日本語ラップの元ネタを探せ! 第14回 KIKUMARU 編!!!

HIPHOPはサンプリングのカルチャーだとよく言われますよね!

まずは最近聴き始めた人のためにサンプリングとは何かを簡単におさらいしましょう。

既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。

-サンプリング wikipediaより引用

要するに"過去の名曲のエッセンスを継承し、新しい音楽として蘇らせる"魔法のような手法ですね。

「パクリじゃないの?」なんて野暮なことは言わせません。そこには元の作品への強烈な"リスペクト"と、それをどう調理するかという"センス"が問われる、HIPHOPの根幹をなすアートフォームなんです。

この記事では、さまざまなアーティストの「元ネタ(サンプリングソース)」を探っていきます。

「この渋いベース、実は70年代のソウルだったのか!」とか「このフレーズ、あの大ネタと同じじゃん!」といった発見は、音楽を聴く楽しさを何倍にもしてくれます。

ってことで、第14回目はKANDYTOWNのMC、KIKUMARU(菊丸)の元ネタを探っていきましょう!

世田谷区・喜多見(K-Town)をフッドとするKANDYTOWN。その中でもKIKUMARUは、昔ながらのヒップホップ・マナーを大切にしつつ、都会的で洗練されたラップを聴かせてくれる存在です。

彼の楽曲に使われている元ネタは、70年代〜80年代のソウルやファンク、そして日本のフュージョンまで、とにかく「グッとくる」メロディのものばかり。夜のドライブや、部屋で一人リラックスしたい時に最適な選曲が光ります。


KIKUMARUの曲を元ネタと比較してみましょう

KIKUMARU / Diary Remix

日常の風景を切り取ったようなリリックが印象的な楽曲。スムーズなフローと、バックで流れる夢見心地なトラックが、聴く人を優しい気持ちにさせてくれます。

【元ネタ】The Controllers - Heaven Is Only One Step Away

元ネタは、アラバマ州出身のソウル・グループ、The Controllers(ザ・コントローラーズ)の極上スウィート・ソウル。「天国はすぐそこにある」というタイトル通り、浮遊感のあるシンセとファルセットボイスが、まさに天国的な心地よさを生み出しています。

この曲はBig K.R.I.T.などUSのラッパーもサンプリングしていますが、KIKUMARUの都会的な雰囲気とも抜群にマッチしています。


KIKUMARU / Pathos Feat. Masato

同じくKANDYTOWNのメンバー、Masatoを迎えた一曲。哀愁漂うメロディラインと、二人のエモーショナルな掛け合いが胸に刺さります。

【元ネタ】YUTAKA - Love Light

この美しいピアノの旋律、実は日本人アーティストの曲なんです!元ネタは、琴奏者でありキーボーディストのYutaka Yokokura(横倉裕)による「Love Light」。

GRPレコードから全米デビューも果たした彼の、和製シティ・ポップ〜フュージョンの隠れた名曲です。この透明感あふれるサウンドを選ぶあたり、KIKUMARUのディグ(掘り)のセンスの良さが光ります。


KIKUMARU / Sketch Feat. BSC、Dian

KANDYTOWN(Bank Roll)のメンバーであるBSCとDianを迎えたマイクリレー曲。三者三様のスタイルが、ソウルフルなビートの上で交差します。

【元ネタ】Diana Ross - Brown Baby

元ネタは、あの歌姫Diana Ross(ダイアナ・ロス)!しかもMarvin Gayeの名盤『What's Going On』に収録されていた名曲「Brown Baby」のカバーです。

ダイアナ・ロス版は1973年のアルバム『Touch Me in the Morning』に収録されており、より壮大で優雅なアレンジになっています。この包み込むような優しさをサンプリングすることで、ハードなラップの中にも温かみが生まれています。


KIKUMARU / WHAT U WANT Feat. MUD

Make U DirtyことMUDをフィーチャーした、バウンシーでファンキーな一曲。KANDYTOWNの中でも特に「低音」が魅力のMUDとの相性は抜群です。

【元ネタ】The Dramatics - Whatcha See Is Whatcha Get

元ネタは70年代のソウル・グループ、The Dramatics(ザ・ドラマティックス)の代表曲!「Whatcha See Is Whatcha Get(見たまんまが俺の全てさ)」というタイトル自体がヒップホップ的ですよね。

うねるベースラインと、ドラマチックなホーンセクション。このファンキーで攻撃的なグルーヴが、二人のタフなラップをさらに引き立てています。


菊丸 / K-Town Anthem Feat. BANK ROLL

KANDYTOWNの前身とも言えるクルー「BANK ROLL」名義でのアンセム。彼らのフッドであるK-Town(世田谷区喜多見・砧エリア)への愛と誇りを歌っています。

【元ネタ】Brighter Side Of Darkness - Love Jones

フッド・アンセムの元ネタに、こんなに甘い曲を持ってくるのが最高にクールです。シカゴのソウル・グループ、Brighter Side Of Darknessの「Love Jones」。

子供のような声(実際にメンバーの一人は少年でした)による語りと、切ないコーラスワークが特徴の「激甘ソウル」です。地元の仲間との絆を歌う曲に、このノスタルジックなトラックを合わせるセンスにやられます。


菊丸 / Two Face

人間の二面性や葛藤を描いたような、内省的なリリックが響く一曲。静かに燃えるようなラップスタイルが印象的です。

【元ネタ】Con Funk Shun - By Your Side

元ネタは、ファンク・バンドCon Funk Shun(コン・ファンク・シャン)のメロウ・バラード「By Your Side」。

Jadakissなどもサンプリングした定番のスロウ・ジャムです。エレピの優しい音色と、甘いボーカル。夜の部屋で一人、ウイスキーでも飲みながら聴きたくなるような大人の色気があります。


菊丸 / Outro

アルバムを締めくくるアウトロ。最後まで余韻に浸らせてくれる、極上のメロウネス。

【元ネタ】Con Funk Shun - Love's Train

最後もCon Funk Shun!しかも彼らのバラードの中でも一、二を争う名曲「Love's Train」です。

最近ではBruno MarsとAnderson .PaakによるユニットSilk Sonicがカバーしたことでも話題になりましたよね。時代を超えて愛されるこのロマンチックなメロディで幕を閉じるアルバム。KIKUMARUの「美学」を最後まで感じさせてくれます。


最後に

今回はKIKUMARU(菊丸)の元ネタを探っていきました!いかがでしたでしょうか?

The Controllers、Diana Ross、The Dramatics、そしてCon Funk Shun。

並べてみると、まるで往年のソウル・バーのプレイリストのようなラインナップですよね。KIKUMARUの音楽が、HIPHOPヘッズだけでなく、SoulやR&Bファンにも響く理由がここにあると思います。

ぜひ、元ネタの甘い世界に浸りながら、KANDYTOWNの作り出す「東京の夜」の空気を感じてみてください。

ではまた次の元ネタを探せ!でお会いしましょう!