【日本語ラップ】AKLO(アクロ)のおすすめ曲5選

AKLOとは?

AKLO(アクロ)というラッパーをご存じですか?

「悪路すら乗りこなす」という意味でAKLOという名義で活動する彼は、1981年生まれ。

メキシコ人の父、日本人の母の元に生まれたハーフのAKLOは、10歳までメキシコ、以降は日本(一時渡米)で育ったある意味では逆輸入ラッパーです。

故に英語はネイティブ、逆に日本語は当初、やや苦戦していた状態でした。

日本語という複雑な言語のニュアンスや意味に苦労しつつも、逆にその経験が彼の日本語ラップの糧になったことは想像にた易いでしょう。

そんな状況をクリアしつつ、高校時代、大学卒業後に渡米しその都度リアルなHIP HOPやリアルなアンダーグラウンドライフを吸収していくAKLO。

メキシコで経験した日本には存在しない空気感や生活感はAKLOのリリックの血となっています。

「生きることの真裏にある生活苦や貧困」をリアルに感じた幼少期、子どもだろうが生きる術はその手で獲る「遊び代わりの洗車バイト」は、強烈なサバイブ体験だったでしょう。

高校時代はアメリアで過ごし、車で通学、放課後はそのまま車でストリートに出かけHIP HOPに浸り、空気やファッションなどを含めて本場を吸収していきます。

そんなAKLOは、ラップを始めた当初(大学時代のはじめ)は英語のラップに傾倒しますが、「伝わってこそのラップ」という本質に気づき「英語と日本語のネイティブハイブリット」なラップという彼独自のスタイルを作り上げるのです。

2008年には、当時はまだアメリカのシーンでしか展開されていなかった「フリーダウンロード」というプロモーションを日本で初めて展開し一気に知名度を上げていくなど、日本のシーンを揺るがすAKLOは、徐々にシーンの首元に刃を伸ばしていきます。

そんなAKLOの超絶にクールなラップはレジェンドプロデューサーであるBACHLOGICの目に留まり、デビューを勝ち取るのでした。

日本と海外(メキシコやアメリカ)での生活経験や音楽体験をバックボーンとしたラップは「日本語ラップの最高到達点」とも評されるのです。

間違いなく日本語ラップシーンの中心にいるトップラッパーの一人と言っていいAKLOのおすすめの曲、ご紹介します。

AKLO おすすめの曲5選

RED PILL

BACHLOGICと組んだ第一弾として2012年にリリースされた「RED PILL」。

まるでサッカーのスター選手が、小さなクラブからビッグクラブに移籍したデビュー戦かのような衝撃のソロデビューとなったこの曲。

ソロデビューにして既に大物感に溢れた堂々とした仕上がりです。

トラック、ラップ、ヴォーカル、MV、何をとってもクールそのもの。

特に、ハードでアンニュイ、ナーブなAKLOのルックスのクールさを抜群に引き出した黒を中心とした衣装のAKLOが登場するMVは必見です。

AKLO自身が刺激的な自らの人生を「

強めなRed Pill 飲んじまってた気分さ」とラップしていますが、聴いている我々の方が彼のラップからそんな印象を受けてしまいます。

「待ち望んだ展開なんだろう」というキラーフレーズを聴くと、新しい何かを期待してしまう高揚感のある一曲です。

DIRTY WORK (REMIX) feat.ANARCHY

「DIRTY WORK」(2018年)は、AKLOなりに感じ取った海外での人生観や人間の生活を描いているのではないかという印象があります。

街や社会の機能は崩壊し、同じ町の中に正義と悪、富と貧、噓と誠が存在し、底辺に生きる人間は清掃や汚物処理だけでなく、生きるために「汚い仕事」でもやるしか術がない、故にブレーキをかけている場合ではない、という現実をラップにしたのではないでしょうか。

ANARCHYも育った環境は過酷で、その中で感じたものがラップに込められているように感じました。

ある側面ではリアルなHIP HOPを日本で体現している二人によるコラボは、聴きこむことで感じられる独特の深みがあり、おすすめです。

Count On Me feat.ZORN

続いて「Count On Me」。

「Count On Me」とは、「俺に任せろ、期待しろ、俺がやる」という意味の言葉です。

この曲には、AKLOとZORNの人生に対する自負が詰め込まれているようです。

「俺らはくぐってきた人生が違う、神頼みしかしない奴らとは訳が違う」「自分がやらなければ誰もやってくれないんだ、やることは必ずやる」そんな強固な信念が感じられるこの曲は、人生の新しい曲面や挑戦に立ち向かうときに聴きたい一曲ですね。

AKLOとZORNの相性は圧倒的に抜群ですね。音楽仲間の域を超え、人生の盟友としての深い絆を感じます。

LOSER 

次は2019年リリースの「LOSER」。

「RED PILL」の紹介で、

ハードでアンニュイ、ナーブなAKLO”と書きましたが、そのアンニュイでナイーブな部分が非常によく表現されたラップですね。

後悔や苦しみ、それに押し流された虚無感を表現しつつも「悔しい思いを糧にかます」「憂さ晴らしは必ずするさ」と最終的に前に進む力強いラップにつなげていくところは、「伝わってこそのラップ」をしっかりと体現し、聴き手を巻き込んでいくスケールがありますね。

人生に疲れたとき、ほんの少し休みたいときに聴いてほしい一曲です。

"RGTO" feat.SALU, 鋼田テフロン & Kダブシャイン

ラストは「RGTO」。

自身があるからこその大胆さや不敵さ、そんなAKLOの魅力を余すところなく発揮したのがこの曲。

自らも語るように「韻の硬さも所謂トップライマー」をラップで体現しています。

硬さに加えて、韻と韻の織りなす強烈な飛距離と上手さを見せつけた「ドープなBeats?  I got it HotなVerse? Like タイカレー SmoothなFlow? Like 外タレ 何か足りない物は他にないかね?」というバースは、歴史に残る完成度だと感じます。

このバースによって一気にぶちあがったテンションは、SALUの切れ味抜群のスライダーに泳がされ、鋼田テフロンで一球外させてスキを作り、K DUB SHINEの貫禄たっぷりのインハイへのストレートで計算通り空振り三振といった感じで超名作だと思います。

多くのラッパーがコラボしていますが、それぞれのラッパーの魅力がこれほどまでに引き出されスムーズにクールにラップが流れていく楽曲はそうそうありませんね。

まとめ

AKLOのおすすめの曲、どれも名曲でしたね。

振れ幅の大きな環境でサバイブしてきたAKLOだからこそ歌えるものばかりです。

また、呂布カルマ曰く、「年齢を重ねても最新のラップテクニックの習得やアレンジに真摯に取り組み根っからのHIP HOP愛にあふれた」AKLOは、常に進化しているのだとか。

人生自体を糧にしてのし上がってきた強さやセンスを感じるリリック、ネイティブの切れ味鋭いを持った英語と日本語のハイブリットラップ、モデルさながらのナードな雰囲気のルックスやファッション、今尚磨くスキル、そのすべてがクールなAKLO、要チェックです。

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