはこちら!
破壊力満点のギターのリフで始まる問答無用のブレイカー・クラシック!!クセになる感じがたまらない一曲です!
Scorpio / Dennis Coffey
最後に
ライムスターといえば名曲が多い日本語ラップの重鎮ですよね!
活動期間が長いのでサンプリングの元ネタもかなり豊富にあるのですが、今回はその中でも一部の曲をご紹介しました!
また機会があれば次回特集を組んで第二回をしようと思いますので、この記事がおもしろかったらぜひ次回をお楽しみください!
ではまた次回お会いしましょう!!